本書は全体で三部構成、もっとも晦渋なのが出だしと第一部という致命性……。
第二部以降は歴史的経緯の記述がメインなので、一部に比べると、なんとか読み通し易い。
読者を獲得するべく、オープニングこそ間口を広く開かねばいけないところを、著者は
「確信犯的に」サディスティックなまでに「もってまわった」(著者自身の自己評)
言い回しをくりかえす。結果、すこぶる読みにくいものとなったし、読者を逃がしたと
思う。
テーマ自体は壮大で、実に興味深い。が、おそらくは同業者(建築関係)さえ、
きちんと読み込んでいないのではないか? そんな気がする。
著者のスタイル堅持の面目躍如たるは、それでよい。あっぱれ。
でも、版元の責任は重大だ。
どうやら、彼の研究ノートを一冊にまとめたものらしいが、この大部な著作でさえ
かなり圧縮したと著者は言う。
はっきり言おう。圧縮が足りなさすぎる!!
邪推であるが、担当編集者が著者の多大すぎる理解者か、あるいはかなり遠慮したのだと
思う。どちらにせよ、この形で世に問うべきだったのだろうか……。評者からすると、
普段着の記述が強すぎて、本というメディアにあるべきよそ行きの準備(文章の推敲)が
あまりに足りなかったと思えてならない。テーマが興味深いだけに、重ね重ね残念である。
編集の中途半端さは、参考文献リストの不便性にも色こい。
もちろん、読み通すのに困難な著作は、その「魔術性」を持ち上げる崇拝者が必ず出る。
だからこの著作も、きっと一部では熱狂的な支持を得ているものと思われる。
評者は、それについていけるタチではないだけに、どうしても評価しきれない。
ただし、もちろん大部な著作だけに、断片的なかたちで蒙をひらかれることは非常に多かった。
その点、非常に有益だったことは最後に強調しておきたい。
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思想としての日本近代建築 単行本 – 2005/6/28
八束 はじめ
(著)
- 本の長さ644ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/6/28
- ISBN-104000234072
- ISBN-13978-4000234078
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/6/28)
- 発売日 : 2005/6/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 644ページ
- ISBN-10 : 4000234072
- ISBN-13 : 978-4000234078
- Amazon 売れ筋ランキング: - 993,971位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 546位西洋の建築 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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