内容説明
牧草地の背後の“廃墟”、イヴニング・ドレスの“ほつれ”…―イギリス小説の日常の陰影をしなやかな感性で読み解く。
目次
1 異境、そして遭遇のドラマ(旅行鞄の小さな足―ライダー・ハガードの冒険ロマンス;アフリカの静寂―『闇の奥』における始源への旅)
2 あらかじめ失われた起源へ(怪物と言語の呪縛―『フランケンシュタイン』とまなざし、声、言葉;根無し草という生の作法―ジーン・リースの女たち;思い出の青い運動袋―カズオ・イシグロと「インターナショナルな手法」)
3 生活圏の奥行き(共に食し、共に生きる―『デイヴィッド・コパフィールド』、『フロス河畔の水車場』の食の情景;家具はいらない―ロレンス、チャトウィンに見る室内空間への抵抗;ドレスの綻び、ショールのほつれ―『ダロウェイ夫人』の衣装と身体意識)
4 自然、または交感の現場(ジェイン・オースティンの「入念に手をかけた庭」―エコクリティシズム的読解の試み;「何かがいる」という感覚―D.H.ロレンスと自然との交感;廃物を見つめるカズオ・イシグロ―ゴミに記憶を託す)
著者等紹介
中川僚子[ナカガワトモコ]
1957年生まれ。イギリス・ケント大学大学院修士課程修了、津田塾大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、聖心女子大学教授。専攻、イギリス文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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