本書を開く前に、武田泰淳、大岡昇平と昨年暮れ発刊された楡周平『マリア・プロジエクト』を読むことをおすすめしたい。武田、大岡は戦場における人肉を喰らうことやひとを殺すことを描き、楡は臓器売買を日本とアジアとの関係に重ねて、描き提起した。
本書は、ヒトゲノム時代において染色体の解読が終了し新たな段階に突入しつつある情況下に、人体泥棒とその売買実情わ明らかとして、それへの対策を提起する。
遺伝子、DNA、生体収集、と話がすすみ、「朝鮮耳塚」が登場する。豊臣秀吉朝鮮侵略による「12万6000人以上の朝鮮人遺体から持ち帰った耳や鼻が埋められている塚」が京都にあり、「ほとんどの日本人はその存在すら知らない」との指摘。また、アウシュビッツ博物館には2トンもの毛髪が展示!!!されたが、それらはナチによつてそり落とされたユダヤ人女性たちの毛髪で、青酸が含まれていたという。では、ヴェトナム戦争におけるアメリカ人兵士たちはどうだったか。「米軍医学博物館には、アメリカ兵によって、燭台にされたり政治的スローガンを書き込まれた頭蓋骨が展示されている」という。
盗みだされた頭蓋骨を商品としてインターネット上でオークションにかけている事例も報告されている。
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