内容説明
作家である語り手がかつての自分、多米の物語を紡ぎ出す。現実と虚構の狭間で苦しみながら成長していく孤独な女性のモノローグ。性の目覚め、美しさへの憧れ、作家としてのデビューと、盗作事件―中国ジェンダー文学を代表する作家の表題作のほか中篇1篇を収録。
著者等紹介
林白[リンバイ]
1958年、広西壮族自治区の生まれ。高校卒業後、農村に下放。武漢大学図書館学科を卒業。広西図書館、広西映画製作所、北京の『中国文化報』勤務を経て、1996年からは執筆活動に専念。70年代後半から詩を、その後小説を書きはじめ、90年代の女性性表出の流行の中で性や身体についても果断に描写して注目を集めた
池上貞子[イケガミサダコ]
1947年生まれ。跡見学園女子大学教授。専門は中国語圏の近現代文学。東京都立大学大学院修士課程修了
神谷まり子[カミヤマリコ]
1974年生まれ。国士舘大学政経学部准教授。東京都立大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。専門は中国近現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェンソー
2
フェミニズムとか性に触れる中国女性文学の代表作的な紹介文につられて読みました。主人公の男性との性体験(まぬけな)の描写は生々しくて良かったけども、女性にまつわる部分など、夢見がちな所と自意識過剰な所ばかりでねむたかった。性への羞恥や恋愛感なども、いたって古典的でがんじがらめな感じも、共感できなかったが、当時の時代の先鋭がこの思想だったのか、と見ると面白いのか?2012/12/05
勉誠出版営業部
0
林白の『たったひとりの戦争』を読了。ド頭の自慰行為の描写がインパクト大。内容は告白体で描かれた著者(と思しき人物)の半生。中国でこうした赤裸々な作品が刊行されていることに驚き。2015/06/20