内容説明
3・11の東京電力福島第一原発事故発生以来、長期にわたる影響が懸念される放射線被害の実態。受忍を強いられてきた被爆者の歴史を繰り返さないために、その現実を原発被害者が直面する状況へと接続し、原子力を受け入れてきた国家による補償の在り方を考える。奪われた福島の未来を取り戻すために、いま被爆者たちの遺産を受け継ぐ。
目次
第1章 原発事故被害に対する補償制度―「中間指針」を読み解く(原発事故の被害;原子力損害の範囲;賠償の中間指針;指針の特徴と残された課題;健康調査と健康管理)
第2章 被爆者に対する援護―「原爆被害」の境界(現行の被爆者援護制度―法が定める「被爆者」と「原爆被害」;「被爆者」の誕生―原爆医療法制定まで;医療法改正と特別措置法制定;被害の発掘と責任の追及―被曝者運動の軌跡)
第3章 「放射線起因性」めぐる政治(「三号被爆者」裁判;「黒い雨」指定地域;「被曝体験者」とPTSD;原爆症認定と裁判;ABCC/放影研と被曝者調査)
第4章 被ばくと「受忍」―犠牲を強いられないために(放射線防護と受忍の思想;被爆者に対する受忍論;戦争被害受忍論の系譜;原発事故における「受忍」;戦後補償と原発事故被害の補償)
おわりに―被爆者の苦しみを繰り返さないために
著者等紹介
直野章子[ナオノアキコ]
九州大学大学院比較社会文化研究院准教授。2002年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校にて社会学博士号取得。主要著作に、『ヒロシマ・アメリカ―原爆展をめぐって』(渓水社、第3回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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