内容説明
本書は、多くの人々がどこかに実在する、もしくは過去に実在したと本気で信じ、その信念がキメラ、ユートピア、幻想を生み出した土地と場所を扱うものである。
目次
平板な大地と対蹠地
聖書の土地
ホメロスの土地と七不思議
東方の驚異―アレクサンドロスから司祭ヨハネまで
地上の楽園、浄福者の島、エルドラード
アトランティス、ムー、レムリア
ウルティマ・トゥーレとヒュペルボレイオイ
聖杯の彷徨
アラムート、山の老人、暗殺教団
コカーニュの国
ユートピアの島々
ソロモンの島と南大陸
地球の内部、極地神話、アガルタ
レンヌ・ル・シャトーの捏造
虚構の場所とその真実
著者等紹介
エーコ，ウンベルト［エーコ，ウンベルト］ ［Ｅｃｏ，Ｕｍｂｅｒｔｏ］
１９３２年、イタリア、アレッサンドリア生まれ。ボローニャ大学教授、作家
三谷武司［ミタニタケシ］
１９７７年生まれ。東京大学大学院情報学環准教授、翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
エーコにこのような本があるとは驚きでした。やはりさまざまな本や芸術等についての該博な知識というものがよくあるということがわかります。彼の作品群の源なのかもしれません。私の好みに合っていてここにあるさまざまな絵画などを眺めているだけでもあきません。お気に入りさんの感想を読んで図書館から借りてきました。が、自分でも所有したいと思っているのですが、絶版になっていてアマゾンでもかなり高くなっていますね。2018/02/05
かりさ
95
時間をかけここに在る世界を堪能し読み込む。時にはじっくりと腰を据えて重厚溢れる知の時間を旅するのもいい。ウンベルト・エーコの豊かな知識に陶酔し、豊富な美術図版から虚構の真実を博捜する。めくるめく世界に私も少ない知識をくるくる。古代から多くの人々が架空の世界を信じ、その信念が生み出した幻想、ユートピア、怪物、七不思議伝説などを細やかな視点で図版と共に辿る贅沢なこと。プリニウス、ボルヘス、ホルベルク、などの書物から見る可能世界から果てはドラキュラやタンタンまで幅広さは圧巻。想像世界は限りなく魅惑に満ちている。2016/09/12
優希
87
異世界、幻想。この世のようであり、この世とは異なる世界の中に浸りこむのが心地よかったです。重厚な知の時間が流れる中で、豊かな知識と豊富な美術作品の虚構が押し寄せてくるようでした。古代から信じられていた架空の世界があり、その中からユートピアとディストピアが生まれていくのですね。信じられてきた様々な現象に身を委ね、たどっていく世界があるのはなんて贅沢なことなのでしょう。魅惑に満ちた空想の世界は無限であり、小さな自分もその一部に組み込まれているのかと思うと、これほど幸せな世界に佇んでいることはないと感じます。2016/09/20
∃.狂茶党
21
エーコによる実在しないとされる空想の地についての本。 陰謀論者ダン・ブラウンへの名指しの批判も含め、オカルトの領域に強く関わる。 オカルト好きの大部分はこのような本は好まないかもしれないが、『ムー』の書評コーナーで取り上げてあってもおかしくない。（未確認） この世界の裏側や、この世の果てなどが、語られていくが、一応「フィクション」は避けられている。 とはいえ、陰謀論などの創作と、民話的な伝承の境目は曖昧だし、小説もいくつか含まれている。 2023/10/01
ロア
17
「第14章 レンヌ・ル・シャトーの捏造」と、「第15章 虚構の場所とその真実」は、特に面白くて引き込まれました。レンヌ・ル・シャトーは小説の「ダ・ヴィンチ・コード」に大いに関係しており、偶然にも翻訳者の新書を読んだばかりだったので興味深かったです。しかも、小説の方に書かれてることはほぼ事実と思わされていた私‼︎迂闊‼︎‼︎エーコさんに指摘されなければ一生そのまま信じ込んでましたよ(；＾ω＾)にしても、1.5キロは重かった。。。でもその価値はある一冊です(๑´ω`ﾉﾉﾞ✧2016/07/24
