感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
97
ヘッセの自身集大成的巨編。<「ガラス玉遊戯」という学問と芸術の総合成果を表現する遊戯>の聖地カスターリェンで主人公ヨーゼフ・クネヒトは最高位の「遊戯名人」位を授けられる。が、9年後、俗世との折り合いの困難さを認識し、その地位を辞して弟子の少年と川で泳いでいる途中に死んでしまう。ストーリーはこれだけだが、肝心の「ガラス玉遊戯」がよくわからなかった。一体クネヒトはどのような修行をしたのだろうか。また時代設定（200～300年後）と音楽（１8世紀以前のものばかり）のセッティングはピンとこなかった。G1000。2023/07/18
NAO
59
ＳＦの手法を取り、迫りくるヒトラーの脅威を感じる中で精神世界の重要性を描いたヘルマン・ヘッセの最後の大作。戦争時代の反省から生まれた精神世界の理想郷カスターリエン。その存在が危機に瀕していることを知ったクネヒトがとった行動は、誰よりも精神世界の重要さを理解し、それを守ろうとする行為だ。なのに、それがカスターリエン人に理解されないというもどかしさ。ヘッセの「すべてが変わり続け、同じところにとどまってはいない」という輪廻感や、初等教育の重要性を説く考えは、精神世界のあり方に対する警告とも思えた。2017/05/23
加納恭史
21
スウェーデンボルグの天界の様子はスルメを噛むような味わいで、愛と役立ちの世界は現世から繋がるというのはかなり難しい。久しぶりに懐かしい作家のヘルマン・ヘッセのこの作品から、彼の神秘的な物語を読む。序章では「ガラス玉遊戯」の本質的と歴史として精神の理想郷カスターリエンから述べられる。カスターリエンとはギリシアのパルナッソス山の聖なる泉カスタリアにちなんでヘッセが名付けた精神的理想郷である。カスターリエンの理念は、ピタゴラス、スコラ学派、人文主義者、クザーヌス、ライプニッツ、ノヴァーリスなど学芸の総合精神。2024/02/11
たかしゃや
11
ん十年ぶりに再読（たぶん４回目）。メインストーリーのラストは、今までと同じようなあっけなさだったが、そこだけ２回読んで、やっぱりそういうことかと思った。それにしても、改めて、自分にとってただの偶然とは思えないことが、この小説にはあり、驚愕に近いものをおぼえた。初めて読んだのは７６年だから高校生だった。そのあと何回か読み返した。そのたびにラストに納得いかなかった。だが今回、やっと納得がいった気がする。 そして、ヘッセの真意は、むしろ３つの履歴書のほうにあるのではないかとも思った。この本は私のバイブルだ。2015/06/06
訪問者
8
さて「ガラス玉遊戯」であるが、「ナルツィスとゴルトムント」のような起伏に富んだストーリーやドラマは無いが、これも確かにヘッセ一代の傑作だろう。但し、タイトルのガラス玉遊戯というのは、作中で色々と説明されてはいるのだが、どうもイメージしずらいというか、はっきり言ってよく分からない代物なのだが。2019/01/28
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- 和書
- 芸術脳 新潮文庫
