内容説明
後白河天皇(一一二七~一一九二)平安時代末期の天皇。鳥羽天皇の第四皇子として生まれ、近衛天皇崩御の後皇位を継承し、譲位後は上皇・法皇として院政を敷いた。保元・平治の乱、治承・寿永の乱と、激動の時代を生き抜いた法皇の真の姿に迫る。
目次
第1章 中継ぎの天皇(雅仁親王と今様;陰謀渦巻く即位)
第2章 保元・平治の乱(鳥羽法皇の死;保元の乱の勃発;保元新制と信西;反信西勢力の結集;平治の乱)
第3章 清盛との連携のなかで(二条親政の成立;後白河院政の確立と清盛落胤説;法住寺殿と蓮華王院宝蔵;日宋貿易と阿育王山舎利殿;後白河と清盛の亀裂)
第4章 平氏政権の成立(鹿ヶ谷事件;安徳誕生と後白河幽閉;平氏政権と以仁王挙兵;福原遷都;南都焼き討ちと清盛の死;北陸道追討軍大敗と平家都落ち)
第5章 後白河の軍事体制と大仏開眼(義仲入京と後鳥羽天皇践祚;十月宣旨と法住寺合戦;木曽義仲の敗死と源義経の入京;後白河と義経;大仏開眼とよりとも追討宣旨)
第6章 頼朝との対立と和解(廟堂粛清;摂関家領相論をめぐって;奥州合戦をめぐって;頼朝の上洛;最後のとき)
著者等紹介
美川圭[ミカワケイ]
1957年生まれ。1988年京都大学大学院文学研究科国史学専攻博士後期課程指導認定退学。現在、立命館大学文学部教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
20
ミネルヴァ日本評伝選、図書館から。このシリーズは図書館に揃っているので、月に1冊くらち読んでいるが、当たり外れが大きい。この本は残念ながら外れ。後白河天皇が主人公ではないのである。ただ、平安末期から鎌倉幕府成立の時期の歴史書としてなら評価できるか。2016/11/30
アメヲトコ
7
2015年刊。著者自身がわかりにくいと吐露しているように、何とも不思議な人物です。本来は守仁親王(二条天皇)即位までの中継ぎの天皇であったはずが(本書のタイトルが「天皇」であることは皮肉)なぜかライバルが自滅、周囲のさまざまな勢力に翻弄され、さらに無駄に自ら地雷をふみまくりながらもなぜか最後は結果オーライ気味になる。人生とは不思議なものです。2021/12/27
Aki
1
後白河院を知る入門書として良いかな?と手に取った。本来ならば天皇の座に着くことは無いはずだった後白河院が、如何様にして権力を握っていったのか。後白河院の素質や人柄について述べるというよりは周囲の人間の動きに触れながら明らかにしている。非常に人名が多いため、基礎知識としてこの時代に活躍した人物をあまり知らないぞと言う人は家系図を準備した方が理解が深まるかと思う。私は全くの更で読んだこともあり、ロシア文学の人物名に翻弄されるが如くでした。2021/09/16
うしうし
1
2012年の大河ドラマ「平清盛」の時代背景を理解するため、元木泰雄・高橋昌明・美川圭氏らの新書や選書を読んだことがある。今回、新たに美川氏の新刊が刊行された。院政期の複雑な政治状況や人物関係が詳細に解説されている。「政治史叙述の多くは元木」氏によるところが多く 、「後白河の多様な側面に」は論及できなかった(あとがきp242~243)と、著者自ら語る著作ではあるが、私にはたいへん勉強になった。過去に読んだ清盛関係本をもう一度読み返して、復習したい2015/04/13
でろり~ん
0
大天狗っぷりが、充分には書かれていない感じですね。そもそもの政の乱れの根本なのではないかと思われる祖父、白河天皇について、そして院政についての書籍もある著者のようですが、どうしてでしょう。頁数の関係でしょうか。残念な内容でした。権力欲が複雑に絡み合っているのはいつの時代でも同じなんでしょうけれど、その混乱に拍車をかけてのかな、という今様好きの大天狗。この本だけでは自分では何も決められないただの阿呆みたいに思えます。んなはずは無い、のでしょうけれどねえ。錯綜、という背景は伝わってきました。でも、それだけ。2017/05/20