出版社内容情報
思想や政治の根底をなす「モノ」とは何か
中華思想、国家主席、独裁、愛国教育、情報統制、サイバースペース、民族、ウイルス……。リベラルの対極に位置づけられる、中国についての表面的で型にはまった認識。しかし、「大国」の原理を本当に理解するためには、その歴史を深く知り、物質的次元を見なくてはならない。近くて遠い隣国をめぐる、現代の物質的国家論。
内容説明
中華思想、国家主席、独裁、愛国教育、情報統制、サイバースペース、一帯一路、新型コロナウイルス…。自由や民主主義の極北として描かれる、現代中国についての型にはまった認識からは、「大国」の根底をなす原理を理解することはできない。中国語で考え、歴史に誠実に向き合い、その物質的次元から考える、気衛による新しい現代中国論。
目次
1 物質としての空間―人びとのあいだを埋めるもの(「科学」的「占い」に抗う大衆動員の予防について;チャイバースペース(Chyberspace)の出現とネット空間の「南北問題」―中国の「サイバー主義」論の背景にあるもの
尖閣問題に内在する法理的矛盾―「固有の領土」論の克服のために
「中国」という空間の定位と「天下」観念について
「中原」への回帰と乖離―中国社会の混淆性の問題について)
2 物質としての権力―支配の末端にあるもの(反帝・反植民地そして反日本軍国主義としての「保釣運動」;中国において“国家主席”とは何か;現代中国を見つめる歴史的視座―社会統合の位相より見る重慶騒動と指導者交代;「胡温政権」から「習李政権」への移行に何を見るべきか)
3 物質としての線 海と陸の地政学(「ウイグル問題」をめぐるアイデンティティ・ポリティクス再考―「陸」の世界の少数民族と貧困;朝鮮半島の「南北対立」の二重奏―北が南で南が北で;「陸」の位相における「ドイツ」と「中国」―「一帯一路」構想の地政学的意義の検討;「一帯一路」構想の経緯について;「一帯一路」構想を考察する意義と歴史の回帰について)
4 物質としてのエクリチュール―日本/日本語で語るということ(現代中国語の文語にまつわる雑感;二つの「国学」から見えてくるもの;明治における「近代」と「中国」―吉野作造のルジャンドル忘却に隠された意味について;「心」と「こゝろ」)
著者等紹介
羽根次郎[ハネジロウ]
1974年神奈川県横浜市生まれ。神奈川県立希望ケ丘高校、一橋大学社会学部を卒業後、同大学大学院言語社会研究科博士課程修了。天津外国語大学外国人教員、中国社会科学院近代史研究所ポストドクター研究員、愛知大学現代中国学部助教を経て、明治大学政治経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田氏
takao
-
- 和書
- 真宗教団の構造と地域社会