内容説明
詩語に宿る母胎としての“故郷”。詩人のなかに、潜むように隠されてきた小千谷―。香気たかく、豊かな民俗にポエジーの源泉を求め、折口信夫との相関を捉えた、新たなる西脇像の到来を告げる論考。
目次
第1章 西脇文学の基層としての小千谷
第2章 モノトーンの詩情と西脇
第3章 小千谷と西脇家―順三郎の渡英をめぐる一考察を含む
第4章 小千谷の民俗と西脇
第5章 日本的詩情への傾斜―折口信夫への序章
第6章 西脇順三郎詩評釈(その作品の深部にあるものを求めて)
著者等紹介
太田昌孝[オオタマサタカ]
1959年12月、愛知県生まれ。静岡大学大学院教育学研究科修士課程(国文学)から、名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程(日本文化・民俗学)。愛知県立高校教諭、静岡産業大学非常勤講師等を経て、一宮女子短期大学専任講師。名古屋市立大学人間文化研究所特別研究員。「西脇順三郎を偲ぶ会」研究委員。主な所属学会等に昭和文学会、日本現代詩研究者国際ネットワーク、日本民俗学会、西脇順三郎を偲ぶ会、宮沢賢治学会、三田文学会、静岡大学国語教育学会、日本詩人クラブ、日本未来派同人、沃野同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
7
「如何なる思惑を抱いて折口が最大の西脇詩賛美を行ったのだろうか。折口が詩集『古代感愛集』を出版したのは、1947年2月のことであり、西脇が『旅人かへらず』を出版するのと同年である。…「ねくらそふの現実」の中で、折口が書いているように、この時期の折口の中には長年の間、日本近代文学の「らいふいんできす」或いは「てま」のようになって来た、「表面だけの肉感」に対する、反発が、燻り続けていた。…「滅び行く日本というものを書き残したい」という…『旅人かへらず』という詩集は、折口の感性の琴線に触れるものであった」2020/04/05