経済成長なき社会発展は可能か?―“脱成長”(デクロワサンス)と“ポスト開発”の経済学

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 357p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861822971
  • NDC分類 331.1
  • Cコード C0033

内容説明

いかなる経済学が、新自由主義に代わって、ポスト・グローバル化時代の指針となるのか?金融危機・債務危機を引き起し、地球環境を破壊してしまった「新自由主義」に代わって、現在、最も欧州で注目されているのが、“脱成長”の経済学である。“脱成長による新たな社会発展”を目指すこの経済理論は、グローバル資本主義の構造的矛盾を克服するものとして、左右の政治の壁を越えて話題となり、国会でも論議されている。“脱開発”を掲げる新聞・学術誌が発刊され、学会や地方政党も誕生し、社会現象となるにまでにいたっている。本書は、その提唱者である経済学者ラトゥーシュの代表作二冊を日本読者向けに一冊にまとめた、“脱開発”学派の基本書というべきものである。

目次

第1部 “ポスト開発”という経済思想―経済想念の脱植民地化から、オルタナティブ社会の構築へ(“ポスト開発”と呼ばれる思想潮流;ある概念の誕生、死、そして復活;神話と現実としての発展;「形容詞付き」の発展パラダイム;発展主義の欺瞞;発展パラダイムから抜け出す;想年の脱植民地化)
第2部 “脱成長”による新たな社会発展―エコロジズムと地域主義(われわれは何処から来て、何処に行こうとしているのか?;“脱成長”のテリトリー;“脱成長”―具体的なユートピアとして;政策としての“脱成長”;“脱成長”は人間主義か?)

著者等紹介

ラトゥーシュ,セルジュ[ラトゥーシュ,セルジュ][Latouche,Serge]
1940年生まれ。フランスを代表する経済哲学者・思想家。パリ南大学(オルセー)名誉教授。専門は、南北問題、社会科学哲学。サブサハラ・アフリカの開発問題から研究を始め、開発経済学と西洋の社会発展思想の理論的・倫理的矛盾を解明する学術書や、国際開発政治を批判する啓蒙書を多数発表してきた。著書は、イタリア語、スペイン語、カタロニア語、英語、ポルトガル語、トルコ語、アラビア語など、世界各国で翻訳されている

中野佳裕[ナカノヨシヒロ]
1977年、山口県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、英エセックス大学政治学部イデオロギーと言説分析修士課程修了、英サセックス大学社会科学とカルチュラル・スタディーズ研究科開発学博士課程修了。開発学博士(DPhil in Development Studies)。専攻:国際開発論、平和学、社会政治哲学。現在:立命館大学国際関係学部非常勤講師。フランス国連経済社会理事会諮問機関NGO・PEKEA会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

羊山羊

20
現代の脱成長論のトップランナーと言うべき著者の本。資本主義の成長という言葉の欺瞞を訴え、そこから脱するための脱成長を説く。そしてローカリズムとポスト開発という2つのテーマを以て、資本主義の発展パラダイムから抜け出すことを目指すとする刺激的な1冊。著者は「政策における脱成長」という章で脱成長に対する政策を提言していて、この辺の具体性はその辺の凡百な脱成長本とは一線を画しており興味深い。その一方で、作中ではあまりにもローカルを意識しすぎているようにも思う。→2023/07/04

壱萬弐仟縁

19
脱成長社会が創造されるなら、お金・市場・賃金制を放棄するような社会ではない(012頁)。地域開発は経済科学による想念の植民地化の虜(058頁)。開発も発展も西洋近代の経済主義的な想念を温存する概念に他ならない(065頁注▼42)。経済発展は文化の多様性を根絶やしにするか、文化の殺戮を行う(096頁)。困ったことだが、理想は文化の向上のための経済ということであるので、理想とは程遠いというのが著者の見解のようだ。脱成長:生産主義中毒に浸る言語体系をぶち壊す砲弾である(139頁)。2015/06/11

CCC

6
経済は宗教という視点だけでも注目する価値はあるかも。2014/08/04

惰性人

3
フランス語を語源とする専門用語が難解。しかし、ここに書かれているキーワードはよく読みよく考えて自分の中で整理する必要があると思います。筆者は、世界のすべての人が先進国と同じライフスタイルを享受することは、地球上の資源量では不可能とのことから、経済成長(=大量生産+大量消費によるGDP成長)による社会発展は不可能と論じています。そのため、経済成長なき社会発展を実現するために、外部経済の内部化、再生エネルギーの利用、経済の地域化、生産に関わらない産業(広告)の停止、などを提言しています。可能なんでしょうか?2012/01/15

ルヴナン

2
その先には世界政府を見据えている。グローバリズムを超克するものが超グローバリズムでは何の解決にもならん。2021/02/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/611102
  • ご注意事項