出版社内容情報
フランスの公立学校でイスラム少女のかぶるスカーフが禁止された。移民排斥と不寛容がEUを覆う。問題の根幹と未来図を描く基本図書
内容説明
ムスリム少女達のスカーフが共和主義の普遍性を揺るがす。差別的でも序列的でもない“共生”には何が必要か。フランス社会の中のイスラームを根底から分析。
目次
第1章 スカーフ論争
第2章 人権主義
第3章 世俗主義
第4章 個人主義
第5章 セクシュアリティ
第6章 結論
著者等紹介
スコット,ジョーン・W.[スコット,ジョーンW.][Scott,Joan Wallach]
1941年ニューヨークのブルックリンでユダヤ系の家庭に生まれる。1962年にウィスコンシン大学で博士学位取得。現在、(プリンストン)高等研究所社会科学部教授。フランスの労働史を専門とし、英語圏におけるジェンダー歴史学の草分け的存在である。近年はとくに、民主政治が普遍化する力にたいしてジェンダーの特殊性がどのような関係にあるのかを追っている。著書に、H.B.アダムス賞を受賞したThe Glassworkers of Carmaux:French Craftsmen and Political Action in a Nineteenth Century City(1974)など多数
李孝徳[イヒョドク]
1962年福岡県小倉生まれ。東京外国語大学准教授。表象文化論、ポストコロニアル研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
5
イスラーム女性の人権を思う。文化という概念は、歴史的に固有な政治的言説の結果(14頁)。「宗教はその宗教を特徴づけてきた『伝統』に反する独自の合理性や論理を持つだけでなく、時間をかけて発展を遂げてもきた」(110頁)。そうした側面もある。「自由と平等という共和主義の原則を信奉する人々は、ヴェールを棄却しなくてはならなかった」(174頁)。覆い被せなければならない価値ではない。自由と平等こそ、民主主義の基礎だから、堂々と、見せておけばよいだろう。人種や宗教が違っても、普遍的で地球化すべき共有したいのがある。2013/04/23
takao
1
ふむ2019/11/18
メルセ・ひすい
0
★5 仏に於ける、スカーフとは!なんぞや? 世俗主義と平等を国是とする共和国市民を育む学校で政教分離を侵犯し、女性の従属かを持ちこむイスラム教移民のイスラム的野蛮の象徴とされる。だが放校処分の対象となったイスラム少女たちにとって、スカーフは社会で周縁化される自らのアイデンティティを主張し、尊重を求め、主体であろうとする手段なのだ。イスラム少女たちのスカーフが共和主義の普遍性を揺るがす。「共生」には何が必要か。合州国きってのジェンダー歴史学者が、差別と紛争が日常化する「西洋」の現在と問題の根幹を明らかにする2013/01/16