鉄道が日本で最初に敷設されたのは明治5年(1872年)8月7日で「品川駅」~「横浜駅」間であった。間もなく10月14日に「新橋駅」(「汐留貨物駅」-現在は廃駅)に延伸された。この10月14日が我が国の「鉄道記念日」となっている。
問題は「軌間(ゲ-ジ)」で、当時新政府の財政も担当していた大隈重信は、『予算や輸送需要を考えれば「狭軌」(1067cm)〔「標準軌」は1435cm〕を採用して鉄道を早期に建設すべき』と主張したエドモンド・モレル(イギリス人)などお雇い外国人に説得されてしまった」。大隈自身は軌間というものを当時は理解しておらず、狭軌を採用したことを「一生の不覚であった」とのちに述べている。その通りで「狭軌」は電力の「ヘルツ」と並んで日本三大失敗の1つとされている。
鉄道の敷設には軍部が反対していた。それは① 外国人がやってきて日本人との間で不測の事態を起こし、それ口実に外国軍隊が東京駐留の口実になりかねない、② 兵部省が予定していた海軍基地設置計画に対し鉄道用地が障害になること、③ 国防の充実が急務であるのに鉄道に多額の費用を掛けるのはもっての外、というものであった。
これが変わったのは明治10年(1877年)に起きた「西南戦争」で「鉄道」が兵員・兵器の輸送に有利であったからである。その後「日清戦争」(明治27年)、「日露戦争」(明治37年)には一段と鉄道の敷設と充実が叫ばれるようになった。「戦争」が「鉄道」の有用性を認識させたとは皮肉のことである。「軍部」のためだけに敷設された「鉄道」は「横須賀線」と「武蔵野線」があり、現在では「客車」も運行しており通勤客などの役に立っている。
その後は世界有数の「鉄道王国」となっており、「鉄道」は日本の支配地にも敷設され「臺灣」、「朝鮮」、「樺太」、「満州」では鉄道の基となっており、ほとんどの路線がその時代に敷設されたものである。「駅舎」も多く残っており「テツドウファン」にとって垂涎の的となっている。私も「臺灣」、「北朝鮮」、「韓国」の鉄道および駅舎を訪ねたことがある。
鉄道は最初は「国有鉄道」のみであったが「私鉄」も認められ、明治17年(1884年)には「大阪」に「堺阪鉄道」が開通した。しかし「私鉄」は「株主」によって成り立ちその中には「外国人」もおり「鉄道機密」が「外国」漏れたり、運行が「外国」により支配されるという危惧が高まり明治39年(1906年)に「鉄道国有化法」が成立して37私鉄は総て「国有化」されることになった。「私鉄」が復活したのは昭和62年(1987年)からで、今では「新幹線」も含む総ての「鉄道」が「私鉄」となっている。
鉄道が飛躍的発展を遂げたのは昭和39年(1959年)の「東海道新幹線」からである。これは「東京オリンピック」のために敷設されたもので速度が時速180キロくらいで「東京」~「新大阪」間を4時間かけて走った。「国民」を熱狂させ「外国人」も驚かせた。
さらに発展を遂げたのは、「国鉄」が先日亡くなった「中曽根康弘」首相によって<民営化>が叫ばれ、昭和61年(1986年)に解体された時からである。それまで「我田引鉄」で政治家により全国各地に「鉄道」が敷設され莫大な赤字(37兆円)に苦しめられた。また「国鉄労働組合」の度重なる「ストライキ」が頻発して輸送は滞り、「国鉄組合員」の横暴(「給与」の高額、頻繁な休憩など)が「国民」憤激を買い<民営化>は諸手をうって迎えられた。<民営化>により総ての「鉄道」の運賃やサ-ビス、運行速度が向上して安心し「鉄道」を利用できるようになっている。
鉄道が飛躍的発展を遂げたのは昭和39年(1959年)の「東海道新幹線」からである。これは「東京オリンピック」のために敷設されたもので速度が時速180キロくらいで「東京」~「新大阪」間を4時間かけて走った。「国民」を熱狂させ「外国人」も驚かせた。
「新幹線」は<事故>による死傷者がいない「世界」で稀有の「鉄道」となっており、世界に輸出されている。その他にも「地下鉄」や「車体」も「信号設備」もである。おそらく「日本」の鉄道が世界を席巻して行くであろう。
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鉄道と国家─「我田引鉄」の近現代史 (講談社現代新書) 新書 – 2012/4/18
小牟田 哲彦
(著)
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明治期の敷設以来、鉄道は日本近現代の政治、社会を映す鑑として、その変遷を見ることが可能である。ときに「我田引鉄」とも揶揄されるように、政治家が自らの選挙区に利益を誘導するがごとく鉄道を誘致する事例が明治、大正、昭和と途絶えることはなかったのだ。現代にも残る鉄道にまつわるエピソードを追いながら、日本の近現代史の様相をたどる。
すべての路線は政治的につくられる!
原敬、佐藤栄作、田中角栄、大野伴睦、大物政治家たちが“介入”してきた「鉄道史」
時代とともに変わる公共インフラとしての鉄道と政治の距離感
それは、鉄道という社会資本に対する政府の姿勢の変動の表れでもある。昭和末期に国鉄が民営化され、明治以来ずっと一体的な関係にあった政府と鉄道は国内では距離を置きつつあった。だが、新幹線の海外輸出という新たな場面で官民一体が必須となるに至り、鉄道は政治の世界と再び接近。そんな時期に起こった東日本大震災をきっかけに、国内でも復興支援という名目で政府による鉄道への公的関与度を高めようとする動きが官民両サイドから起こっている。「鉄道は国民自らが共に築き上げた共有財産である」という意識が、JR化後も脈々と日本国民の間に静かに生き続けていたことの証と言える。――本文より
すべての路線は政治的につくられる!
原敬、佐藤栄作、田中角栄、大野伴睦、大物政治家たちが“介入”してきた「鉄道史」
時代とともに変わる公共インフラとしての鉄道と政治の距離感
それは、鉄道という社会資本に対する政府の姿勢の変動の表れでもある。昭和末期に国鉄が民営化され、明治以来ずっと一体的な関係にあった政府と鉄道は国内では距離を置きつつあった。だが、新幹線の海外輸出という新たな場面で官民一体が必須となるに至り、鉄道は政治の世界と再び接近。そんな時期に起こった東日本大震災をきっかけに、国内でも復興支援という名目で政府による鉄道への公的関与度を高めようとする動きが官民両サイドから起こっている。「鉄道は国民自らが共に築き上げた共有財産である」という意識が、JR化後も脈々と日本国民の間に静かに生き続けていたことの証と言える。――本文より
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2012/4/18
- 寸法10.7 x 1 x 17.3 cm
- ISBN-104062881527
- ISBN-13978-4062881524
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2012/4/18)
- 発売日 : 2012/4/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4062881527
- ISBN-13 : 978-4062881524
- 寸法 : 10.7 x 1 x 17.3 cm
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2014年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
★『国家と鉄道』
第一章の「”軌間”(線路の幅)が、その国の鉄道将来像を決定する」という内容から始まる。日本の鉄道の歴史のスタートの経緯(いきさつ)が、こんな足元のことによって縛られていたなんてチョット驚きの話だ。
そして、第二章〜第五章までは「我田引鉄」をキーワードした、鉄道と政治の話。第二章あたりの”日本の鉄道の父”井上勝や、”軌間”の拡張『広軌論』を唱えた後藤新平、東海道新幹線計画を支えた佐藤栄作、日本列島改造論の田中角栄の頃までの「鉄道建設は国家全体の発展に必要とされる国策である」という政治スタンスで、欧米列強の開国プレッシャー後、そして敗戦後日本が遮二無二に国を作り上げていく勢いというものを感じる。「鉄道は地方発展のためにやむを得なければ赤字を出してもよい」という、田中角栄の言葉が説得力を感じるだけでなく、その当時の日本社会に漂う、「成長が全てを癒やす」感を国民も共有していた。
それ故、一政治家がご都合主義で地元に新駅を作ったり、鉄道路線を経済的合理性を全く度外視して地元に誘導してみたり、ダイヤを変えさせたりと好き勝手に振舞うことができ時代でもあった
だが、ビジネスレベルでのみ社会資本整備を見ようとする姿勢が定着し始めた頃、国鉄の莫大な赤字が社会の中では容認されなくなり、赤字路線の廃止に始まり、「国鉄再建法」の成立、民営化に進んでゆく。今からみれば、当然の経済理論のように思えることでもあるが、その背景にはどうしても、日本の成長の現界の翳りを見はじめていた社会があったように思えてならない。最後の章は新幹線の海外への輸出は総合システムとして国をあげて、輸出することによって国際競争に勝ちかち、新幹線の技術が商業上の利益にとどまらずに、国際貢献を果たすことができると結んでいる。
鉄道を利用することが減った生活を送っているが、あらためて、この本で得た知識が失せないうちに、鉄道での旅行を計画して、時代を遡って浸ってみようと思う。
第一章の「”軌間”(線路の幅)が、その国の鉄道将来像を決定する」という内容から始まる。日本の鉄道の歴史のスタートの経緯(いきさつ)が、こんな足元のことによって縛られていたなんてチョット驚きの話だ。
そして、第二章〜第五章までは「我田引鉄」をキーワードした、鉄道と政治の話。第二章あたりの”日本の鉄道の父”井上勝や、”軌間”の拡張『広軌論』を唱えた後藤新平、東海道新幹線計画を支えた佐藤栄作、日本列島改造論の田中角栄の頃までの「鉄道建設は国家全体の発展に必要とされる国策である」という政治スタンスで、欧米列強の開国プレッシャー後、そして敗戦後日本が遮二無二に国を作り上げていく勢いというものを感じる。「鉄道は地方発展のためにやむを得なければ赤字を出してもよい」という、田中角栄の言葉が説得力を感じるだけでなく、その当時の日本社会に漂う、「成長が全てを癒やす」感を国民も共有していた。
それ故、一政治家がご都合主義で地元に新駅を作ったり、鉄道路線を経済的合理性を全く度外視して地元に誘導してみたり、ダイヤを変えさせたりと好き勝手に振舞うことができ時代でもあった
だが、ビジネスレベルでのみ社会資本整備を見ようとする姿勢が定着し始めた頃、国鉄の莫大な赤字が社会の中では容認されなくなり、赤字路線の廃止に始まり、「国鉄再建法」の成立、民営化に進んでゆく。今からみれば、当然の経済理論のように思えることでもあるが、その背景にはどうしても、日本の成長の現界の翳りを見はじめていた社会があったように思えてならない。最後の章は新幹線の海外への輸出は総合システムとして国をあげて、輸出することによって国際競争に勝ちかち、新幹線の技術が商業上の利益にとどまらずに、国際貢献を果たすことができると結んでいる。
鉄道を利用することが減った生活を送っているが、あらためて、この本で得た知識が失せないうちに、鉄道での旅行を計画して、時代を遡って浸ってみようと思う。
2015年9月15日に日本でレビュー済み
明治以来,鉄道は近代化の象徴であり,社会を発展させる公共インフラであるがゆえに,「我田引鉄」と言われるほどに時の政治に翻弄されていった。
本書は,鉄道の歴史を政治の視点から捉えた本であり,読み応えがある。
特に,赤字ローカル線と田中角栄の「列島改造」の部分は今日の鉄道の在り方を考えるとき,大いに参考になった。
できれば,これからの少子化時代の鉄道像にも触れて欲しかった。
こういう内容の濃い新書はもっと評価されてしかるべきであろう。
本書は,鉄道の歴史を政治の視点から捉えた本であり,読み応えがある。
特に,赤字ローカル線と田中角栄の「列島改造」の部分は今日の鉄道の在り方を考えるとき,大いに参考になった。
できれば,これからの少子化時代の鉄道像にも触れて欲しかった。
こういう内容の濃い新書はもっと評価されてしかるべきであろう。
2012年4月24日に日本でレビュー済み
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私は本書のキャプションに引かれ、内容を見ずAmazonさんんから購入しました。きっと、荒船清十郎、田中角栄、大野伴睦、等がいかにして自分の選挙区に鉄道を誘致し、駅を作らせたか、そういった類の政治と鉄道の裏面史を描いたノンフィクションだろうと思いました。しかし、著者の小牟田さんは、そういうつもりで本書を著したのではなさそうです。
航空機が未発達で現代のように車社会でもなかった時代では、鉄道の敷設事業は、インフラ整備の筆頭格で、経済事業という側面は当然ありましたが、それよりも社会政策上また、軍事上の要因として、政治に深く関連し続けてきました。すなわち、著者は、鉄道敷設そのものが政治そのものであると考えて、鉄道と政治の歴史をこの本を著しています。
先ず、 鉄道を日本で最初に敷設するに当ってのゲージの問題です。結局狭軌に決定しますが、標準軌への改変を主張した後藤新平と井上勝しかし、その実現は、東海道新幹線まで待たなければなりませんでした。そして、戦後、鉄道官僚から転進し、首相にまで上り詰めた佐藤栄作、実はこの佐藤が蔵相時、当時の国鉄総裁十河に世銀からの借款をアドバイスし、新幹線計画を実現させました。世銀では、数ある世銀借款の中で最も成功し、稔り豊かで、かつ世銀にとっても最も誇らしい融資が、日本の東海道新幹線建設であると今でも語り継がれているようです。次いで、自民党政調会長として鉄道政策に大きく関与した田中角栄、首相にまで上り詰め、自らの日本列島改造論にのっとり、上越新幹線を最優先で建設しました。そして、国鉄から民営化へ!
さらに、海外への鉄道進出、強敵の諸外国との競争に打ち勝つ為、官民一体の協力関係が必要不可欠です。さらに、震災により、鉄道の役割が再認識され、鉄道への公的関与度を高めようとする動きも出てきています。
小牟田さんは、鉄道と政治の歴史をわかり易く簡明に纏めています!!
航空機が未発達で現代のように車社会でもなかった時代では、鉄道の敷設事業は、インフラ整備の筆頭格で、経済事業という側面は当然ありましたが、それよりも社会政策上また、軍事上の要因として、政治に深く関連し続けてきました。すなわち、著者は、鉄道敷設そのものが政治そのものであると考えて、鉄道と政治の歴史をこの本を著しています。
先ず、 鉄道を日本で最初に敷設するに当ってのゲージの問題です。結局狭軌に決定しますが、標準軌への改変を主張した後藤新平と井上勝しかし、その実現は、東海道新幹線まで待たなければなりませんでした。そして、戦後、鉄道官僚から転進し、首相にまで上り詰めた佐藤栄作、実はこの佐藤が蔵相時、当時の国鉄総裁十河に世銀からの借款をアドバイスし、新幹線計画を実現させました。世銀では、数ある世銀借款の中で最も成功し、稔り豊かで、かつ世銀にとっても最も誇らしい融資が、日本の東海道新幹線建設であると今でも語り継がれているようです。次いで、自民党政調会長として鉄道政策に大きく関与した田中角栄、首相にまで上り詰め、自らの日本列島改造論にのっとり、上越新幹線を最優先で建設しました。そして、国鉄から民営化へ!
さらに、海外への鉄道進出、強敵の諸外国との競争に打ち勝つ為、官民一体の協力関係が必要不可欠です。さらに、震災により、鉄道の役割が再認識され、鉄道への公的関与度を高めようとする動きも出てきています。
小牟田さんは、鉄道と政治の歴史をわかり易く簡明に纏めています!!
2012年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書のタイトルは『鉄道と国家』であるが、内容は「政治と鉄道」の関係を書いたものである。
本書を読むまでは、政治と鉄道の関係など、田中角栄の力で新潟に新幹線が通ったんだよな、というレベルであった。
しかし、本書を読むことにより、明治期の鉄道開設の時から、現在の新幹線海外輸出問題まで、政治と鉄道は密接に関係していたのだということが分かる。
数ある参考文献の中から、必要箇所を引用して展開される論には、非常に説得力がある。
政治関連本は難しいというイメージもあるが、エピソードごとに分かりやすくまとめられており、知識を増やしながら楽しく読める一冊である。
本書を読むまでは、政治と鉄道の関係など、田中角栄の力で新潟に新幹線が通ったんだよな、というレベルであった。
しかし、本書を読むことにより、明治期の鉄道開設の時から、現在の新幹線海外輸出問題まで、政治と鉄道は密接に関係していたのだということが分かる。
数ある参考文献の中から、必要箇所を引用して展開される論には、非常に説得力がある。
政治関連本は難しいというイメージもあるが、エピソードごとに分かりやすくまとめられており、知識を増やしながら楽しく読める一冊である。
2022年3月31日に日本でレビュー済み
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致命的なミスが目立つ。
例えば、「国鉄再建法まわりは国鉄再建法という法律は、こういう不確実な数値を直近三年間だけ比較して廃止すべきかどうかを全国一斉に決めていた」「営業係数で全てが判断される」などと書かれているが、国鉄再建法で基準になっていたのは営業係数(収入/支出の比率)ではなく輸送密度(1日当たりの平均輸送量)である。営業係数は「こんなに赤字」というある種のわかりやすいアピールに使われていただけであり、存廃の判断には直接の関わりは全くない。wikipedia読んだ程度の知識レベルの人間でさえ間違わない根本的勘違いをしているこの一章は丸々読む価値がないことは言うまでもない。
また、帯にも使われている大船渡線のルート選定だが、本書でもそのまま書かれている「1920年の選挙で政友会が勝ったため摺沢経由になり、1924年の選挙で憲政会が勝ったため千厩経由になった」という通説は、郷土史家の研究でほぼ完全に否定されている(千厩は憲政会派の町長を追い出してまで政友会に接近して誘致を行った)。そもそも、1923年の鉄道省年報(国会図書館のデジタルコレクションで家にいながらでも誰でも読める)を読めばこの時点ですでに「摺沢-千厩で線路選定」と書かれていることから、「1924年の総選挙で憲政会が勝利して計画が変わった」というストーリーが破綻していることは明らかで、著者はこの程度の基礎資料さえ調べず適当に先行の鉄道雑学書を引き写したのであろう。
評価できるのは深谷駅まわりの記述くらい、そこで☆+1。
例えば、「国鉄再建法まわりは国鉄再建法という法律は、こういう不確実な数値を直近三年間だけ比較して廃止すべきかどうかを全国一斉に決めていた」「営業係数で全てが判断される」などと書かれているが、国鉄再建法で基準になっていたのは営業係数(収入/支出の比率)ではなく輸送密度(1日当たりの平均輸送量)である。営業係数は「こんなに赤字」というある種のわかりやすいアピールに使われていただけであり、存廃の判断には直接の関わりは全くない。wikipedia読んだ程度の知識レベルの人間でさえ間違わない根本的勘違いをしているこの一章は丸々読む価値がないことは言うまでもない。
また、帯にも使われている大船渡線のルート選定だが、本書でもそのまま書かれている「1920年の選挙で政友会が勝ったため摺沢経由になり、1924年の選挙で憲政会が勝ったため千厩経由になった」という通説は、郷土史家の研究でほぼ完全に否定されている(千厩は憲政会派の町長を追い出してまで政友会に接近して誘致を行った)。そもそも、1923年の鉄道省年報(国会図書館のデジタルコレクションで家にいながらでも誰でも読める)を読めばこの時点ですでに「摺沢-千厩で線路選定」と書かれていることから、「1924年の総選挙で憲政会が勝利して計画が変わった」というストーリーが破綻していることは明らかで、著者はこの程度の基礎資料さえ調べず適当に先行の鉄道雑学書を引き写したのであろう。
評価できるのは深谷駅まわりの記述くらい、そこで☆+1。
2012年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「文章がひどい」というコメントもあるようだが,そうした主観的な判断は各読者の教養にも大きくされるのは自明である。やや固いか?が,いきなり「ひどい」と短絡するのは,その程度の読み手と判断した方がよかろう。