憲法問題とはつくずく古くて新しい問題であると感じさせられる。長谷川正安氏は去年に亡くなられたようだが、この本で触れられている内容は、非常に今もなお生き生きと我々に問いかけるものがある。
三菱樹脂事件は、憲法を学んでいる学生であれば誰もが知っている判例であろうが、裁判所の判例は「思想信条の自由は国家と私人間で規定されている内容だから、企業と私人の間では適用されない。」という内容だが、長谷川氏は「そんなのおかしい。」と声を上げている。つまり、資本家と労働者は持っている力に差があるわけだから、私人間でも力に差があれば適用すべきであるということである。
また、最高裁判所の長官を内閣が指名し、最高裁判所の判事を長官の指名に基づき内閣が任命する制度も、「自民党が裁判所に政治的な圧力を掛けるのをたやすくしている。」とも説いている。これは私も大いに首肯する内容である。司法権は多少強い権限を与えるべきではないだろうか。仮にも法の番人である。
他にも色々と憲法に関しての指摘をなしている。１９７７年版ではあるが、今でこそ問われるべき内容を多く持っている。
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