大人の本棚
一葉のポルトレ

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  • サイズ B6判/ページ数 184p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622080992
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1395

出版社内容情報

明治29年(1896)年、25歳で逝った樋口一葉(夏子)。その素顔を知る家族や友人、同時代の文学者が綴り語る女文士一葉のポルトレ集。あるいは一人の女性「なっちゃん」の肖像。「一寸若い叔母さんという感じがありました」(戸川秋骨)。「寂しがっておられるところへ行き合わせたりすると涙を出さんばかりに喜ばれた」(疋田達子)。現代かな遣いで明治の声が甦る。

内容説明

拗ね者、頑張り屋、寂しがり。明治の青春を駆け抜けた、なっちゃんこと樋口一葉。素顔を知る家族・友人等が語る「肖像」、薄田泣菫、馬場孤蝶、幸田露伴他の16篇。

目次

「たけくらべ」の作者(薄田泣菫)
若い叔母さん(戸川秋骨)
一度見た事のある一葉女(岡野知十)
樋口一葉―生活苦を超えて一筋の道に生きたお夏さん(疋田達子)
緑雨・一葉・鴎外邸(平田禿木)
一葉の思い出(平田禿木)
文学界と一葉女史(星野天知)
一葉全集の末に(馬場孤蝶)
大音寺前(馬場孤蝶)
「にごりえ」の作者(馬場孤蝶)〔ほか〕

著者等紹介

小池昌代[コイケマサヨ]
1959年東京深川生まれ。詩人。著書に、詩集『永遠に来ないバス』(1997、思潮社・現代詩花椿賞)、『もっとも官能的な部屋』(1999、書肆山田・高見順賞)、『ババ、バサラ、サラバ』(2008、本阿弥書店・小野十三郎賞)、『コルカタ』(2010、思潮社・萩原朔太郎賞)、『タタド』(2007、新潮社・川端康成文学賞)等。絵本の執筆、翻訳も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みつき 

39
家族、親友、萩の舎の先輩、一葉の想い人、同じ文学者として彼女の才能を高く評価した人、皆それぞれがどれほど一葉を思っていたかがよくわかる素敵なポルトレ集。立場の違う方々が思い思いに寄せた言葉の中から浮かび上がる一葉像はまっすぐ、そして清く透明なもの。意外にも客観的に彼女の人物像を捉える事ができたように思います。どの方も興味深いのですが、特に平田禿木の文学者として一葉を守りたい意地、半井桃水の一葉に深く配慮した優しさあふれる文章、田辺夏子の親友だからこそ知る一葉の姿が印象的でした。2013/07/23

しんすけ

18
一葉の生前に何らかの交流があった人たちのエセーを集めたもの。 読むと気丈だけど、人情に篤かった一葉の姿が朧げに浮かんでくる。 「たけくらべ」に淡い恋を書いたのは、ままならない自分の人生を顧みたものだったのかもしれない。 興味深い話が書かれていた。 漱石と一葉の父親同士の間では、将来は二人を結ばせる話が進んでいたと言う。 一葉の父の死で実現しなかったらしいが、もし二人が夫婦だったらと考えるのも面白い。 でも一葉の作品が貧苦に絶えて結実したことを思うと、漱石夫人の一葉では、「にごりえ」なんかは考えにくい。2022/10/12

mawaji

6
「色の浅黒い、小さいけれども少し猪首な町屋娘」とか「聡明そうな顔した人であった、敢えて醜いと云うほどではないが」などというルックスについての評は二十代前半の女子には手厳しいけれど、そういうことに頓着しない人物像が生き生きと浮かび上がってきてとても面白く読みました。三宅花圃はやはりだいぶ気が強い方だったのでしょうか。半井桃水の一文も興味深く思いましたがやはりちょっと言い訳っぽい感じ。でもどの人の文章も一葉愛に溢れているようです。姉を思うくうちゃんの談話とそれを受け止める小池昌代さんの解説が胸にグッときます。2018/06/08

ぱせり

3
13の随筆中、もっとも心に残るのは、詩人の薄田泣菫によるもの。13人中、彼だけが一葉と交流はない。図書館でふと見かけた一葉の印象的な姿と所作とを書いているのだけれど、それが本当に鮮やか。ほんの一瞬の出来事ながら、読む者にとっても忘れられない絵になった。13葉中のどのポルトレよりも心に刻み付けられている。 2023/10/18

ぼんくら

2
一葉の周りの人々の文章から浮かび上がるポルトレ。文学仲間、友達、妹など親しかった人たちのものも興味深かったが、薄田泣菫がたった一度みかけた一葉姉妹のことを書いた『「たけくらべ」の作者』がとても良かった。一葉と仲の良かった田辺夏子の『わが友樋口一葉のこと』も飾らない文章で好きです。2012/07/26

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