内容説明
神社は私たち日本人にとって身近な存在であり、他の国には見られない日本独自のものである。とくに境内に残る鎮守の杜は、訪れるものに深遠で静謐な印象を与える。昔は、神体とされる山のなかにある磐座が祭祀の中心だった。やがて「神仏習合」という形がとられ、明治の「神仏分離」まで、寺院と神社は密接な関係を持った。神社はその形を変えながら、古代から現代まで受け継がれてきた。神社に焦点を当てて日本人の歴史を振り返るならば、これまでとは違う日本史の姿が立ち現れてくるはずだ。
目次
第1章 神道と神社の発祥
第2章 天皇家の誕生と古代豪族
第3章 律令国家の成立と神仏習合
第4章 神として祀られた人々と武士の時代
第5章 江戸の庶民信仰
第6章 分かたれる神と仏
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
宗教学者、作家、劇作家。1953年東京生まれ。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任。現在は東京女子大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mstr_kk
9
カラーで写真やイラストが豊富に入っており、美しい本です。手をかけて作っているなあと感嘆しました。ちょっと単純な校正が甘いような気もするけれど……。信仰というテーマで、神社紹介という形式を通して、歴史の大きな流れを見ていく企画力・構成力がすごいなと思いました。2022/01/21
ココアにんにく
7
写真などの資料やイラストが豊富で分かりやすい。初めて知った事、気付いた事が多かった。鳥居の形。修験道。神仏習合の流れから明治の廃仏毀釈。熱田神宮は三宮だった事。廣田神社が凄い神社だった(二十二社制度)。祭神を集めて祀る総社。神宮号は明治になってから。平安神宮は歴史が浅くても好きな場所。恐れながらも一番興味を持ったのが「御霊信仰」。心理学本での「ヒトの脳はネガティブなことに反応しやすい」の通りで類書も読みたくなった。明るい面では60年に一度の「お陰参り」にも興味。犬のお伊勢参りが好きなのでもっと調べたい2020/03/17
Atsushi
4
書店でタイトル買いした1冊。最後のコラムに載っている神社関係者への「現代の神社事情」に関するインタビュー記事は特におもしろい。神社関係者であるインタビューワーによると日本の神社8万社に対して神主は1万人程しかおらず、神主を兼務されてる方もおり、神主が圧倒的に足りてないのが現状とのこと。神社業界にも少子化と副業?の波が押し寄せてるようだ。2019/05/12
みっちゃんxox
2
神社、仏閣、仏像、観音像、社殿、彫刻、造り等が好きだ。鳥居を抜けたなんとも言えない聖域に入った感が大好きだ。神道は、開祖もなく、教えも経典もない宗教だと筆者は言う。二礼二拍手(四拍手)一礼とか、手水舎の柄杓の使い方とかの作法はあるけど、、、それぞれの時代、人に密着して崇拝されてきた神社があったのはわかるけど、、、2021/12/08
Shinya Fukuda
2
大半が写真や図表で構成されている。時代に沿って神社信仰がどう変化してきたかが書かれている。神道には教典がないので仏教の影響を強く受けた。その結果が神仏習合や本地垂迹説だ。また、修験道の影響もある。怒る霊を鎮めるために建てられたものもあった。それが生前の功績を讃えてになり民衆の思い入れと結びついてどんどん増えていった。江戸時代は伊勢詣他が盛んになった。これは庶民にとっては信仰というより一世一代のレジャーだった。明治神宮、平安神宮、橿原神宮辺りは政治的な要素が強い。2021/02/07