出版社内容情報
古代の財政機構から土地所有の特質を解明。出土木簡を検討し、贄と調の同質性や貢進国の相違から租税や国家成立を示す諸論考を集成。
俣野 好治[マタノ ヨシハル]
津山工業高等専門学校名誉教授
内容説明
律令国家の中央財政機構を論じつつ、国家が土地所有の主体となることの歴史的特質を解明。さらに、律令財政研究に新展開をもたらした出土木簡について、独自の視点から考究し、租税制度から国家の成立までを示唆する重要諸論考を収録。
目次
第1章 律令中央財政機構の特質について―保管官司と出納官司を中心に
第2章 律令中央財政の歴史的特質―経費論を中心に
第3章 大宰府財政機構論
第4章 律令制下公田についての一考察
第5章 青苗簿制度について
第6章 木簡にみる八世紀の贄と調
第7章 「軍布」記載木簡について
第8章 調庸制と専当国郡司
第9章 荷札木簡の機能についての覚書
著者等紹介
俣野好治[マタノヨシハル]
1950年京都府に生まれる。1982年京都大学大学院文学研究科国史学専攻博士後期課程単位取得退学。現在、津山工業高等専門学校名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゲオルギオ・ハーン
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日本の律令国家体制における財政について、納税の際に使われる木簡の情報を分析しながら木簡の機能や財政の実態を考察した一冊。木簡については品質管理のための機能もあることや律令体制では後代のように有力者が立て替えたり、代わりに事業を行う(代価として土地や地位をもらう)などがないため、一見クリーンな感じもあるが通貨ではなく物で徴収するため、収入化にするのが手間であることは予想される。また、木簡の商品表記も統一されていたわけではないため、管理コストがとても高く、効率性が悪そうだ。2023/07/15