出版社内容情報
鎌倉時代も今と変わらず、道路は社会を支える存在だった。しかし、道そのものの実態は資料が乏しくつかみにくい。中世の幹線道路=〈大道〉のかたちや、異界との接点としての機能、地域に及ぼした影響力、権力との関わりなど、古道の知られざる実像に迫り、「かまくらかいどう」に代表される従来までの古道観や、道路を生んだ社会観の克服を試みる。
内容説明
鎌倉時代も今と変わらず、道路は社会を支える存在だった。しかし、道そのものの実態は資料が乏しくつかみにくい。中世の幹線道路=“大道”の実像に迫り、「かまくらかいどう」に代表される従来の古道観の克服を試みる。
目次
道路と中世社会―プロローグ
不思議な古道たち
大道という名の道路
なにかが大道をやってくる
大道と地域社会(一)山村の大道
大道と地域社会(二)都市の大道
大道と公
大道の社会史へ向けて―エピローグ
著者等紹介
岡陽一郎[オカヨウイチロウ]
1968年、栃木県に生まれる。2000年、青山学院大学大学院文学研究史学専攻博士後期課程修了、博士(歴史学)。現在、一関市博物館骨寺村荘園遺跡専門員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
10
「大道」という、字面から連想される直線的で広幅員の街道とはおよそ異なる鎌倉時代の道の実態について解説した一冊。現在の関東の各地で見られる「鎌倉街道」が多分に後世からのイメージ遡及されたものであるという指摘にははっとさせられました。2019/12/14
六点
8
道路というものは家を一歩出たら、必ず利用するものであるが、平成になる前、その道がどういう状態であったか?意外と思い出せぬものである。況や鎌倉時代に於いてや。関西にいると殆ど意識せぬ鎌倉への道が、関東や東北では「中央への道」と意識され伝承にて再現するには扱い難く、著者は当時の史料や絵図、そして現地調査で鎌倉時代人にとっての「大道」とは何かを解き明かしていく。そこに描かれた「道」の枢要さが素人にも解りやすく描き出される。そして鎌倉幕府の「意志あれど力なし」な道路管理なども。交通とは何かを考えさせる良書である2019/04/20
onepei
3
鎌倉街道についてすっきりした 鎌倉幕府が積極的に道路にかかわらなかった理由も納得2019/05/27
Teo
3
確かに関東に住んでいると思わぬ所で鎌倉道に遭遇する。何となく鎌倉に通じる道かと思っていた。ところが本書を読むと必ずしもそれは鎌倉に直接至る道とは限らないと言うのを知った。とは言え、私がこれまでに遭遇した鎌倉道は全て鎌倉に直結する道と言うのも確認した。確かに当時の鎌倉幕府の力では自力での街道整備は無理だったろう。古代国家、江戸幕府、その時の様な全国的な強制力は持ち合わせていない。そんな場合の宗教家を利用したと言うのはなかなか面白い。2019/05/16