出版社内容情報
近年,膨大な財政赤字や人口減少を背景として,政策廃止という不利益の分配がなされようとしている。これまで起こりにくいとされてきた政策の廃止が,いかなる過程を経て実現したのかを,土地開発公社,自治体病院事業,ダム事業の事例を取り上げ,明らかにする。
序 章 本書の目的──どのようにして不利益を分配するか
第1章 理論的枠組み
第2章 土地開発公社
第3章 自治体病院事業
第4章 ダム事業
終 章 不利益の分配過程
柳 至[ヤナギイタル]
著・文・その他
内容説明
第二次世界大戦後の日本政治は、地方に公共事業や補助金の分配を行うなど、もっぱら利益を分配してきた。こうした利益を分配するという政策は、財政赤字を生み出し、その深刻さは年々増している。それに加え、人口減少、少子高齢化も進展しており、こうしたことを背景に、近年、政策廃止という不利益の分配がなされ始めている。本書は、これまで起こりにくいとされてきた政策の廃止が、いかなる過程を経て実現したのかを明らかにするとともに、廃止という政策的帰結を左右する要因についても考察する。
目次
第1章 理論的枠組み(政策廃止の定義;政策廃止研究の課題 ほか)
第2章 土地開発公社(土地開発公社の概要;外部環境の変動―地価下落と有権者の行政改革志向 ほか)
第3章 自治体病院事業(自治体病院事業の概要;外部環境の変動―自治体病院の経営悪化 ほか)
第4章 ダム事業(ダム事業の概要;外部環境の変動―水需要の減少、有権者の態度変化、国の補助中止 ほか)
終章 不利益の分配過程(政策廃止の過程;本書の貢献と課題 ほか)
著者等紹介
柳至[ヤナギイタル]
1983年、山口県に生まれる。2007年、東京大学法学部卒業。2012年、筑波大学大学院人文社会科学研究科修了、筑波大学人文社会系特任研究員等を経て、琉球大学人文社会学部准教授。博士(政治学)。専攻は、行政学・地方自治論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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