出版社内容情報
彼らはなぜ祀られるようになったのか。その過程を読み解き、地域守護、治病利益など、さまざまな役割を担った〈神〉の全体像に迫る。
内容説明
死後、あるいは生きているうちから“神”となった武士がいる。彼らはなぜ祀られるようになったのか。祭祀・神格化の過程を読み解き、地域守護、治病利益、国家の忠臣など、さまざまな役割を担った“神”の全体像に迫る。
目次
「今以て生きてござる」―プロローグ
神になる武士
神格化という記憶のスタイル―記憶としての祭祀
アイデンティティの支え
武士を神に祀る民
武士身分の消滅と近代化のなかで―開放と収斂
生き続けてきた武士の記憶と祭祀―エピローグ
著者等紹介
高野信治[タカノノブハル]
1957年、佐賀県に生まれる。1985年、九州大学大学院文学研究科博士後期課程(史学専攻)単位取得退学。九州大学大学院比較社会文化研究院教授を経て、同大学名誉教授、特任研究者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
106
死後も人びとの心に生き続け深い影響を与える存在を、日本人は古くから神として祀ってきた。特に武士は偉人だけでなく、平将門を筆頭に多くの敗者や叛逆者も神とされてきた。「こんな人がいた」という記憶の継承だけでなく、家や地域や歴史上のシンボルとなる祭神とされたのだ。それは祀る者の立場を正当化する政治的思惑もあったが、現世利益を与えたり伝説や文芸で語られて民衆に支持されなくては本当の意味で神とはなれなかった。現代でも彼らに新たな価値を与えたいと望む人がいる限り、神格化の途切れることはないのが日本人の心性なのだから。2022/06/15
乱読家 護る会支持!
7
権威ある武士の神化、先祖崇拝としての武士の神化、地域の守護神としての神化、祟りを恐れての武士の神化など、神化のプロセスはさまざまのようです。 現代人に人気のある織田信長公は、神化しても多くの信仰を集めてはいない(建勲神社)し、同じく人気の維新の立役者・坂本龍馬さんは、霊山護国神社にひっそりと祀られていますが訪れる人は少ない(僕は好きな場所です)ですね。 人が創り出したフィクションから神化した武士もおり、死後の世界があるとすれば、その神化された武士本人からすれば「虚像にすがられてもなぁ」と思われてたりして。2023/02/15