内容説明
古代・中世社会を動かしたのは音声だった!「文書による国家支配が徹底していた」という古代史の常識を覆し音声で伝達された情報を文献から復元する新しい方法論を提示。
目次
第1章 「文書主義」の導入と情報処理(古代中国における文字利用;古代日本への文書主義の導入;行政処理への黙読の採用;黙読と音読の併用)
第2章 社会における文字の役割(書式と機能;帳簿に「文字化される情報」と「されない情報」;帳簿と音声・記憶;「読み合わせ」するということ;文書の社会的な役割;文書の作成と披露;紛失状の作成;文書と記憶;古代社会における文書)
第3章 情報伝達における「文字」と「記憶」(使者の原初形態;手紙(私文書)の場合
文書(公文書)の場合
文字化された情報の特質
遠距離への情報伝達
遠距離への情報伝達と記憶
記憶から文字へ)
第4章 日本古代・中世における文字利用(日本社会への文字の導入;文字利用の一形態としての代筆;生きた人間を介した情報伝達;平安期における文字利用の本格化;偽文書の作成;文字と記憶;裁判に見る文字と記憶)
終章 前近代社会における文字利用―東アジア以外の社会との比較から(文字登場の前史;文字の創成;文字の限定的な利用;古代・ギリシャ・ローマにおける文字利用;文書主義の変質;中世西欧における記憶と文字;中世的文書とその終焉;遠距離への情報伝達方法;使者と口上;使者の記憶)
著者等紹介
渡辺滋[ワタナベシゲル]
1973年生まれ。上智大学文学部史学科卒業、明治大学文学研究科史学専攻(博士前期課程)修了、同(博士後期課程)単位修得退学、博士(史学)(明治大学)。明治大学文学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、国立歴史民俗博物館外来研究員(歴史研究系)を経て、明治大学日本古代学教育研究センター研究推進員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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