出版社内容情報
祖国を追われ、国外暮らしのバウマンのアイデンティティはどこにあるのか。近代を問い続けた彼がこの問題に立ち向かう。
内容説明
祖国ポーランドを追われ、現在もイギリスに暮すバウマンが、自身のアイデンティティとともに、現代社会に生きる私たちのアイデンティティについて語った一冊。
目次
アイデンティティ問題との遭遇
アイデンティティ問題の浮上の背景
ジンメルを通してアイデンティティを考える
マルクス主義とアイデンティティ
市民権とアイデンティティ
リキッド・モダンのアイデンティティ形成のあり方
ナショナリズムの再登場とナショナル・アイデンティティ
愛情を基礎とする関係の変質をめぐって
リキッド・モダンにおける聖なるもののゆくえ
アイデンティティのパラドックス
移民国家とアイデンティティ
フェミニズムとアイデンティティ
原理主義者の台頭とアイデンティティ
反グローバル化運動の持つ両義性
インターネット時代のアイデンティティ
ニューメディアとアイデンティティ
著者等紹介
バウマン,ジグムント[バウマン,ジグムント][Bauman,Zygmunt]
リーズ大学、ワルシャワ大学名誉教授(社会学)
伊藤茂[イトウシゲル]
翻訳家。東京外国語大学大学院博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
23
視野が広がる。◇アイデンティティをキャリアや自己論、つまり「私」の観点から考えることの多い私にとって、強権時代の故国ポーランドを追われイギリスで長年暮らしつつも「自分のことはヨーロッパ人としか言えない」というバウマンが語る、国家や民族への帰属(の不可能性)がキーとなるアイデンティティ論は思考の穴を突かれたよう。◇そのまま、ヘイト・分断といった社会のアクチュアルな課題へと接続される。アイデンティティ論はまさに闘いの場。◇一方で、私をめぐるアイデンティティ論の側も、やはり闘い。帰属も承認も、勝ち取るべきもの。2016/08/26
抹茶ケーキ
2
アイデンティティは現代社会の中でますます流動的になっている。この傾向はグローバリゼーションや消費主義の勃興によって強められている。このようなアイデンティティの流動化を生み出すグローバリゼーションは、排他主義などの要因ともなるが、すべての人への配慮をもとにした連帯の可能性も胚胎している。みたいな話。相変わらず議論の流れがつかみづらい。2017/10/02
Skeltia_vergber
2
バウマンと某ジャーナリストによる往復書簡集で、アイデンティティを基軸に現代社会学のさまざまな論点をバウマンが語る内容。とても興味深かったけれど、事例はやっぱりヨーロッパの話だからちょっとわからないところもあった。でも面白かったです。2010/11/05