著者は吉田松陰の「留魂録」についてこう書く。
「格別に松陰に関心のなかった私でも、もし青春の日に、いちばん感動した作品は何かと問われるなら、
ためらわずに『留魂録』をあげるだろう」
あるいは「風が吹くたび屈する葦」と題された一文は、こう始まる。
「アンドレ・ジッドは、コレットの『シェリ』に寄せて、作者にこう感想を伝えたという。
始めから終わりまで、一箇所とて軟弱なところ、冗漫な文章、陳腐な表現がありません。」
書名に「歴史家」とあるが、吉田松陰・石原完爾などの歴史的人物だけではなく、
江藤淳・阿川弘之・ボルヘスなどの文学者など、80名の著者の歴史関連書物が紹介されている。
その選択は、かなりひねりがきいていて、オーソドックスなものではないので、
最初読んだ時はその幅広さが、散漫さとして感じられた。
でも2回目に読むと、巻頭におかれた、内藤湖南が「歴史の流れを決めた日本の史書」として選んだ5冊のくだりから
滋味にあふれた文章世界を、じっくりと読み進めることができた。
よく風の通る部屋の窓辺にいるような気分にさせてくれる、歴史関連の書物のひとつ。
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歴史家の一冊 (朝日選書 597) 単行本 – 1998/4/1
山内 昌之
(著)
- 本の長さ332ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日1998/4/1
- ISBN-10402259697X
- ISBN-13978-4022596970
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
古典と呼ばれる歴史書は、状況への研ぎ澄まされた危機意識が、時代の転回点に立ち会ったときに書かれた。そこから何を読み取ればよいのか。読書をこよなく愛する歴史家が提案する、世紀末読書案内。
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (1998/4/1)
- 発売日 : 1998/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 332ページ
- ISBN-10 : 402259697X
- ISBN-13 : 978-4022596970
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,573,535位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,199位図書館情報学
- - 1,386位読書法
- - 192,302位ノンフィクション (本)
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