内容

目次

はしがき 第１部　刑法の基本理念 第1講義　ルール・ネットワークの中の刑法…2 　　　　　　――さまざまなルールと刑法との関係 　1　刑法の守備範囲はどこだろう（2） 　　　　――道徳と刑法 　2　人々の声と刑法というルール（5） 　　　　――世論と刑法 　3　刑法が生み出す世界とその限界（9） 第2講義　刑罰を科すことの根拠を考える…14 　　　　　　――犯罪・刑罰と学派の争い 　1　何が刑罰を科すことを根拠づけるのか（14） 　　　　――刑罰の正当化根拠 　2　尽きることのない「刑罰観」論争（19） 　　　　――学派の争いって一体 第3講義　日本の刑法はどこからきたのか…24 　　　　　　――刑法典の由来 　1　日本の刑法はヨーロッパの刑法を模範とした（24） 　　　　――刑法典の沿革とその特質 　2　現行刑法には当時の新思潮が盛り込まれた（28） 　　　　――刑法典の改正とその背景にあるもの 　3　刑法典，そして刑法（31） 　　　　――刑法典，周りを固める特別刑法 第4講義　刑法だけでは処罰できない…36 　　　　　　――刑事実体法と刑事手続法 　1　刑法は刑事手続を通して実現される（36） 　　　　――刑法と刑事訴訟法との関係 　2　有罪でも刑務所に入らないことがある（41） 　　　　――刑法と刑事政策との関係 　3　国家による責任追及と私人による責任追及（44） 　　　　――刑法と民法との関係 第5講義　刑法の中の民主主義・自由主義…50 　　　　　　――罪刑法定主義の意義 　1　刑法は自由の敵？　自由の味方？（50） 　2　慣習は「罪」と「罰」の根拠にならない（52） 　3　「罪」と「罰」の不意打ちは許されない（54） 　4　罪刑法定主義は進化する（58） 　5　罪刑法定主義は，今（61） 第２部　刑法総論の考え方 第6講義　「刑罰」確定までには多くのハードルがある…64 　　　　　　――刑法総論の意味 　1　犯罪の“カタログ”には尽きない刑法学（64） 　2　十人十色の犯罪論体系（66） 　　　　―― 一様ではない犯罪 　3　何のための犯罪論か（71） 　　　　――自由の保障と犯罪論 第7講義　まずは「型」よりはじめよ…77 　　　　　　――構成要件該当性 　1　犯罪成立の第１審査（77） 　　　　――構成要件該当性 　2　構成要件該当性の大きな柱（80） 　　　　――結果と行為・行為者を結ぶ線としての因果関係 　3　構成要件に該当する行為の１つの形（86） 　　　　――不作為犯 第8講義　“わざと”と“うっかり”…92 　　　　　　――故意・過失 　1　“わざと”（92） 　　　　――故意 　2　“うっかり”（94） 　　　　――過失 　3　犯罪のポマト（96） 　4　そんなはずでは……（98） 第9講義　人を殺しても，「正しい」場合がある…101 　　　　　　――違法性阻却事由 　1　刑法的に「悪い」こと（101） 　2　正しい加害者と悪い被害者？（105） 　3　正しい加害者と正しい被害者？（109） 　4　「正しい」行為の総合カタログ（112） 第10講義　ある特定の人を本当に非難できるか…115 　　　　　　――有責性 　1　悪いことをした人を非難するには？（115） 　2　「法律を知らなかった」という言い訳は通用するか（116） 　　　　――違法性の錯誤 　3　刑法は子どもを非難しない（119） 　　　　――責任能力 第11講義　未完成犯罪…124 　　　　　　――未遂 　1　犯罪行為はどのようなプロセスをたどるか（124） 　　　　――未遂犯 　2　呪い殺すつもりで丑の刻参りをすれば殺人未遂になる？（131） 　　　　――不能犯 　3　犯罪から後戻りする黄金の橋（136） 　　　　――中止犯 第12講義　犯罪にかかわった複数の人をどう扱うか…140 　　　　　　――共犯 　1　共同して犯罪事実を実現する（140） 　　　　――共同正犯 　2　正犯の実行に関わる者たち（144） 　　　　――教唆犯と幇助犯 　3　間接正犯（150） 　4　わいろを渡す人・受け取る人（155） 　　　　――共犯にかかわる諸問題 第13講義　刑罰の種類は限定されている…159 　　　　　　――刑罰の種類 　1　犯罪同様に刑罰も限定されている（159） 　2　さまざまな刑罰の実相（162） 第14講義　犯罪の「算数」の仕方…166 　　　　　　――罪数と量刑 　1　１つの罪（166） 　2　複数の罪（169） 　　　　――1.5倍にアップ 　3　刑法に定められている刑と裁判官による実際の量刑（171） 第15講義　刑法の効果が及ぶ５Ｗ１Ｈ…175 　　　　　　――刑法の適用範囲 　1　いつでも，どこでも，誰にでも……とはいかない（175） 　　　　――刑法の適用範囲 　2　刑法の効果が及ぶ“when”（175） 　3　刑法の効果が及ぶ“where”（178） 　4　刑法の効果が及ぶ“who”（181） 第３部　犯罪のカタログ 第16講義　今日本で犯罪とされていること…184 　　　　　　――刑法各論の意味 　1　今日本で何が犯罪とされているのか（184） 　2　犯罪カタログに実際にリストアップされているものは？（187） 第17講義　何を犯罪とすべきなのだろう…195 　　　　　　――犯罪のカタログの相対性 　1　社会により「犯罪」は異なる（195） 　2　時代によっても「犯罪」は異なる（198） 　3　では日本はどう対処してきたのだろう（201） 　　　　――日本の犯罪カタログの特質 第18講義　揺れる倫理と刑法…206 　　　　　　――現代の犯罪と刑罰（その１） 　1　生命倫理と刑法（206） 　2　職業倫理と刑法（211） 　3　公務員と犯罪（215） 第19講義　経済活動の落とし穴…219 　　　　　　――現代の犯罪と刑罰（その２） 　1　企業の犯罪と企業の処罰（219） 　2　入札談合は，なぜ悪い？（223） 　3　マネーゲームの後始末（226） 　4　経済犯罪と戦うために（231） 第４部　刑法の解釈 第20講義　刑法の解釈って何だろう？…234 　　　　　　――本書のまとめと次へのステップ 　1　刑法解釈は何のために行うのか（234） 　2　「価値」との格闘が避けられない刑法解釈（236） 　3　誰のために解釈するのか（238） 　4　みんなが納得する解釈はあるのか（239） 　5　刑法は人間をどう見ているのだろうか（241） 6 刑法の「考え方」から一歩先へ（243） 次のステップのための文献 事項索引