出版社内容情報
2000万人が貧困、210万人が生活保護を利用――ストーリーとデータから考える、健康で文化的な最低限度の生活とは。
内容説明
現在、「日本に貧困はない」という人はいない。実際に、6人に1人が「貧困」と言われるこの日本で、「貧困」は私たちのすぐそばにある。しかし、私たちはそれを体感しているだろうか。「貧困」は数字で語られることが多いが、数字が語りかける「問題の深刻さ」は、必ずしも具体的なイメージをともなわない。本書では、ストーリーとデータの往還から「この国で貧困であること」の意味を浮かびあがらせていく。私たちは「貧困」とどう向き合い、乗り越えていけばいいのか。安易な絶望に陥らないための最良の入門書。
目次
第1章 路上
第2章 炊き出し・夜回り
第3章 生活保護
第4章 相談会
第5章 不正受給
第6章 若者
第7章 アパートとネコ
第8章 家族
第9章 暴力団
第10章 バッシング
著者等紹介
大西連[オオニシレン]
1987年東京生まれ。認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長。新宿ごはんプラス共同代表。生活困窮者への相談支援活動に携わりながら、日本国内の貧困問題、生活保護や社会保障制度について、現場からの声を発信、政策提言している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん
23
新書版を借りました。 この手の本を読んで思うのは、幾ら支援者が手を差し伸べても、新しく手に入れた生活を維持するのは本人の意思に依るという事。顛末まで書いてるところがこの本の誠実なところだと思う。ケーキの切れない非行少年たちという本を読んで確信しましたが、本人の意思に依らない事でホームレスにならざるを得ない人達がいると認識すると、不思議と不良、ホームレスに嫌悪感を抱かなくなった。好き嫌いの前に、先ずは事実を知らないと世の中は変わらないと思う。2019/10/29
はる坊
18
①身近な貧困を知る②生活保護、ホームレス、不正受給③貧困の実態を知りたい人向け④貧困者をサポートする団体の理事長を務める著者の実体験を元に、貧困の実態に迫るほぼノンフィクションの作品。 今は違うけどいつ自分が生活に困ることになるのか分からない。 頭では分かっていても、中々起こり得ないと思ってしまうのが多くの人の実感だと思う。 でも同じ世界に確実にしている。 そのことに目を背けてはいけないし、 安易に批判してもいけない。 「自己責任」なんかで思考停止するのはいけないと思った。2020/05/06
だてこ
11
貧困って、かなり身近にあるものなんだなと思った。コロナ禍になって、もっと貧困が加速してしまったんじゃないだろうか。日本の現状を考えさせれる。2022/02/26
空
9
路上生活者の支援をしている著者の活動の記録について語られている。生活保護を受けるのに、都会では住む場所の提供が難しく一部屋にびっくりするぐらいの人数が詰め込まれてしまう時があり、それが嫌でまた路上に戻ってしまう人達がいるとの事。生活保護を受けるのにこちらもある程度法律の知識が無いと上手いこと役所で追い払われる。本当に支援が必要な人ほど自分で行政に助けを求めるのが難しいと思った。2020/03/12
Mc6ρ助
8
「数字」ではなく示される今の日本の貧困の実態、自己責任論は置いておいて、この有り様は我々永年に渡る政治的選択の結果であるのは間違いない。波が来たかどうか、波の定義なんて国会で討議している場合とは思えない。『・・自業自得じゃない・・みんなが思い描くような、「完全潔白な困窮者」っていない。・・誰だって、「もっと・・していればよかった」とか「あの時、・・頑張っていたら・・かも」「あの人と結婚しておけば……」って、人生の選択に失敗はつきものです。自己責任って言いだしたら、誰も反論できません。(p 334)』2020/08/20