本書は「文法とは、単語から文が形成されるにあたっての法則・きまりである。言い換えれば、単語を材料にして、当該言語(たとえば日本語)の適格な文を組立てる組立て規則・法則性が文法である。」とする、常識的捉え方をしている。そして、「常識的であるということは、また一方ではその分それなりの確かさをもっている」と天動説レベルのコペルニクス的転回以前の科学性を標榜している。
つまり文を絶対視する、時枝誠記が『国語学原論』で「言語を主体を離れた客体的存在とする言語実体観」という非科学的言語本質観でしかなく、単語を文の材料と見なしている。この結果、「単語は、一定の結合能力を持ち、ある結びつき方において他の単語と結びつきながら、文という上位の統一的全体を形成する。」と、単語が「他の単語と結びつく能力を有する」ことになってしまう。「ホン」という音や「本」と記された、単なる音や文字表象が「他の単語と結びつく能力」を持つなどとは常識ある子供でも考えないであろう。
そして、この常識の穴を埋めるために通言語的な屈折語の単語解釈を導入し<助詞><助動詞>は単語とは認められず単語以下の存在とされてしまう。また、単語が「他の単語と結びつく能力」を有するために語形変化は「自らの有する異なった文法的な意味‐機能を表し分けるために、外形の一部を変えること」とされ、動詞の活用も屈折語の屈折と同じとする、国文法の世界の考え方・立ち場の常識である動詞の活用は意味の変化とは無関係な他の語とのつながりで起こる単なる変化とする解釈と全く逆の解釈となってしまう。
これらは膠着語である日本語の裸体的特殊性を無視した常識に反する文法観がもたらすコペルニクス的転回以前の科学性による誤りである。本質的言語観なしに常識的を標榜する結果、反対物の非常識に転化してしまうというのは弁証法の明らかにするところである。このような、言語の普遍性と特殊性の側面を無視した通言語的日本語文法論が本シリーズの本質であり特徴である。これでは、残念ながらまともな品詞論も提起することが出来ず、品詞のハキダメたる副詞の本質を解明することも望みえないのは自明のことであろう。■
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日本語の文法 1 ハードカバー – 2000/9/1
文の骨格
- 本の長さ247ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2000/9/1
- ISBN-104000067168
- ISBN-13978-4000067164
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
日本語の文はどのように成り立っているのか。日本語に見られる言語現象を広く集めて体系的に記述し、豊富な例文を元に具体的に解説。第1巻は単語の機能から、文の核となる格・ヴォイスと副詞的表現までを解説する。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2000/9/1)
- 発売日 : 2000/9/1
- 言語 : 日本語
- ハードカバー : 247ページ
- ISBN-10 : 4000067168
- ISBN-13 : 978-4000067164
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,104,289位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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