・全体像
[本当のところはどうなんだろう」
―躊躇するという強靭さを求めて―
【小笠原喜康】
日本大学文理学部教授。専門は、学力論、博物館教育論、教育メディア論。
情報の多様化にともない注目されている『メディアリテラシー』について、
正しい理解を促した一冊。統計のウソ、権威のウソ、時間が作るウソ、ムード先行のウソ、
大きく分けてこの四つを統計や多彩な例を使って読者を手引きする。
・感想
学校教育にも取り入れられている『メディアリテラシー』について語弊を招かないように
説明するのはとても難儀なことですが、この本はかぎりなく正解に近い『メディアリテラシー』
の説明書として機能していると思います。
テレビのニュースなどで手軽に入手できる情報には多くの手が加えられていてるというのは周知の事実ですが、
そのニュースで使われるわかりやすいグラフに隠された思惑や裏側をおもしろいように紐解いています。
この約200Pの紙幅を四つの議題に絞り詳しい記述がされているため、単調と受け取る方も少なからず
いるとは思いますが、ここまで丁寧に手引きされた本は類を見ないので、時間を割く価値はあると言い切れます。
・抜粋文
「わかりやすさの」のワナ
しかし、わかるということは、単に文字面を追い、それを記憶に留めることではない。
それを自分自身の問題として受け止め、かかわってみることである。
「わかる」ということは、「かかわる」ことである。
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議論のウソ (講談社現代新書) 新書 – 2005/9/17
小笠原 喜康
(著)
「わかる」ことより、「わからない」ことを自覚していることの方が、はるかに重要である。何事にもスピードが要求されてきたこれまでの社会では、すぐに正解を求める。しかし世の中のことは、そう簡単に白黒つけられない。それを無理につけようとすると、どうしても、ありきたりの決まった答えに収まりがちになる。――<本書より>
ベストセラー『大学生のためのレポート・論文術』で論理の組み立て方をわかりやすく解説した著者が「情報に騙されない」方法を平易に懇切に論じる。
いつも言い負かされてしまう
いつも人の意見を鵜呑みにしてしまう
いつも反論できない
いつも情報に翻弄されてしまう
……そんなあなたに。
「わかりやすさ」のワナ
しかし、わかるということは、単に文字面を追い、それを記憶に留めることではない。それを自分自身の問題として受け止め、かかわってみることである。「わかる」というのは、「かかわる」ことである。(中略)それができないときは、とりあえずわかることを留保することである。「わかる」ことより、「わからない」ことを自覚していることの方が、はるかに重要である。何事にもスピードが要求されてきたこれまでの社会では、すぐに正解を求める。しかし世の中のことは、そう簡単に白黒つけられない。それを無理につけようとすると、どうしても、ありきたりの決まった答えに収まりがちになる。――<本書より>
ベストセラー『大学生のためのレポート・論文術』で論理の組み立て方をわかりやすく解説した著者が「情報に騙されない」方法を平易に懇切に論じる。
いつも言い負かされてしまう
いつも人の意見を鵜呑みにしてしまう
いつも反論できない
いつも情報に翻弄されてしまう
……そんなあなたに。
「わかりやすさ」のワナ
しかし、わかるということは、単に文字面を追い、それを記憶に留めることではない。それを自分自身の問題として受け止め、かかわってみることである。「わかる」というのは、「かかわる」ことである。(中略)それができないときは、とりあえずわかることを留保することである。「わかる」ことより、「わからない」ことを自覚していることの方が、はるかに重要である。何事にもスピードが要求されてきたこれまでの社会では、すぐに正解を求める。しかし世の中のことは、そう簡単に白黒つけられない。それを無理につけようとすると、どうしても、ありきたりの決まった答えに収まりがちになる。――<本書より>
- ISBN-104061498061
- ISBN-13978-4061498068
- 出版社講談社
- 発売日2005/9/17
- 言語日本語
- 寸法10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- 本の長さ240ページ
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/9/17)
- 発売日 : 2005/9/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4061498061
- ISBN-13 : 978-4061498068
- 寸法 : 10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 560,474位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テレビ,本,携帯電話など,さまざまなメディアにおける議論の問題点を具体例でしめしている. 本としては 「ゲーム脳の恐怖」 がとりあげられ,「論述が誤りを多く含んでいるということと,主張が誤りだということは直結しない」 とことわりながら,そこにふくまれるさまざまな 「虚偽論法」 を分析している. アマゾンにおける批判的な書評も具体例があげられている. 著者にとってみれば格好の材料だったのだろうし,ゲームがすきな多くのひとをよろこばせることになっているようだが,この本からばかり例をあげるのが適切だったのかどうか,疑問を感じる.
携帯電話に関してはペースメーカーなどの医療機器に影響をあたえるかどうかという問題がとりあげられている. 総務省の 「平成 14 年度報告」 がとりあげられて,その 「矛盾」 が指摘されている. しかし,実はここには論理的な矛盾があるわけではなく,「安心」 (引用されたことばとしては 「不安」 の解消) をめざした調査を 「安全」 とよみかえて延々と議論しているのはいささか珍妙だ.
このように疑問点もいろいろあるとはいえ,えるところが多々ある本であることもたしかだ.
携帯電話に関してはペースメーカーなどの医療機器に影響をあたえるかどうかという問題がとりあげられている. 総務省の 「平成 14 年度報告」 がとりあげられて,その 「矛盾」 が指摘されている. しかし,実はここには論理的な矛盾があるわけではなく,「安心」 (引用されたことばとしては 「不安」 の解消) をめざした調査を 「安全」 とよみかえて延々と議論しているのはいささか珍妙だ.
このように疑問点もいろいろあるとはいえ,えるところが多々ある本であることもたしかだ.
2016年12月12日に日本でレビュー済み
イマイチ。
テレビや新聞などのメディアがよく用いる「グラフの錯覚」「ムード先行」「こじつけ」などが論理的に考えるとどれだけ間違っているかを糾弾し、個々人がそれぞれ考える必要があると論じる本だが、具体例の解説にページを割きすぎ。
しかも、「少年犯罪」だの「ゲーム脳」だの「ゆとり教育」だの、いまとなってはなんだか時代遅れ名テーマばかりを扱っていて、いまになって読むと普遍性がない。
抽象的な説明の部分もなんだか当たり障りのない、どこかで読んだことがあるようなことが書かれていて、端的に言えば、おもしろくなかった。
テレビや新聞などのメディアがよく用いる「グラフの錯覚」「ムード先行」「こじつけ」などが論理的に考えるとどれだけ間違っているかを糾弾し、個々人がそれぞれ考える必要があると論じる本だが、具体例の解説にページを割きすぎ。
しかも、「少年犯罪」だの「ゲーム脳」だの「ゆとり教育」だの、いまとなってはなんだか時代遅れ名テーマばかりを扱っていて、いまになって読むと普遍性がない。
抽象的な説明の部分もなんだか当たり障りのない、どこかで読んだことがあるようなことが書かれていて、端的に言えば、おもしろくなかった。
2010年4月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
巷にまことしやかに論じられているトピックを論理的に解きほぐしてその「ウソ」をあばくという内容かと思って手に取ったら、随分と良い意味で期待を裏切られた一冊だった。
本書を通じて著者が説くポイントは以下の通り。
(1) 「わかる」こととは、字面をなめて記憶することではなく、自分が主体的にその情報に「かかわり」考えるステップを踏んで消化すること。
(2) 一見「客観的」に見える数字を読むときは、それを「主観的」に使っている書き手・話し手の意図を考えよう。
(3) 最初からありきの結論に引っ張られて組み立てられた論理展開に気をつけ、その論理以前の概念や前提を吟味しよう。
(4) 正しく辿りついた結論も、時間の経過とともに正しくなくなることが多々あり、常に見直す努力が必要。
(5) 簡単に白黒付けられない事柄については軽々しく結論を求めず、まずは自分達の価値観なり目標なりをしっかり持つことから始めよう。
論理的思考能力を磨き「議論のウソ」を見破るという技術論を説くどころか、論理が絶対的に正しいことがあり得ないという原点まで戻った上で、情報を取り扱う上でのより基本的な姿勢の在り方を問うものであったに感銘を受けた。幾多のメディアを通じて消極的に情報を受け取る人から積極的に情報を発信する人まで、それらの情報を元に分析する人から意思決定する人まで、幅広い層に読まれるべき良書だと思う。
本書を通じて著者が説くポイントは以下の通り。
(1) 「わかる」こととは、字面をなめて記憶することではなく、自分が主体的にその情報に「かかわり」考えるステップを踏んで消化すること。
(2) 一見「客観的」に見える数字を読むときは、それを「主観的」に使っている書き手・話し手の意図を考えよう。
(3) 最初からありきの結論に引っ張られて組み立てられた論理展開に気をつけ、その論理以前の概念や前提を吟味しよう。
(4) 正しく辿りついた結論も、時間の経過とともに正しくなくなることが多々あり、常に見直す努力が必要。
(5) 簡単に白黒付けられない事柄については軽々しく結論を求めず、まずは自分達の価値観なり目標なりをしっかり持つことから始めよう。
論理的思考能力を磨き「議論のウソ」を見破るという技術論を説くどころか、論理が絶対的に正しいことがあり得ないという原点まで戻った上で、情報を取り扱う上でのより基本的な姿勢の在り方を問うものであったに感銘を受けた。幾多のメディアを通じて消極的に情報を受け取る人から積極的に情報を発信する人まで、それらの情報を元に分析する人から意思決定する人まで、幅広い層に読まれるべき良書だと思う。
2014年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ディベートで相手を喝破することが目的なのではなく、
ディベートを楽しみたいので、そのための論理思考を
身につけるために、色々な書籍に触れ、勉強しています。
個人的には、単品の書籍の評価よりも十冊、二十冊、
三十冊と読破して後に、ものごとを俯瞰で見られる
ようになれればと思っています。
ディベートを楽しみたいので、そのための論理思考を
身につけるために、色々な書籍に触れ、勉強しています。
個人的には、単品の書籍の評価よりも十冊、二十冊、
三十冊と読破して後に、ものごとを俯瞰で見られる
ようになれればと思っています。
2005年12月13日に日本でレビュー済み
私たちの視覚や、直覚、脳、思考に及ぶすべてのものは案外フシアナである。
この本では、最初に統計の使われているその背景にこそ注目すべきであると指摘する。
というのは、新聞や本で採用されている実際のデータ、それ自身には裏はない。事実として、受け止め、自分なりに考察するのであれば、それはそれで結構なものであろう。
けれど、私たち人間はわかりやすさや、答えを求める。
実際は答えのでないことなど多くこの世にあるというのに―。
統計や、データが記載されているところにはそのデータを使用している著者や筆者の思惑がある。
こうこうこういう結論に持っていきたいのでこのデータを使用しよう!という思惑が。
その背景を理解し、着目していかなければ、簡単に思惑にのってしまうのである。
この本では、最初に統計の使われているその背景にこそ注目すべきであると指摘する。
というのは、新聞や本で採用されている実際のデータ、それ自身には裏はない。事実として、受け止め、自分なりに考察するのであれば、それはそれで結構なものであろう。
けれど、私たち人間はわかりやすさや、答えを求める。
実際は答えのでないことなど多くこの世にあるというのに―。
統計や、データが記載されているところにはそのデータを使用している著者や筆者の思惑がある。
こうこうこういう結論に持っていきたいのでこのデータを使用しよう!という思惑が。
その背景を理解し、着目していかなければ、簡単に思惑にのってしまうのである。
2013年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
授業の教科書で使用するのに購入しました。
状態もきれいで大変満足しています。
状態もきれいで大変満足しています。
2007年10月25日に日本でレビュー済み
たしかに読みやすいとは思います。そのぶん具体例がだらだら続いている感が否めません。疑うべき対象が本当にこの本に述べられているものだけなのかといった体系性の面で少し納得できませんでした。もっともこれは私の勉強不足からくるものなので著者には責任はありません。子供にメディアリテラシーというものを教えるときに役に立つ資料がいっぱい収録されているとは思います。