内容説明
「国の規模が大きくなったので、やむなく代表制が採られている」「代表制は直接民主主義の次善策」という“直接民主主義の神話”を根底から問い直す。
目次
序章 代表制は必要悪か?
第1章 首相公選と世論
第2章 “デリバレーション”の意味するもの
第3章 代表の概念
第4章 代表制民主主義の思想的基盤
終章
著者等紹介
早川誠[ハヤカワマコト]
1968年生まれ。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。博士(法学)。現在、立正大学法学部教授。専門は現代政治理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田畑
5
K先生が薦めていたので一読。代表民主制の意義を思い知らされた。直接民主主義の代替物では、ないのだ。2014/09/15
馬咲
2
代表制の本来の意義を確認し、政治家不信の高まりから議会制不要論=直接民主制称揚に向きがちな世評に対し一石を投じる一冊。直接制であっても「如何に民意を形成するか」という課題に直面する点は同じ。シュミットが自由主義にのみ当てはめた多様性への関心は民主主義も前提としている要素である。「民意」というものが個々の市民が考える以上に流動的で不明瞭だからこそ、一度民意を制度的に有権者から切断した上でその中身を議論できる代表制には、今日一層細分化し見通しの悪い民意の内容判断の点で、直接制には無い積極的意義があるとされる。2024/04/17
mori-ful
1
明晰で面白かった。「代表制の特質は、そして代表制の意義は、直接民主制と比較して民意を反映しないことにあるのであり、民意を反映しないことによって民主主義を活性化させることにあるのである」。メディウムの議論でもある。シュミット的な民主主義論(と自由主義的な議会制)という論理構成への批判も鋭い。「人民の意志」とは何らかの手段によって「形成され」なければならない。喝采も代表制もその点は同じ。代表制は自由主義と民主主義の両者にまたがって機能するもので、シュミット的二分法ではうまく描写できない。2023/07/16
Ra
1
「論点を明確にするために極端な形で表現するならば、代表制の特質は、そして代表制の意義は、直接民主制と比較して民意を反映しないことにあるのであり、民意を反映しないことによって民主主義を活性化させることにあるのである」(194頁)。代表制は、「直接制の劣化代替物」ではなく、固有の利点があって且つ直接制とは対立ではなく補完(著者は「並列」と表現するが)する関係というのがメインメッセージ。2018/08/19
〆さば
1
良書。いずれ再読したい。2015/08/23