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鏡のなかの老人~痴呆の世界を生きる~ 第2版 

竹中 星郎  著

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価格 \1,709(税込)         

発行年月 1997年09月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 212p
大きさ 19
ジャンル 和書
ISBN 9784948742185
商品コード 0196296589
NDC分類 493.758
基本件名 老人性痴呆
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=0196296589

内容

 私たちはふだん、ウッカリ忘れたり、ちょっとしたミスをすると 「ぼけたんじゃないか」 「俺もぼけたかな」 などと言うことがあります。若い人や中年者に言う場合には「年寄りみたいだ」という皮肉がその言葉のなかに含まれているようです。 「鏡のなかの老人」 という書名は、鏡に映った自分の姿に話しかける、いわゆる 「鏡症状」 からきたものです。 著者の竹中星郎氏は、「(鏡症状を呈する老人の) 行動をよくみていると、彼らも心的世界をもち、そのなかで生き、現実との接点をもっているということを実感させられ」 ると言います。 そして、「80歳、90歳という高齢を生きるということはどのようなことなのか、衰えと死を目前にしてどのように考えているのか、悩みや不安はあるのか、といったもろもろの問題を高齢者の立場に立って考える」 必要性を指摘しています。 そこで、 痴呆老人の立場から、 一般に 「ぼけが進んだ」 といわれる症状を捉えてみることにしました。 著者は、「ぼけ」 という言葉は、精神的な異常、痴呆やせん妄などの脳症状をはじめ、性格の問題、おかしな言動、知的な衰えなど、さまざまな意味を含む 「はなはだ便利な言葉であり、捨てがたい味」 があるとしながらも、少なくとも専門職として高齢者の問題にかかわる医療機関や介護スタッフは、一般に「ぼけ」といわれているさまざまな状態を十把ひとからげにしないで、それらをまねいた心の問題、あるいは身体的な病状に目を向けるべきだと述べています。 なぜなら、「せん妄」 「うつ状態」 「妄想」 などは、適切な対策と治療によって改善するものであり、その改善は痴呆の進行を防ぎ、痴呆老人にとっても、また介護者にとっても穏やかな日々をもたらすからです。 そのためには、まず、「痴呆」 を正確に理解し、痴呆と間違われやすいその他の症状との区別ができなければなりません。 本書では、 それらの医学的な知識も、介護の実践に役立つ言葉で語られています。 「痴呆」と間違われやすい代表的な症状に 「せん妄」 がありますが、それを引き起こす3大要因、すなわち身体的な異常によるもの、薬によるもの、心理的なことが原因となるものについての解説は、非常にわかりやすく、このせん妄を理解することによって、「痴呆」もよりクリアに理解できるようになります。 また、なぜ 「おかしい」 行動をするのかについて、痴呆老人の身になって考えられることを語っています。 たとえば、その日の予定や家族の動向を何度もくり返し聞いたり確かめる行為について、 「すぐに忘れる、5分と覚えていない」 のではなく、よく覚えているからこそ気になって、「何度も確認していると捉えるべき」 だと言っています。このような症状は「もともと生真面目で 几帳面な完全壁といった 強迫的な性格傾向の人」  に現れやすく、そのような行動に悩まされている家族もまた、同じような性格傾向をもっているといいます。 そのような家族は、 「聞かれると、そのつど生真面目に答えたり、 証拠をみせて説明」する傾向があり、 「何度も同じことを聞くと怒っていても、いい加減にあしらうことができないのです。 要するに、似たもの同士なのです。老人は、相手にしてくれない人や、すぐに怒るような怖い人には聞かないのです」、という説明を聞くと、なるほどと納得できる部分があります。 この本には、そのような 「なるほど」 と 「納得」 が、数え切れないほど詰まっています。 痴呆老人にかかわりをもつすべての人に読んでいただき、早速、理解を深めていただきたい、そんな1冊です。

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