自衛隊を活かす会による編・著。
シンポジウムの内容のまとめが多いようだけど、ほかに何人かの寄稿もあります。
「平時の自衛権」については、小原凡司さんの指摘。
安全の確保というのは、平時から積み上げる必要のある、多角的なものだとわかる。
勇ましいことだけが安全保障ではないのだ。
停戦監視の実際については伊勢﨑賢治さん。
危険かどうかだけでは判断すべきでない最前線のこと。
現政権が言うのとは別の、「平和憲法を持つ国のすべきこと」
伊勢﨑さんと、同じく呼びかけ人の加藤朗さんは、非武装PKOを提唱されている。
伊勢﨑さんは自衛隊を、加藤さんは一般の中年を、それぞれ頭に置いていらっしゃるようだけど。
航空自衛隊の直面する現実については林吉永さん。
陸や海と違って、現場対応は一人で瞬時にすべて判断しなければならない。
一瞬の迷い・間違いが自らの死だけでなく国際紛争を引き起こすかもしれない。
空自の気質は「勇猛果敢支離滅裂」
陸自は「用意周到動脈硬化」
海自は「伝統墨守唯我独尊」
なのだそうです。
これは、シンポジウムで聞いたときからとても印象に残ってました。
新書だけど中身が濃い。
近く、代表の柳澤さんが、更にこのあとのシンポジウムの内容も含めた本を出されるようですが、どちらもお勧めです。
[・・・]
議論は、ちゃんと現場を知る人から聞いて考えた方がいい。
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新・自衛隊論 (講談社現代新書) 新書 – 2015/6/18
自衛隊を活かす会
(編集, 著)
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本書は、自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、あくまでも現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探ることが目的である。昨今の国際テロや中国の軍事的な活動を鑑みるに、もはや従来型の思考では対処不可能だ。また、安倍首相の進む方向にただ反対だけを唱えていても、現実味はない。変貌する安全保障環境における自衛隊の役割をあらためて考えるための入門書。(講談社現代新書)
いま世界から期待されている日本・自衛隊の役割とは――。
◆守るべきは「非戦のブランド」である◆
日本を取り巻く安全保障環境は変貌しており、
従来型の思考では対処できない事態が生まれている。
そんな中、安倍首相の進む方向にただ反対だけを唱えていても、
現実味はない。
本書は、自衛隊を否定するのでもなく、
かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、
あくまでも現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探る。
はたして、21世紀とはどういう時代なのか。
日本防衛のあり方、国際秩序に対する日本の貢献、
そして、日米同盟における日本の立ち位置とは?
11人の元幹部自衛官・安全保障論の専門家による、
日本の国防を考えるための入門書!
◆おもな内容と執筆陣◆
第一部 「専守防衛」と「安全保障」の本質を考える
第二部 対テロ戦争で日本と自衛隊が求められる役割
第三部 集団的自衛権のリアリティ――防衛のプロが見た15の事例
柳澤協二(元内閣官房副長官補・防衛庁運用局長)
伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)
加藤朗(桜美林大学教授)
冨澤暉(元陸上幕僚長)
植木千可子(早稲田大学大学院教授)
小原凡司(東京財団研究員)
宮坂直史(防衛大学校教授)
酒井啓子(千葉大学教授)
渡邊隆(元陸将)
林吉永(元空将補)
山本洋(元陸将)
いま世界から期待されている日本・自衛隊の役割とは――。
◆守るべきは「非戦のブランド」である◆
日本を取り巻く安全保障環境は変貌しており、
従来型の思考では対処できない事態が生まれている。
そんな中、安倍首相の進む方向にただ反対だけを唱えていても、
現実味はない。
本書は、自衛隊を否定するのでもなく、
かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、
あくまでも現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探る。
はたして、21世紀とはどういう時代なのか。
日本防衛のあり方、国際秩序に対する日本の貢献、
そして、日米同盟における日本の立ち位置とは?
11人の元幹部自衛官・安全保障論の専門家による、
日本の国防を考えるための入門書!
◆おもな内容と執筆陣◆
第一部 「専守防衛」と「安全保障」の本質を考える
第二部 対テロ戦争で日本と自衛隊が求められる役割
第三部 集団的自衛権のリアリティ――防衛のプロが見た15の事例
柳澤協二(元内閣官房副長官補・防衛庁運用局長)
伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)
加藤朗(桜美林大学教授)
冨澤暉(元陸上幕僚長)
植木千可子(早稲田大学大学院教授)
小原凡司(東京財団研究員)
宮坂直史(防衛大学校教授)
酒井啓子(千葉大学教授)
渡邊隆(元陸将)
林吉永(元空将補)
山本洋(元陸将)
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2015/6/18
- 寸法10.6 x 1.5 x 17.4 cm
- ISBN-104062883201
- ISBN-13978-4062883207
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商品の説明
著者について
自衛隊を活かす会
自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探り、2014年6月7日に発足した任意団体。正式名称は「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」。代表は柳澤協二(元内閣官房副長官補・防衛庁運用局長)、呼びかけ人を伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)と加藤朗(桜美林大学教授)が務めている。本書にはその他、冨澤暉(元陸上幕僚長)、植木千可子(早稲田大学大学院教授)、小原凡司(東京財団研究員)、宮坂直史(防衛大学校教授)、酒井啓子(千葉大学教授)、渡邊隆(元陸将)、林吉永(元空将補)、山本洋(元陸将)の各氏がそれぞれの専門分野から論考を寄稿している。
自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探り、2014年6月7日に発足した任意団体。正式名称は「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」。代表は柳澤協二(元内閣官房副長官補・防衛庁運用局長)、呼びかけ人を伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)と加藤朗(桜美林大学教授)が務めている。本書にはその他、冨澤暉(元陸上幕僚長)、植木千可子(早稲田大学大学院教授)、小原凡司(東京財団研究員)、宮坂直史(防衛大学校教授)、酒井啓子(千葉大学教授)、渡邊隆(元陸将)、林吉永(元空将補)、山本洋(元陸将)の各氏がそれぞれの専門分野から論考を寄稿している。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2015/6/18)
- 発売日 : 2015/6/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 336ページ
- ISBN-10 : 4062883201
- ISBN-13 : 978-4062883207
- 寸法 : 10.6 x 1.5 x 17.4 cm
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- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これからの自衛隊のあるべき姿を見出すために、中国問題、対
テロ戦争、集団的自衛権などの懸案事項について、12人の執筆
者による16本の論考が連なっています。
現場に精通した方が多いのが特徴ですが、様々な立場から様々
な見解を出されているので、細部まで整合が取れている訳では
ありません。
それでも、様々な見解に触れられるので、勉強になりました。
中でも、「憲法9条部隊」構想というのは、かなりの極論であり、
アイロニーなのかと、判断に迷った程です。
論考中では、第一部・5項の『中国の対日政策と「平時の自衛権」
問題』と、第二部・4項の『対テロ戦争での非武装自衛隊の役割』
が出色でした。
そして最後に、これら論考を総括する形で、自衛隊を活かす会と
しての提言が示されます。
「血の同盟」を否定する、とても良い提言です。
この方向で議論が深まるよう、注目していきます。
テロ戦争、集団的自衛権などの懸案事項について、12人の執筆
者による16本の論考が連なっています。
現場に精通した方が多いのが特徴ですが、様々な立場から様々
な見解を出されているので、細部まで整合が取れている訳では
ありません。
それでも、様々な見解に触れられるので、勉強になりました。
中でも、「憲法9条部隊」構想というのは、かなりの極論であり、
アイロニーなのかと、判断に迷った程です。
論考中では、第一部・5項の『中国の対日政策と「平時の自衛権」
問題』と、第二部・4項の『対テロ戦争での非武装自衛隊の役割』
が出色でした。
そして最後に、これら論考を総括する形で、自衛隊を活かす会と
しての提言が示されます。
「血の同盟」を否定する、とても良い提言です。
この方向で議論が深まるよう、注目していきます。
2015年7月3日に日本でレビュー済み
まず、当書を編集上梓したのは、「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(自衛隊を活かす会)」という団体である。会の代表は、柳澤協二さん(国際地政学研究所理事長、元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当))で、呼びかけ人として、伊勢崎賢治さん(東京外国語大学教授)と加藤朗さん(桜美林大学教授)が名を連ねている。「この「会」は、自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探り、活かしていくための提言を行うことを目的に、2014年6月7日に発足」(はしがき)したものらしい。「自衛隊を活かす会」では、「日本防衛と国際貢献という二つの分野における自衛隊の役割を議論するため、「『護憲』を超えて」を共通テーマとして、シンポジウムを積み重ねて」きた、とのことだ(同前)。本書は、2014年6月から2015年2月まで5回にわたって行われたシンポジウムでの報告を、三つのフィールドに仕分けし、柳澤さん、伊勢崎さん、加藤さんも含め、11名の報告者から出稿してもらったものを取りまとめたようである。
さて、本書の最大の特徴を一言で述べると、11名の寄稿者のうち、退役した陸海空の自衛隊幹部(将官クラス)が5名加わっていることだ。例えば、渡邊隆・元陸将は1992年の第一次カンボジア派遣PKO施設大隊長であったし、山本洋・元陸将も国連南スーダンミッション(UNMISS)に関わっていたりするなど、“現場サイドの生の声”を聴くことができ、決して「机上の空論」的な問題提起ではない、ということである。無論、こうした“現場の論理”に異議を唱える向きもあろう。だが、2014年5月15日の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告や7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定、さらに、本年(2015年)5月15日、第189通常国会に提出された2法案(我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(平和安全法制整備法)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(国際平和支援法))の流れを見ていくと、なぜか“現場(現実)感覚”というものがすっぽりと抜け落ちているのである。
一例を挙げると、2014年7月1日の閣議決定に先立ち、与党協議の場に、柳澤さんが本書の中でも批判している軍事的・政治的リアリティに全く欠けた「15事例」というものが提示されたが(これらは全て個別的自衛権で解決可能−加藤朗さん)、その「事例7:他国領域における邦人救出」についてである。自衛隊の準隊内紙といえる本年2月12日付『朝雲』新聞においても、IS関連ではあるが、痛烈に“現実味の無さ”を指摘しているし(この「寸言」は、ネットの世界からソッコーで消えた!)、実際、前出の渡邊元陸将もその問題点を裏書きしている(pp.259-260)。自衛官であった防衛大臣の中谷元(元2等陸尉)や佐藤正久(元1等陸佐)などは、かつての部下やその家族等に何と説明(言い訳)するつもりなのであろうか…。いずれにしても、「現行憲法の下で自衛隊を活かす方向にこそ、現在の事態に対処する回答が存在する」(はしがき)のであり、そうした文脈で、例えば対テロ戦争との関連では、様々な紛争地を歩く中で着想した、加藤朗さんの提唱する民間のPKO部隊すなわち「憲法9条部隊」構想などを真剣に議論すべきだ。
最後に、今国会で審議されている集団的自衛権行使を包摂した平和安全法制整備法と国際平和支援法に関して、簡単に触れておきたい。それらの法案が、大多数の憲法学者や内閣法制局の元長官等が指摘するように、違憲性を帯びたものであることは言を俟たない。そもそも、「解釈壊憲」によるこれらの法案の下敷きとなっている本年4月27日に日米安全保障協議委員会(2+2)で合意された新「日米防衛協力のための指針」(以下「新ガイドライン」という)も、1960年1月に締結された「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(以下「安保条約」という)の内容を大きく逸脱している(条約違反)、ということを強調しておきたい。結論を先取りするならば、私個人としては“問題ありあり”で賛成しかねるのだが、スジ論としては「憲法改正、安保改定が先」となろう。以下の論脈は、私が常日頃から思っていることで、柳澤さんも本書の中で語っている事柄であるけれども(p.250)、全くその通りである。何よりもまず、日本政治における「グレーゾーン」を解決することが喫緊の課題なのは言うまでもない。
確かに、安保条約前文において、国連憲章第51条に基づいた個別的又は集団的自衛の権利を謳っている。しかし、第5条において「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とあるように、当たり前の話だが、それぞれの国(日米両国)の「憲法上の規定及び手続」に従うことが求められ、そして何より大事なポイントは、安保条約の発動(適用)範囲が「日本国の施政の下にある領域」と明確に示されていることだろう(所謂「極東」の問題は、条約第4条にあるごとく協議対象である)。「新ガイドライン」が建前上前提としている安保条約は、自衛隊のグローバルな展開を全く想定してはいないし、日本を防衛する米国との集団的自衛権行使(具体的には、日本を防護する米軍への兵站支援等)は「日本国の施政の下にある領域」に局限されている、と私は解釈しており、安保条約からそれ以上のことは読みとれないだろう。
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まず、当書を編集上梓したのは、「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(自衛隊を活かす会)」という団体である。会の代表は、柳澤協二さん(国際地政学研究所理事長、元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当))で、呼びかけ人として、伊勢崎賢治さん(東京外国語大学教授)と加藤朗さん(桜美林大学教授)が名を連ねている。「この「会」は、自衛隊を否定するのでもなく、かといって集団的自衛権や国防軍に走るのでもなく、現行憲法の下で誕生した自衛隊の可能性を探り、活かしていくための提言を行うことを目的に、2014年6月7日に発足」(はしがき)したものらしい。「自衛隊を活かす会」では、「日本防衛と国際貢献という二つの分野における自衛隊の役割を議論するため、「『護憲』を超えて」を共通テーマとして、シンポジウムを積み重ねて」きた、とのことだ(同前)。本書は、2014年6月から2015年2月まで5回にわたって行われたシンポジウムでの報告を、三つのフィールドに仕分けし、柳澤さん、伊勢崎さん、加藤さんも含め、11名の報告者から出稿してもらったものを取りまとめたようである。
さて、本書の最大の特徴を一言で述べると、11名の寄稿者のうち、退役した陸海空の自衛隊幹部(将官クラス)が5名加わっていることだ。例えば、渡邊隆・元陸将は1992年の第一次カンボジア派遣PKO施設大隊長であったし、山本洋・元陸将も国連南スーダンミッション(UNMISS)に関わっていたりするなど、“現場サイドの生の声”を聴くことができ、決して「机上の空論」的な問題提起ではない、ということである。無論、こうした“現場の論理”に異議を唱える向きもあろう。だが、2014年5月15日の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告や7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定、さらに、本年(2015年)5月15日、第189通常国会に提出された2法案(我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(平和安全法制整備法)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(国際平和支援法))の流れを見ていくと、なぜか“現場(現実)感覚”というものがすっぽりと抜け落ちているのである。
一例を挙げると、2014年7月1日の閣議決定に先立ち、与党協議の場に、柳澤さんが本書の中でも批判している軍事的・政治的リアリティに全く欠けた「15事例」というものが提示されたが(これらは全て個別的自衛権で解決可能−加藤朗さん)、その「事例7:他国領域における邦人救出」についてである。自衛隊の準隊内紙といえる本年2月12日付『朝雲』新聞においても、IS関連ではあるが、痛烈に“現実味の無さ”を指摘しているし(この「寸言」は、ネットの世界からソッコーで消えた!)、実際、前出の渡邊元陸将もその問題点を裏書きしている(pp.259-260)。自衛官であった防衛大臣の中谷元(元2等陸尉)や佐藤正久(元1等陸佐)などは、かつての部下やその家族等に何と説明(言い訳)するつもりなのであろうか…。いずれにしても、「現行憲法の下で自衛隊を活かす方向にこそ、現在の事態に対処する回答が存在する」(はしがき)のであり、そうした文脈で、例えば対テロ戦争との関連では、様々な紛争地を歩く中で着想した、加藤朗さんの提唱する民間のPKO部隊すなわち「憲法9条部隊」構想などを真剣に議論すべきだ。
最後に、今国会で審議されている集団的自衛権行使を包摂した平和安全法制整備法と国際平和支援法に関して、簡単に触れておきたい。それらの法案が、大多数の憲法学者や内閣法制局の元長官等が指摘するように、違憲性を帯びたものであることは言を俟たない。そもそも、「解釈壊憲」によるこれらの法案の下敷きとなっている本年4月27日に日米安全保障協議委員会(2+2)で合意された新「日米防衛協力のための指針」(以下「新ガイドライン」という)も、1960年1月に締結された「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(以下「安保条約」という)の内容を大きく逸脱している(条約違反)、ということを強調しておきたい。結論を先取りするならば、私個人としては“問題ありあり”で賛成しかねるのだが、スジ論としては「憲法改正、安保改定が先」となろう。以下の論脈は、私が常日頃から思っていることで、柳澤さんも本書の中で語っている事柄であるけれども(p.250)、全くその通りである。何よりもまず、日本政治における「グレーゾーン」を解決することが喫緊の課題なのは言うまでもない。
確かに、安保条約前文において、国連憲章第51条に基づいた個別的又は集団的自衛の権利を謳っている。しかし、第5条において「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とあるように、当たり前の話だが、それぞれの国(日米両国)の「憲法上の規定及び手続」に従うことが求められ、そして何より大事なポイントは、安保条約の発動(適用)範囲が「日本国の施政の下にある領域」と明確に示されていることだろう(所謂「極東」の問題は、条約第4条にあるごとく協議対象である)。「新ガイドライン」が建前上前提としている安保条約は、自衛隊のグローバルな展開を全く想定してはいないし、日本を防衛する米国との集団的自衛権行使(具体的には、日本を防護する米軍への兵站支援等)は「日本国の施政の下にある領域」に局限されている、と私は解釈しており、安保条約からそれ以上のことは読みとれないだろう。
2015年6月25日に日本でレビュー済み
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「非戦のブランド」を掲げて結成された、自衛隊を活かす会による本です。
3部構成で、それぞれの部のタイトルと実際の文章の中味が必ずしも一致するわけではないし、それぞれの論者で意見の相違がみられたり、TPPを単なる自由貿易交渉と楽観的にとらえた意見も見られます。小さな意見のばらつきから「統一感がない」と感じるかもしれません。でも大切なのは、いろんな意見を聞いて読者自身が考えることではないでしょうか。
私自身も最初は違和感を感じながら読んでいたんですが、読み進めるうちに「贅沢な本」と感じるようになりました。まるで有識者会議を覗かせてもらっているかのような感覚。安倍政権の、時代錯誤で短絡的な発想とは明らかに違います。
個人的には第3部での自衛隊OB諸氏の意見は非常に興味深く読みました。自衛隊トップにはこういう政治感覚やバランスが不可欠でしょう。
いろんな意見に触れるという意味でも非常に刺激のある本だと思います。
3部構成で、それぞれの部のタイトルと実際の文章の中味が必ずしも一致するわけではないし、それぞれの論者で意見の相違がみられたり、TPPを単なる自由貿易交渉と楽観的にとらえた意見も見られます。小さな意見のばらつきから「統一感がない」と感じるかもしれません。でも大切なのは、いろんな意見を聞いて読者自身が考えることではないでしょうか。
私自身も最初は違和感を感じながら読んでいたんですが、読み進めるうちに「贅沢な本」と感じるようになりました。まるで有識者会議を覗かせてもらっているかのような感覚。安倍政権の、時代錯誤で短絡的な発想とは明らかに違います。
個人的には第3部での自衛隊OB諸氏の意見は非常に興味深く読みました。自衛隊トップにはこういう政治感覚やバランスが不可欠でしょう。
いろんな意見に触れるという意味でも非常に刺激のある本だと思います。
2016年3月27日に日本でレビュー済み
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現行憲法下での自衛隊の可能性を探るという視点から書かれた本書は、日本の安全保障の方向性を分かり易く丁寧に説明しています。
集団的自衛権の行使に関する政府説明の15の事例についてどれだけリアリティがあるかという章では、政府説明の不備や欠陥、稚拙が理解できます。
また、本書を読んで一番疑問に感じたのは現政権はどこに向かおうとしているのかということです。
さらには、安全保障については、政治の覚悟、ひいては国民の覚悟を抜きにしては語れないということを知る機会になりました。
安全保障に関していろいろな意見や本が出ていますが、現在の自衛隊の可能性を探る視点というところが、安全保障への理解を深め易くしていると感じます。
集団的自衛権の行使に関する政府説明の15の事例についてどれだけリアリティがあるかという章では、政府説明の不備や欠陥、稚拙が理解できます。
また、本書を読んで一番疑問に感じたのは現政権はどこに向かおうとしているのかということです。
さらには、安全保障については、政治の覚悟、ひいては国民の覚悟を抜きにしては語れないということを知る機会になりました。
安全保障に関していろいろな意見や本が出ていますが、現在の自衛隊の可能性を探る視点というところが、安全保障への理解を深め易くしていると感じます。
2015年8月16日に日本でレビュー済み
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今、すったもんだしている「戦争法案」の「何が」「どう」問題なのか、そして、日本が目指すことのできる「戦争法案」の対極の方向性を、鮮やかに示してくれている、日本人必読の本です。「法案賛成者」にも是非とも呼んでもらいたい。
2016年4月24日に日本でレビュー済み
「自衛隊を活かす会」なるものは、その名の通り、日本帝国主義の軍事力である自衛隊を肯定し、それを「活用」することをうたっている。
それだけならこれまでさんざん自民党をはじめ右翼がやってきたことであるが、この連中の悪質さは、この連中が「平和憲法」を守るかのように主張し、護憲の立場と「自衛隊を活かす」立場が両立するかのようなデマゴギーに訴えるところにある。
この連中の真の目的は、自衛隊合憲論を広め、帝国主義軍隊・帝国主義戦争への「絶対反対」の立場を解体することにより、将来の改憲や侵略戦争に有利な環境を作り出すことなのである。
騙されてはいけない。自衛隊に対しては、あくまで「絶対反対」の立場を貫くしかないのである。そして「自衛隊を活かす会」のような連中は徹底的に粉砕し、せん滅しつくすことが求められている。
それだけならこれまでさんざん自民党をはじめ右翼がやってきたことであるが、この連中の悪質さは、この連中が「平和憲法」を守るかのように主張し、護憲の立場と「自衛隊を活かす」立場が両立するかのようなデマゴギーに訴えるところにある。
この連中の真の目的は、自衛隊合憲論を広め、帝国主義軍隊・帝国主義戦争への「絶対反対」の立場を解体することにより、将来の改憲や侵略戦争に有利な環境を作り出すことなのである。
騙されてはいけない。自衛隊に対しては、あくまで「絶対反対」の立場を貫くしかないのである。そして「自衛隊を活かす会」のような連中は徹底的に粉砕し、せん滅しつくすことが求められている。
2016年3月11日に日本でレビュー済み
2015年、自衛隊を活かす会による編著書です。
自衛隊を活かす会とは、現行憲法の下で自衛隊の可能性を探り、
活かしていくための提言をを行うことを目的にした会です。
柳澤協ニ氏が代表、伊勢崎賢治氏、加藤朗氏が呼びかけ人を務めています。
本書は、【第一部】 「専守防衛」と「安全保障」の本質を考える、
【第二部】 対テロ戦争で日本と自衛隊が求められる役割
【第三部】 集団的自衛権のリアリティ――防衛のプロが見た15の事例。。。の3つのテーマを扱い、
計16本の論考が収められています。
中でも、小原凡司氏「中国の対日政策と『平時の自衛権』問題」、
伊勢崎賢治氏「対テロ戦争での非武装自衛隊の役割」の2本は、非常にいい内容です。
林吉永氏「航空自衛隊から見た15事例」も、勉強になります。
武装漁民が尖閣に上陸した場合、最初に行くのは? ISAFとOEFの違いは?
この辺が分からない人は、読んでおいた方がいいでしょう。
尖閣を考えるには、「White vs. White」(小原氏、P120)、
「バッファー」(林氏、P268)というのは、最低限押さえておきたいところです。
そのうえで、自衛隊が動くだろうか? 動いたら、日本はどうなるだろう?、
米海兵隊が動くだろうか? 動いたら、米国はどうなるだろう?、
中国は武装漁民を送るだろうか? 送ったら、中国はどうなるだろう?と、
日米中それぞれの視点に立って、考えてみることをオススメします。
林氏の防空識別圏の問題点、宮坂直史氏の「国際テロ対策と日本の役割」も勉強になります。
他の方も書かれていますが、ところどころで噛み合わない部分があります。(「☆-1」させてもらいました)
ただ、新書1冊で、この「質×量(幅広さ)」ですから、1冊手元に置いておいておきたい本です。
幅広く知るのに、他書との読み比べに、役立ちます。
自衛隊を活かす会とは、現行憲法の下で自衛隊の可能性を探り、
活かしていくための提言をを行うことを目的にした会です。
柳澤協ニ氏が代表、伊勢崎賢治氏、加藤朗氏が呼びかけ人を務めています。
本書は、【第一部】 「専守防衛」と「安全保障」の本質を考える、
【第二部】 対テロ戦争で日本と自衛隊が求められる役割
【第三部】 集団的自衛権のリアリティ――防衛のプロが見た15の事例。。。の3つのテーマを扱い、
計16本の論考が収められています。
中でも、小原凡司氏「中国の対日政策と『平時の自衛権』問題」、
伊勢崎賢治氏「対テロ戦争での非武装自衛隊の役割」の2本は、非常にいい内容です。
林吉永氏「航空自衛隊から見た15事例」も、勉強になります。
武装漁民が尖閣に上陸した場合、最初に行くのは? ISAFとOEFの違いは?
この辺が分からない人は、読んでおいた方がいいでしょう。
尖閣を考えるには、「White vs. White」(小原氏、P120)、
「バッファー」(林氏、P268)というのは、最低限押さえておきたいところです。
そのうえで、自衛隊が動くだろうか? 動いたら、日本はどうなるだろう?、
米海兵隊が動くだろうか? 動いたら、米国はどうなるだろう?、
中国は武装漁民を送るだろうか? 送ったら、中国はどうなるだろう?と、
日米中それぞれの視点に立って、考えてみることをオススメします。
林氏の防空識別圏の問題点、宮坂直史氏の「国際テロ対策と日本の役割」も勉強になります。
他の方も書かれていますが、ところどころで噛み合わない部分があります。(「☆-1」させてもらいました)
ただ、新書1冊で、この「質×量(幅広さ)」ですから、1冊手元に置いておいておきたい本です。
幅広く知るのに、他書との読み比べに、役立ちます。