出版社内容情報
英国ルネサンス最大の作家シェイクスピアの豊饒な文学世界を驚異的な博識と綿密な読解で様々な角度から解き明かした名著、待望の邦訳シェイクスピア没後400年記念出版
記念碑的名著『パラドクシア・エピデミカ』(白水社刊)でルネサンスにおけるパラドックスの伝統を明らかにしたコリーが、英国ルネサンス最大の作家にしてパラドキスト、シェイクスピアにあらためて取り組み、その豊饒な文学世界を様々な切り口から論じた畢生の大著。
『ソネット集』の?辛い?エピグラムと?甘い?ソネット、『ロミオとジュリエット』『オセロー』の愛の問題系から、エジプトとローマの価値観の対立に「アジア様式」と「アッティカ様式」の文体論争をからめた『アントニーとクレオパトラ』論、主人公と劇構造の自己回帰性をメランコリーを通じて分析した『ハムレット』論、『お気に召すまま』『リア王』および後期のロマンス劇における牧歌の変容、パラドックスの視点から読み解く『トロイラスとクレシダ』論まで、シェイクスピアを広くルネサンスの作家として捉え、精緻な読解によってその作品をヨーロッパの思想・文学の伝統に位置付けた壮大な試み。知的魅惑に満ちたシェイクスピア論の名著、待望の邦訳なる。
「批評が途方もない博識を綿密な読解と遊び心にも富むエレガントな言葉で表現できた二十世紀人文批評黄金時代の最後を飾る一書」(高山宏)
ロザリー・L・コリー[コリー]
1924年、ニューヨーク生まれ。英文学・比較文学者。ヴァッサー大学、コロンビア大学で学び、アイオワ、イェール、トロント大学などで教壇に立ち、1969年にブラウン大学教授に就任。16・17世紀のパラドックス研究『パラドクシア・エピデミカ』(1966、白水社)、アンドルー・マーヴェル論『「我が谺なす歌」』(69)を刊行、画期的なルネサンス研究を展開していた最中の1972年、カヌーの転覆事故で急逝。没後、『種の源泉』(73)、『シェイクスピアの生ける芸術』(74)が出版された。
正岡 和恵[マサオカ カズエ]
成蹊大学文学部教授。英文学。訳書にフランシス・A・イェイツ『ジョン・フローリオ』(共訳、中央公論新社)、マージョリー・G・ジョーンズ『フランシス・イェイツとヘルメス的伝統』(共訳、作品社)など。
内容説明
異貌のシェイクスピア。パラドックス、牧歌の変容、人工と自然、愛の問題系―様々な切り口から豊饒な文学世界を読み解く。
目次
第1章 技の批評と分析―『恋の骨折り損』と『ソネット集』
第2章 甘みと辛み―ソネット理論におけるいくつかの問題点
第3章 『オセロー』と愛の問題系
第4章 『アントニーとクレオパトラ』―文体のスタイルとライフ・スタイル
第5章 『ハムレット』―リフレクトする病としての憂鬱の解剖
第6章 牧歌の眺望―ロマンス、喜劇的で悲劇的な
第7章 「その点では自然が人工に優っている」―牧歌の定式の限界
第8章 形式とその意味―「墓に飾られうち棄てられる」
著者等紹介
コリー,ロザリー・L.[コリー,ロザリーL.] [Colie,Rosalie L.]
1924‐1972。ニューヨーク生まれ。英文学・比較文学者。ヴァッサー大学、コロンビア大学で学び、アイオワ、イェール、トロント大学などで教壇に立ち、1969年にブラウン大学教授に就任。16・17世紀のパラドックス研究、画期的なルネサンス研究を展開していた最中の72年、カヌーの転覆事故で急逝
正岡和恵[マサオカカズエ]
1954年、愛媛県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。現在、成蹊大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 和書
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