高い価格で先に株の売り注文をし、株価が下落したタイミングで決済し、利益を得るのがカラ売り。
上記のカラ売りを専業とするファンドであるパンゲア&カンパニーのパートナー北川・ホッジス・グボイェガ、提携関係のトニーの四人(私は勝手にパンゲア一味、もしくはチームパンゲアと呼んでいます。)が今回カラ売りで勝負を仕掛けたのは、仮想通貨取引所の運営会社の背後にある証券会社、赤字体質が常態化した巨大航空会社、宇宙開発事業を行う別会社も持つ電気自動車会社。
内容を読めば小説の中でモデルになった企業・事件があったことがすぐにわかります。(そもそも察しの良い方はタイトルだけでもある程度は分かると思います。)そしてそれらの企業がどこかなのかは巻末の参考文献でほぼ明らかになります。(私は気になって読書を一時中断して調べてしまいましたが…)
四人はそれぞれのコネクションを使って企業の持つ負の情報を集めてレポートを発表し、株価の下落後に決済をして利益を確定させます。収録された三つの話のストーリーラインは極めてシンプルですが毎回その中に、対象となった会社が持つ社会的な問題や意味合いがこれでもかと説明されとても勉強になります。そして本一冊でこれらの問題・意味合いの大枠をストーリーに載せて読者に理解させてしまう黒木氏の筆力には相変わらず脱帽させられます。
前回・前々回と比べ、パンゲア一味が悪を成敗、という単純な展開は少なく、そこにある国際問題や会社の長年にわたる問題を清算する役割を負った会社の代表の悲哀、企業が失われようとする中でも懸命に働き技術伝承を行おうという現場の社員、代表の果て無い夢に振り回されながらも成功を一緒に喜ぶ一社員など本線以外のデティールが美しく描かれていたことに感服しました。(もちろん証券会社の傲岸不遜な若手成金社員が結局パンゲア一味にやられて…という展開も一部にはありこれはこれで期待を裏切らず面白いです。)
あと、トニーが企業情報を得るために、投資銀行のオフィスで靴磨きをするシーンが複数回でてくるのですが、これが事実に基づいているとすると、今後もしばらくは地べたに這いつくばりながら地道に情報を集めることの意義は失われることはないのかもしれないと思いました。
黒木ファンとしては今後もカラ売り屋シリーズが続いて、パンゲア一味(チームパンゲア)の活躍が見られることを切に願っています。
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カラ売り屋vs仮想通貨 単行本 – 2021/8/27
黒木 亮
(著)
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購入オプションとあわせ買い
仮想通貨は、夢の通貨か、悪魔のカジノか!?
元官僚の日本人と2人のアメリカ人が運営するウォール街のカラ売りファンド、パンゲア&カンパニーが、新たに3つの日本企業に照準を定めた。狙われたのは、濡れ手で粟の利益を上げる仮想通貨交換業者、グレーゾーンぎりぎりの会計手法で生き残りを画策する巨大航空会社、業界にEV旋風を巻き起こす新興電気自動車メーカー。財務諸表を徹底的に読み込み、株価を下げようとするパンゲアを、追い込まれた企業がマージン・コールで締め上げる――。金融ジャングルの勝者は、果たしてどちらか!? 「仮想通貨の闇」「巨大航空会社」「電気自動車の風雲児」三編を収録。
元官僚の日本人と2人のアメリカ人が運営するウォール街のカラ売りファンド、パンゲア&カンパニーが、新たに3つの日本企業に照準を定めた。狙われたのは、濡れ手で粟の利益を上げる仮想通貨交換業者、グレーゾーンぎりぎりの会計手法で生き残りを画策する巨大航空会社、業界にEV旋風を巻き起こす新興電気自動車メーカー。財務諸表を徹底的に読み込み、株価を下げようとするパンゲアを、追い込まれた企業がマージン・コールで締め上げる――。金融ジャングルの勝者は、果たしてどちらか!? 「仮想通貨の闇」「巨大航空会社」「電気自動車の風雲児」三編を収録。
- 本の長さ424ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2021/8/27
- 寸法13.8 x 3.1 x 19.4 cm
- ISBN-10404109772X
- ISBN-13978-4041097724
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商品の説明
著者について
●黒木 亮:黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2021/8/27)
- 発売日 : 2021/8/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 424ページ
- ISBN-10 : 404109772X
- ISBN-13 : 978-4041097724
- 寸法 : 13.8 x 3.1 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 208,004位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,731位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1957年、北海道生まれ。
早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。
銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、貿易金融、航空機ファイナンスなどを手がける。
2000年、『トップ・レフト』でデビュー。主な作品に『巨大投資銀行』、『排出権商人』、『エネルギー』など。大学時代は競走部に所属し、箱根駅伝に2度出場、20kmで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は自伝的長編『冬の喝采』にほぼノンフィクションで綴られている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年8月28日に日本でレビュー済み
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2021年11月21日に日本でレビュー済み
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よくも、最近の時事ネタを混ぜて小説にできるなと関心ものです。
なかなか読み応えもあり楽しめました。
なかなか読み応えもあり楽しめました。
2021年9月17日に日本でレビュー済み
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パンゲア&カンパニーシリーズの前作、「カラ売り屋、日本上陸」が黒木亮氏の作品としては個人的に今ひとつだったので、この「カラ売り屋vs仮想通貨」を読むのも少し心配だった。
しかし、今回は面白い!
収録された「仮想通貨の闇」「巨大航空会社」「電気自動車の風雲児」のいずれも現実に起きたことや現在進行形の出来事をモチーフにしながら、オリジナルなストーリーを作り上げて読み応えのあるエンターテイメントに仕上げる手腕はさすがだ。もちろんこれらの作品を書き上げるためには膨大なリサーチが行われたことは想像に難くない。
私にとって、次作もぜひ読みたいと思わせるシリーズの一つだ。
しかし、今回は面白い!
収録された「仮想通貨の闇」「巨大航空会社」「電気自動車の風雲児」のいずれも現実に起きたことや現在進行形の出来事をモチーフにしながら、オリジナルなストーリーを作り上げて読み応えのあるエンターテイメントに仕上げる手腕はさすがだ。もちろんこれらの作品を書き上げるためには膨大なリサーチが行われたことは想像に難くない。
私にとって、次作もぜひ読みたいと思わせるシリーズの一つだ。
2021年12月13日に日本でレビュー済み
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かなり調べあげた内容の話が3話掲載されている。凄いと思う。
けど、だからどうした?って内容。3話別々の話なら題目に書いて欲しい、どこで繋がるのかって読み続けた。バカらしくなりました。
けど、だからどうした?って内容。3話別々の話なら題目に書いて欲しい、どこで繋がるのかって読み続けた。バカらしくなりました。
2021年11月16日に日本でレビュー済み
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仮想通貨のリスク、イーロン・マスクの先見性など非常に興味深い。カラ売り屋が必要悪(正義の味方)として描かれているのが面白い。ストーリー性もしっかりしていて読みやすい経済小説。
2022年7月3日に日本でレビュー済み
中編3つが掲載されてて、カラ売りファンド目線としては
最初の1編で追証払えなくなる寸前まで担ぎ上げられた後最後株価暴落で大儲け
次の1編はほぼ安定してカラ売りの利益あり
最後の1編では最初利益が乗っていたけど最後株価超絶爆上げで
相次ぐ追証要求に耐えられず確定の壊滅的大損ぶっこくということで、やはりカラ売りは怖い
最初の1編で追証払えなくなる寸前まで担ぎ上げられた後最後株価暴落で大儲け
次の1編はほぼ安定してカラ売りの利益あり
最後の1編では最初利益が乗っていたけど最後株価超絶爆上げで
相次ぐ追証要求に耐えられず確定の壊滅的大損ぶっこくということで、やはりカラ売りは怖い
2021年10月5日に日本でレビュー済み
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黒木氏の本は取材がしっかりしていて、ノンフィクションを読んでいる気持ちになる。
2022年6月25日に日本でレビュー済み
昔読んだカラ売り屋シリーズの第1弾はかなり面白かったことと、本書は今ホットな仮想通貨がタイトルにあり、この業界にどのようにカラ売り屋が絡むのかに興味を惹かれて手に取ってみた。
意外だったのは、本書には仮想通貨以外にも二つの作品が収録されていたことである。各々の空売りの対象となる企業は、以前破綻したJALを思わせる航空会社と、テスラをモデルにした電気自動車メーカーで、各々の話には繋がりがない独立した構成になっている。
仮想通貨業界をテーマにした 第1話はそれなりに面白く読めたが、二つ目の航空会社は時代が随分遡るし、先が読めてしまったのでさほど楽しめなかった。最終話の電気自動車メーカーも悪い作品ではないが、こちらもテスラのことを知っている人間であれば先が読めてしまい盛り上がりに欠ける内容であった。
やはりばらばらのテーマの3編を収録するよりは、1社に絞ってカラ売り屋と企業の手に汗を握るような攻防を読みたかったので、少し残念な作品であった。
意外だったのは、本書には仮想通貨以外にも二つの作品が収録されていたことである。各々の空売りの対象となる企業は、以前破綻したJALを思わせる航空会社と、テスラをモデルにした電気自動車メーカーで、各々の話には繋がりがない独立した構成になっている。
仮想通貨業界をテーマにした 第1話はそれなりに面白く読めたが、二つ目の航空会社は時代が随分遡るし、先が読めてしまったのでさほど楽しめなかった。最終話の電気自動車メーカーも悪い作品ではないが、こちらもテスラのことを知っている人間であれば先が読めてしまい盛り上がりに欠ける内容であった。
やはりばらばらのテーマの3編を収録するよりは、1社に絞ってカラ売り屋と企業の手に汗を握るような攻防を読みたかったので、少し残念な作品であった。