内容説明
かつて、大阪船場の商家では、主人の妻は“ごりょんさん”と呼ばれた。経営に才覚を発揮したり、店員や女中の教育や世話などで大きな役割を果たしたと言われる。『細雪』をはじめ、文学や映画でも憧憬の対象として描かれた“ごりょんさん”とはどのような存在だったのか。現存する日記を通して、そのくらしぶり、商家のしきたりを考察する。
目次
第1章 あこがれのご寮さん
第2章 ご寮さんという存在
第3章 杉村久子という人
第4章 店員との関係―吾助の結婚
第5章 女中との関係―杉村家に出入りする女たち
第6章 つき合いと贈答
著者等紹介
荒木康代[アラキヤスヨ]
大阪市生まれ。関西学院大学非常勤講師。社会保険労務士・中小企業診断士。商店・商店街の調査相談、企業の人事労務コンサルティング業務などを経て、2002年関西学院大学大学院社会学研究科に入学。2009年、関西学院大学社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門は経営社会学・歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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るるぴん
4
船場の女主人が細かく記した日記を紐解いて紹介していて、ノンフィクションなだけに興味津々の内容だった。日記の内容に時代の移り変わりが感じられてダウントンアビーを思い出した。ぼんぼん(商家の跡継ぎ)がダメでもごりょんさんがしっかりしていると繁栄する。ぼんぼん=会長、番頭=社長、ごりょんさん=営業部長、総務部長、人事部長、社長室長、みたいな感じ。女性活躍とか・・武家とサラリーマン、役人の集団組織に分断されただけでごりょんさんみたいなモデルがいたことを世の中すっかり忘れてる気がする。2020/12/14
つばな
1
なかなか歴史の表舞台に出てこないので、よく分からないけどなんとなく憧れのあった商家のごりょんさん。家を切り盛りするこの妻像はカッコイイけど…大変や…。2014/04/22
sin64
1
現存する日記を読み解くことで、昭和初めの商家の暮らしぶりがいきいきとよみがえる。特に、女中に対する贈答や、また、仕事のあり方などは、現代と比較して面白く、著者の荒木さんにはぜひ、引き続き日記を読み解いてもらいたい。2012/02/28
コホン
0
大阪に行ったときにジュンク堂で見つけて買ったもの。元ごりょんさんという存在の方の日常ですが、日々の物のやり取りが頻繁で気配りが大変だなぁという感じ。その当時の1円がどれくらいのものかわからないのでそれに触れてくれるとよかったんだけど・・・。2013/08/06
ひろただでござる
0
大阪船場における商家のしきたりを細々と書かれていて興味深い。「ごりょんさん」の日記そのものが少ないので、筆者が感じた印象を追認するしか無い所が物足りない。2013/03/09