内容説明
第二次世界大戦の、ナチ占領下で国内のほとんどすべてのユダヤ人をスウェーデンに逃亡させた、デンマーク国民の勇気ある決断と行動。生きのびたユダヤ人たちへのインタビュー、彼らの手紙や体験記等々を縦横に駆使して、生き生きと描くその救助劇の全貌。
目次
第1章 デンマークを覆う影
第2章 良心を持つ人々
第3章 品位の問題
第4章 エーレ海峡を越えての逃亡
第5章 スウェーデンに逃れてから
第6章 テレージエンシュタット収容所での日々
第7章 コペンハーゲンの騒擾
第8章 解放と帰郷
第9章 生活を軌道にのせるまで
第10章 「たった一人でも命を救った者は」
著者等紹介
ワーナー,エミー・E.[ワーナー,エミーE.][Werner,Emmy E.]
1929年、ドイツのエルトフィレに生まれる。ヨハネス・グーテンベルク大学(マインツ)を卒業後に渡米し、ネブラスカ大学で博士号取得。カリフォルニア大学デービス校名誉教授。夫はデンマーク系三世である。専門は発達心理学。90年代からは、歴史的文脈の中の幼少年期について旺盛な著述活動を続けている
池田年穂[イケダトシホ]
1950年、横浜市に生まれる。慶應義塾大学文学部卒業後、同大学院修士課程修了。現在、慶應義塾大学教授。専門は、移民論、移民文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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oldman獺祭魚翁
34
この前に「ヒットラーのカナリヤ」を読んでいます。そこから派生して読みました。カナリヤと重複するエピソードが多々有りますが、恐らくもとのネタが一緒なのでしょうね。小説とは異なるノンフィクションならではの醍醐味を感じました。もし、この国で同じ事が起きたら、私達はこの本と同じように命を賭けて友人を救えるのでしょうか?2018/04/20
小町
4
自国のユダヤ人を9割救った国があったことに驚き(しかもデンマークだけじゃない!)。変にお涙頂戴にせず、事実を淡々と述べる。差別問題には「人間」が見えて興味深いのだけど、後書きにもあるように「天の時、地の利、人の和」が揃ったとき、奇跡的な(あるいは悪魔的な)ことが起きる。最終的な結論、人道的策謀は人と違うことを成すのではなく、当たり前のことを成すために行われるというのが印象的。2011/02/22
いそもり
2
第2次世界大戦のナチス占領下のなか、デンマーク国民が、9割以上のユダヤ人をスウェーデンに逃亡させて救出した勇気ある行動を、当時の人々のインタビューや手紙をもとに、記したノンフィクション。この本に出会うまでよく知らなかった..。 多数の市民による利他的・自発的な行動、それらの行動を決して偉ぶらない気質に、仁愛あふれる謙虚な国民性を感じ、心から敬服する。 デンマーク国王の、ユダヤ人迫害には賛同しないメッセージ、このようなところからも、その国の国民性を先導・体現しているように思う。2013/05/24
ks
1
『善行は常に難しく、稀で、脆いものである。それにもかかわらず、可能性はあるのだ』2014/05/29
Arte
0
有名なナチ支配下でのデンマークのユダヤ人脱出の話。そもそもデンマーク人がアーリア人扱いなためか、占領下でもデンマーク人はドイツ軍に慇懃無礼に振舞い、そこそこ破壊活動をやっても、捕まっても懲役数年とか、ストが行われても、民間人への報復もなくドイツ側が屈したり、とゆるゆる統治が行われていた模様。ポーランド統治とのあまりの差にビビる。2022/08/31