内容説明
昭和史上最大のクーデター、二・二六事件。その裁判において、青年将校たちは北一輝の影響下にあったと断じられたが、はたしてそれは事実なのか?青年将校たちの証言と北一輝の思想をつぶさに比較検証しながら、その真相に迫る。さらに昭和四五年、三島由紀夫が憲法改正を訴え割腹自殺を遂げた、いわゆる三島事件についても、二・二六事件の影響を視野に収めつつ、その思想的道程をたどる。
目次
第1章 青年将校たちの多様性
第2章 民族主義と『共産党宣言』
第3章 久野収と橋川文三の視点―北一輝と二・二六事件(一)
第4章 アジア主義との関わり―北一輝と二・二六事件(二)
第5章 内政への傾斜―北一輝と二・二六事件(三)
第6章 違犯とエロティシズム―三島由紀夫と二・二六事件(一)
第7章 疎外されるエクスタティコン―三島由紀夫と二・二六事件(二)
第8章 幽顕一貫のゆくえ―三島由紀夫と二・二六事件(三)
著者等紹介
野村幸一郎[ノムラコウイチロウ]
1964年三重県伊勢市生まれ、立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)、京都橘大学教授、日本近代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keint
9
二・二六事件および三島事件の思想的な事柄を短い分量でまとめている。それ故に少々説明不足なところがあるが、二・二六事件および三島事件の思想的なポイントを抑えるには十分である。あとがきでは決起主要メンバーでない竹島継夫にスポットを宛てているのにも関わらず、本文の池田俊彦に対しては議論が雑(決起参加理由を調書のみで判断し、本人の著書を引いていないどころか読んでいないような考察)であったのが気になった。2021/02/12
廊下とんび
6
浅いという印象はいなめない。晩年の三島と2.26事件は切っても切れない関係があるとはいえ事件としてはあまりにも時代背景が違う。青年将校の思想を文学的に解釈することにも違和感を感じる。それならば(三島と2.26事件)といった本にすればいいと思う。海千山千の魔王北一輝、彼なら天皇に取って替わるくらいの野心が若ければあったかも知れない、それに対して純粋培養、(君側の奸を打ち払い大御心を待つ)といった天皇への一途な(片思い)で立ち上がった青年将校、これもまた歴史の皮肉な悲劇だったとも言える2021/03/07
Go Extreme
1
青年将校たちの多様性 民族主義と『共産党宣言』 久野収と橋川文三の視点―北一輝と二・二六事件 アジア主義との関わり―北一輝と二・二六事件 内政への傾斜―北一輝と二・二六事件 違犯とエロティシズム―三島由紀夫と二・二六事件 疎外されるエクスタティコン―三島由紀夫と二・二六事件 幽顕一貫のゆくえ―三島由紀夫と二・二六事件2021/03/26
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