内容説明
公共経済学は、政府の行動と政策について考える学問です。時に期待を裏切るような政策が実行されてしまうのはなぜか。政治や政策に関わる人びとの動機を考えることで見えてきます。私たちが直面する問題について考えるための基準を、本書で身に付けましょう。
目次
いま、どのような問題を抱えているのか?―政治・経済・社会
第1部 市場と効率性の視点(経済学ではどう考える?―モデル分析と社会的余剰最大化;市場に任せられないときもある?―市場の失敗とその対応;「みんなのもの」は不足する?―公共財と政府の役割)
第2部 政府の役割と失敗(みんなで決めるということ―民主主義と社会的意思決定;私たちの声は届かない?―間接民主制と選挙制度;政府は誰のもの?―政治家・官僚・利益団体)
第3部 再分配政策(社会の誰を優先する?―格差と再分配政策;政府の活動は誰が支える?―税の仕組みと効果;世代を超えて助け合える?―年金制度と財政問題)
著者等紹介
寺井公子[テライキミコ]
2003年、東京大学大学院経済学研究科博士課程現代経済専攻修了。法政大学経営学部教授等を経て、慶應義塾大学経済学部教授、博士(経済学)
肥前洋一[ヒゼンヨウイチ]
2004年、ペンシルバニア大学大学院経済学研究科博士課程修了。北海道大学大学院経済学研究科准教授等を経て、高知工科大学経済・マネジメント学群教授、Ph.D.(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
お抹茶
3
入門者向けに丁寧に解説。選挙関連が詳しい。社会的余剰が最大にならないことがカルテルを禁止する独占禁止法の経済的意義。小選挙区制のように1つの選択肢が選ばれる相対多数決では,一番目に好きな選択肢が選ばれないと悟ると二番目に好きな選択肢に票が集まる傾向にある。これをデュヴェルジェの法則という。負の所得税は,補助金を与えることで所得水準に基づいた低所得者対策を行えるが,多くの補助金を得るために所得を隠すインセンティブも与える。課税による社会的余剰の損失は税率の2乗に比例し,需要の価格弾力性が高いほど大きい。2019/03/11
ソーシャ
2
政策評価を行うことを目標にしたコンパクトな公共経済学の入門書。基本的なミクロ経済学、政治経済学、財政学と広い分野のさわりの部分が扱われていて、経済学の考え方を基礎から丁寧に説明しています。経済学の入門書としてかなりいい本だと思いますが、この本が難しく感じられる人は同シリーズの『ミクロ経済学の第一歩』を先に読んでおくといいかもしれません2016/04/02
じ
1
経済学を全くやったことがないのでとりあえず読んでみた。行政学などの要素もあるので読みやすい。2020/05/17
アコ
1
知りたかったところだけを読みましたが、初心者にもわかりやすく数式の少ない本でした。公共経済の視点を学ぶ最初の一歩として気軽に読めました。2018/09/09
Yakmy
1
公共経済の入門書。とても教科書的で、現実の事例を分析するわけではなく、さまざまな理論を体系立てて紹介している。大学の講義で使うような本。2016/02/15