アーレンとは「複数性」と言う言葉を使って多様性を表現している。彼女が言う複数性には、数的な意味合いも含まれているようで、実数的にも思想的にも、異なる意見の尊重こそが人間社会を運営する上で最も重要な概念であると認識しているようで、この見解には賛成だ。 現在の日本で最も足りない要素の一つが意見の相違をお互いが認め合う「複数性・多様性」であると思い続けてきた。
我々の社会には、何かしらの目に見えない共通の「常識」とでも言うか、漂っているモワっとしたものが、我々を縛っている。これを私は「和の呪縛」と言っているのだが、この社会ではある出来事に対して一定の範囲内の意見や態度・ふるまいしか認められない「空気」が存在する。このような空気というか、コモンセンスというかは何処の社会にもあるだろうが、日本ではこの空気に従うことが正しい、「絶対」に、というところに危惧を感じてしまう。
そういう意味で日本も(ある程度の範囲という言葉が正しいか、日本型というか)全体主義国家と思ってしまう。それも、国家機関から強制された上でのこの体制ではなく、国民の一人ひとりの感覚の総意の上で、この体制が続いているというところも又我が国の特徴といえる点である。
アーレンとは「人間の条件」の中で、人間として生きる上で、人間としての生き様として、人間として有るべき姿ということについて、考察しているようである。その論考では「思考し、行動する」事が必須ということのようであるので、この点も自分の考えと一致する。パスカルじゃないが、我々は「考え」る事を続けてきたことで、今の繁栄を築き挙げてきた。幾多の困難にも立ち向かい多くを克服してきた。よりよく生きる為に内面・外面に対して、考えることをやり続けてきた。この本では「大衆」について『はっきり分かっていないくせに、分かったつもりになるのがまさに「大衆」的な人間(40ページ)』と表しているが、現代はこの層の人間が増加しているような怖さを感じる。
民主主義政治の世界では有権者による選挙で担当者を選出する。選ばれる側は選ぶ側の考えを考慮しなければならない。そのことが煮詰まるとポピュリズムに陥ってしまう。現在はそれが進行してる状況だ。 ポリピュオスの論によると、次は「独裁」がやってくる。現に中国やロシア・北朝鮮、中東の複数国や、一見民主主義を実施しているように見せているだけの国も複数有る。ある一定の独裁体制の方が国の運営上相応しい、と言う声が次第に大きくなる可能性が高くなってくると思っている。
「大衆」。はっきり分かっていないくせに、分かったつもりになってる人々の票を期待した政権は腐敗する。
独裁制は運営が上手くいっているうちはいいだろうが、上手くいってるか否かは国民に情報が公開されることはないので、必ず腐敗する。そもそも独裁体制ではある特定の層に対して政策を執行していくので、不公正なやり方になる。大衆が真の意味で賢さを向上しなければ、結局災いは大衆に向かってきてしまう。分かる大衆を増やす方法にはどのようなやり方があるのだろうか? 「考える」ということを習慣とできない限り、国民の大多数の習慣として定着できない限り、ポピュリズムに沿うよう主張する層の増加は避けられないだろう。
彼ら・彼女たちは政治は丸投げして我田引水を主張するような「大衆」としての声を増大させている状況では、「民主主義」そのものの維持が困難だろう。正にこの日本で。
閉塞感が高まってきたこの頃であるからこそ、今こそアーレンとを読み直すいい機会だろう。本書はこの点で安価で有り、優れた解説書であるといえる。
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今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書 1996) 新書 – 2009/5/19
仲正 昌樹
(著)
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20世紀を代表する政治哲学者が、なぜいま再評価されるのか。 人間の本性や社会の公共性を探った彼女の難解な思考の軌跡を辿り直し、私たちがいま生きる社会を見つめ直す試み。
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/5/19
- 寸法10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- ISBN-104062879964
- ISBN-13978-4062879965
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 232ページ
- ISBN-10 : 4062879964
- ISBN-13 : 978-4062879965
- 寸法 : 10.6 x 1.1 x 17.4 cm
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2020年8月27日に日本でレビュー済み
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2015年4月21日に日本でレビュー済み
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アーレントの著作における思想の推移を、著者の推察を含めな
がら追って行きます。
合間には、現代日本の状況をちりばめながら解説してくれるの
で、なかなか判り易く、且つ面白いです。
アーレントの思想の流れは、まず全体主義を拒否するために、
それを探求して行きます。
アイヒマンが凡庸な、思考しない役人に過ぎなかったことは、
全体主義への恐怖感をいや増します。
それは、自分自身がそうなること、隣人がそうなり攻撃される
ことを示しているからです。
次に、複数性を絶対価値とし、「公共領域」における「活動」
を人間性の条件としています。
ここで極論すると、「公共領域」を支える「私的領域」は奴隷制
を前提とすることになります。
ここは、内面とは切り離され、私的利益とも切断された公共の理念
を志向したところで、留め置きます。
また解放の政治を嫌い、自由の構成を必須と考えたことから、
フランス革命を貶し、アメリカの憲法に基づく体制を評価して
いるのが、興味深いところです。
そして、晩年には従来の「活動」から、「注視者」へと重点が移っ
て行きます。
急逝されたため、著作が未完となっており、その辺りをこの著者は、
丁寧に推察のうえ、捕捉してくれます。
最後の「おわりに」に至るまで、著者のカラーが出ていて、良い
感じです。
がら追って行きます。
合間には、現代日本の状況をちりばめながら解説してくれるの
で、なかなか判り易く、且つ面白いです。
アーレントの思想の流れは、まず全体主義を拒否するために、
それを探求して行きます。
アイヒマンが凡庸な、思考しない役人に過ぎなかったことは、
全体主義への恐怖感をいや増します。
それは、自分自身がそうなること、隣人がそうなり攻撃される
ことを示しているからです。
次に、複数性を絶対価値とし、「公共領域」における「活動」
を人間性の条件としています。
ここで極論すると、「公共領域」を支える「私的領域」は奴隷制
を前提とすることになります。
ここは、内面とは切り離され、私的利益とも切断された公共の理念
を志向したところで、留め置きます。
また解放の政治を嫌い、自由の構成を必須と考えたことから、
フランス革命を貶し、アメリカの憲法に基づく体制を評価して
いるのが、興味深いところです。
そして、晩年には従来の「活動」から、「注視者」へと重点が移っ
て行きます。
急逝されたため、著作が未完となっており、その辺りをこの著者は、
丁寧に推察のうえ、捕捉してくれます。
最後の「おわりに」に至るまで、著者のカラーが出ていて、良い
感じです。
2019年12月2日に日本でレビュー済み
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アーレントについては、大学1回生のころ古本屋で見つけた『革命について』が安かったので買ってみたが、数ページで挫折した思い出がある。私の頭が悪かったこともあるが、彼女が何を言っているのかさっぱりわからなかったのだ。
そういうわけで「アーレントは難しい」とずっと思っていたわけだが、定期的に色々な人の文章に引用されるので、ずっと気になっていた思想家でもあった。この本を手に取ったのもアーレントについてちゃんと知りたいと思ったからだ。
私は哲学や政治思想に関してはずぶの素人なので正確性がどこまで犠牲になっているのかはわかりかねるが、かなりわかりやすくアーレントの思想についてまとまっており、非常に読みやすかった。アーレントについては、フランス革命は批判したがアメリカ独立革命は支持した人とか、全体主義を批判した人とか、エルサレムのアイヒマンの人ぐらいにしかわかっていなかったが、それらのこと以外にも現代の政治につながる重要な指摘を数多くしており、この本を読んで学んだことは多かった。何よりアーレントという人の思想が他の思想家とは一風変わっており、すごく魅力的であると感じた。アーレントの著作を読んでみたくなった。
私が昔アーレントを挫折した理由がこの本を読んでよくわかった。「政治」「人間性」「活動」「公的」「私的」「自由」といった言葉が、彼女の著作の中では古代ギリシアの詩人・哲学者やカントの著作から再定義した概念で解釈されており、私たちの日常で使われる意味とはかなりズレがあったのである。例えば、「政治」という言葉をアーレントは、物質的な利害関係などから自由な市民たちが共同体全体にとって何が良いことか(共通善)について討論し合う営みである、という意味で使っている。しかし、現代では「政治」とは利害関係の調整やステークホルダー間の妥協を仲介する過程であるとみなされることの方が多く、アーレントの「政治」観はいささか抽象的な感じもする。アーレントのこの抽象的な議論が現実離れした印象を読む人に与えることも確かだが、逆に一歩離れて冷静に今の政治を見つめるきっかけになると思った。
個人的には第2章の『「人間本性」は、本当にすばらしいのか?』が一番面白かった。私は常々、ありのまま、自然のままの人間が一番素晴らしいとする「ヒューマニズム」に得体の知れないうさんくささを感じていた。アーレントの言う「人間性」と「ヒューマニズム」的な「人間性」の違いを知り、「ヒューマニズム」的な人間観に基づいて普遍的な人権と民主主義の拡大を進めてきた結果が全体主義の母体となった大衆社会の形成であると理解すると、その得体の知れないうさんくささの正体がなんとなくわかった気がした。「人間本来の人間性のすばらしさ」を無邪気に信じている人たちは楽観がすぎるのである。と同時に、アーレントの理想とする「人間」の形成は現代ではおそらく不可能に近いという暗い結論にも納得した。
本書の中で繰り返しキーワードとして取り上げられているのは「複数性」という言葉である。アーレントは多様な他者との意見交換を通じて、複眼的な物の見方を形成していくことの重要性を述べている。右、左関係なく共通善のために色々な意見を持った人が寄り集まって議論を交わし、相手を説得しようとする試みがアーレント的な「政治」や「活動」の理想であるが、かつてはインターネットはそうした場を提供する場所として期待されていたはずである。ところが現実のネットでは、同じ意見をもった人だけで集まって少しでも自分たちと違う意見をもった人間を見かけると攻撃するという事態がいたるところで頻発している。そういったところから少し距離をとり、「政治」や「人間」について一度ゆっくり考えてみたい人にはおすすめの一冊である。
そういうわけで「アーレントは難しい」とずっと思っていたわけだが、定期的に色々な人の文章に引用されるので、ずっと気になっていた思想家でもあった。この本を手に取ったのもアーレントについてちゃんと知りたいと思ったからだ。
私は哲学や政治思想に関してはずぶの素人なので正確性がどこまで犠牲になっているのかはわかりかねるが、かなりわかりやすくアーレントの思想についてまとまっており、非常に読みやすかった。アーレントについては、フランス革命は批判したがアメリカ独立革命は支持した人とか、全体主義を批判した人とか、エルサレムのアイヒマンの人ぐらいにしかわかっていなかったが、それらのこと以外にも現代の政治につながる重要な指摘を数多くしており、この本を読んで学んだことは多かった。何よりアーレントという人の思想が他の思想家とは一風変わっており、すごく魅力的であると感じた。アーレントの著作を読んでみたくなった。
私が昔アーレントを挫折した理由がこの本を読んでよくわかった。「政治」「人間性」「活動」「公的」「私的」「自由」といった言葉が、彼女の著作の中では古代ギリシアの詩人・哲学者やカントの著作から再定義した概念で解釈されており、私たちの日常で使われる意味とはかなりズレがあったのである。例えば、「政治」という言葉をアーレントは、物質的な利害関係などから自由な市民たちが共同体全体にとって何が良いことか(共通善)について討論し合う営みである、という意味で使っている。しかし、現代では「政治」とは利害関係の調整やステークホルダー間の妥協を仲介する過程であるとみなされることの方が多く、アーレントの「政治」観はいささか抽象的な感じもする。アーレントのこの抽象的な議論が現実離れした印象を読む人に与えることも確かだが、逆に一歩離れて冷静に今の政治を見つめるきっかけになると思った。
個人的には第2章の『「人間本性」は、本当にすばらしいのか?』が一番面白かった。私は常々、ありのまま、自然のままの人間が一番素晴らしいとする「ヒューマニズム」に得体の知れないうさんくささを感じていた。アーレントの言う「人間性」と「ヒューマニズム」的な「人間性」の違いを知り、「ヒューマニズム」的な人間観に基づいて普遍的な人権と民主主義の拡大を進めてきた結果が全体主義の母体となった大衆社会の形成であると理解すると、その得体の知れないうさんくささの正体がなんとなくわかった気がした。「人間本来の人間性のすばらしさ」を無邪気に信じている人たちは楽観がすぎるのである。と同時に、アーレントの理想とする「人間」の形成は現代ではおそらく不可能に近いという暗い結論にも納得した。
本書の中で繰り返しキーワードとして取り上げられているのは「複数性」という言葉である。アーレントは多様な他者との意見交換を通じて、複眼的な物の見方を形成していくことの重要性を述べている。右、左関係なく共通善のために色々な意見を持った人が寄り集まって議論を交わし、相手を説得しようとする試みがアーレント的な「政治」や「活動」の理想であるが、かつてはインターネットはそうした場を提供する場所として期待されていたはずである。ところが現実のネットでは、同じ意見をもった人だけで集まって少しでも自分たちと違う意見をもった人間を見かけると攻撃するという事態がいたるところで頻発している。そういったところから少し距離をとり、「政治」や「人間」について一度ゆっくり考えてみたい人にはおすすめの一冊である。
2020年12月29日に日本でレビュー済み
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著者も断り書きしているが、これはアーレントの思想の解釈本ではなく、アーレントの主張をベースに著者の思いを書いたという感じのものです。
これ読みながら、森友問題で必死で無理な辻褄合に努める財務官僚、「ご意向」で加計学園で学部新設認可に奔走した文部官僚、憲法歪めても安倍政権の要請に応えようとする法務官僚の言質とか色々想起されました(著者はそんな視点で語ってるわけじゃないですが)。
上の命令に従順どころか、思考停止のまま上を忖度して能動的に動くメンタリティは本当に怖い。この国で共通善はどう実現されるんでしょうか。
これ読みながら、森友問題で必死で無理な辻褄合に努める財務官僚、「ご意向」で加計学園で学部新設認可に奔走した文部官僚、憲法歪めても安倍政権の要請に応えようとする法務官僚の言質とか色々想起されました(著者はそんな視点で語ってるわけじゃないですが)。
上の命令に従順どころか、思考停止のまま上を忖度して能動的に動くメンタリティは本当に怖い。この国で共通善はどう実現されるんでしょうか。
2018年10月30日に日本でレビュー済み
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政治的な問題について複眼的に考える姿勢に共感を覚え、アーレントの本を何冊か読んだ。アーレントは結論のない問題について、結論を言わないところがよい。この本は非常にわかりやすく、一気に読んでしまったが、この本はあくまで自分の頭でアーレントの思想を考える場合の材料のひとつにすぎない。