内容説明
日本民俗学はフォークロアでも文化人類学でもない。柳田國男・折口信夫・渋沢敬三らの原点確認によりそれらの誤解を解き「もう一つの歴史学」として捉え直す。民俗学の新たな出発と豊かな可能性を描く民俗学入門。
目次
1 民俗学への誤解を解く(日本民俗学はフォークロアでもなく文化人類学でもない;誤解の原因と理解への道筋 ほか)
2 柳田國男以前の民俗学(近世文人の視点と作業―風俗習慣への関心とその情報収集へ;明治期の動向―西欧輸入の初期人類学と土俗研究)
3 柳田國男の日本民俗学―それは民間伝承論(柳田國男と『郷土研究』;『民族』と新たな出発 ほか)
4 戦後日本民俗学の出発(民俗学研究所と日本民俗学会;大学教育と民俗学 ほか)
5 日本民俗学の新たな出発(国立歴史民俗博物館の創設;日本民俗学の新たな出発とその豊かな可能性)
著者等紹介
新谷尚紀[シンタニタカノリ]
1948年広島県生まれ。1977年早稲田大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得。現在、國學院大学大学院および文学部教授、国立歴史民俗博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授、社会学博士(慶應義塾大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はら坊
2
日本民俗学史、特に柳田國男の民俗学についての入門書。 日本民俗学は、イギリス発のフォークロア、ドイツ発のフォルクスクンデ、人類学、民族学、社会学とは一定の共通性がありながらも、有形無形の民俗を歴史資料として読み解く、「もう一つの歴史学」である、という立場を著者はとっている。 民俗学の方法論についての論争、それを超越した感情的なしこりについての紹介もあり、面白い。 著者が柳田の継承と発展を重視しているからか、戦後の民俗学(ex.地域民俗学、都市民俗学)の動向や柳田民俗学への批判的姿勢が乏しいことは少々残念。2020/05/05
ざっきい
1
宮田登「はじめての民俗学」より堅そうと思い読んだ本。民俗学と呼ばれる学の捉え方、捉えられ方の歴史を記しており、ハレやらケやら、マレビトやら蝸牛考やらは殆ど単語だけの登場となる。戦時下の影響や文化人類学との絡みに触れるなど面白いが、記述が簡素で私には難しい。2016/05/29
しゃお
1
日本民俗学の黎明期から、現代における民俗学の占めるべき位置そして果たすべき役割までを順を追って顕かにしてくれる良書。浅学菲才の身には理解の及ばないところもあったが、あらためて民俗学に親しみたいという思いは強くなった。2013/05/22
ほうすう
1
自分の先生の本を宣伝するのもなんだが、大変分かりやす民俗学の歴史の概説書だと思う2013/01/14
onepei
1
民俗学概論の教科書のようだ。民俗学史がわかる。2011/06/28