内容説明
中世ヨーロッパの戦闘教本。ロングソード術やレスリング、レイピア術など、中世・ルネッサンス期における剣術・格闘術のすべてを図解。
目次
第1部 概説(中世から近世までの戦闘様式の変遷;フェシトビュッフとは?;ヨーロッパ武術の基本理念;構えとは?;攻撃線とは? ほか)
第2部 技紹介(ロングソード;レスリング;ダガー;ハーフソード;殺撃 ほか)
付録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
33
先入観として、金属鎧の大男が重剛な長剣で叩きつける、フェンシングのつつきあいの決闘程度だったが、本書で蒙を啓かれた。ルネッサンス期頃までのヨーロッパに置ける多彩で強力な武技を、当時の指南書をイラスト付きで復刻。日本の組打ち、介者剣術や、柔術に優るとも劣らないこれらの優れたアーツが廃れたのは、中世から近代まで延々と戦争を続けたヨーロッパにおいては、携帯銃器の発達、銃剣の発明、強力な火砲の重用により、武技が不要となり、逆に武術が広く深く残った日本は、江戸数百年の天下太平によるものとは、皮肉でもある。2014/04/21
なつきネコ
10
西洋剣術をナメてた。まさに精密で合理的で応用力が半端ない。レイピアの構えは、日本なら丹田がなんたらと言われるだろうが、確かに合理的ですごい。それにロングソードの応用力、合理的な考えは日本剣術以上かもしれない。しかし、日本と西洋では組み技が発展したのは鎧の文化がより強かったと言うことだろうか、興味深い。しかし、これほどの文化を捨てたのは勿体ない。なんとなくだが、その合理的なゆえに滅び消えたのだろう。だから、妙に伝統を守ろうとしたジョージ・シルバーが気になり、尊敬してしまいました。2013/07/11
ぎがす
7
小説とかTRPGとかのネタに使えそう。スペイン流レイピア術の構えがめちゃくちゃ格好良かった。2013/09/01
井の中の恋
7
よく、ここまで調べたと感じました。 タガーの持ち方の理由、種類の解説。特に参考になったのは、日本では、使われない、バックラーの解説と使用方法で、図も解りやすかった。 2013/08/24
すがし
6
実際に中世の武道家の書いた教本にあたって、技の解説に逐一原典を明記するなど非常にしっかりした造りの本でとても参考になる。ただ中世の剣が突くだけでなく斬ることにも長けていたという主張は到底頷けない。レイピアの発達から近代フェンシングへの歴史的展開を見ても、西洋のswordは突くためのもので斬撃はあくまで補助的なものでしかないことは明らか。なにしろ「ソードはよく斬れる」と主張するこの本に、「相手の刃を手で握って無効化する技」が頻出するのだ。これほど内容のある本で、非現実的な主張をしているのがなんとも残念。2012/06/25