最初に漢字がヨーロッパで受ける訳を説明している。
日本において、書道ブームが衰えないのは、教育的には、筆をしっかり持つこと、
心を安らかにすること、一つの概念に対して真摯に向き合うこと。
これだけでも十分だと思っています。
内容には、三筆(空海、蘇我天皇、橘逸勢)と三跡(小野東風、藤原佐理、藤原行成)
との間にある歴史的空白に着目したり、歴史好きの方にはたまらないものがあるかもしれない。
実際の書の写真もあるので、書家の方にも参考になると思われる。
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「書」と漢字 (講談社学術文庫) 文庫 – 2010/11/11
魚住 和晃
(著)
聖徳太子、光明皇后、空海、小野道風……名筆は、いかにして生まれたか!?
日本書道史上の逸品中の逸品の謎を、精緻に解き明かした力作。
「三経義疏」は聖徳太子の自筆か。正倉院に蔵された書のなりたちとは。空海の最高傑作「風信帖」の理念。天才児・小野道風の感性――漢字が日本に伝わり機能しはじめる飛鳥時代から、本格的に和様が完成される平安中期まで、書法にこめられた造形性とはどのようなものだったか。書道史上に残る逸品を解析しつつ、書と漢字の受容と展開をあとづける。
本書はそのような新しい学問の傾向に感化を受けながら、大陸から日本に漢字が伝えられ、それを日本がどのように受け入れ、さらに日本人の感性に適合させていったかということを、とくに造形の面に視点を置いて述べたものである。
漢字のもつ基本的な造形に、毛筆を通じた豊かな表現性が加わり、書の歴史は形成されていった。漢字がなければ書は生まれなかったし、毛筆がなくても書にはならなかっただろう。もとより日本がなくては、和様の書法は生まれるべくもなかったことをあえて述べて、これから本論に入ることにしよう。――<本書「序章」より>
日本書道史上の逸品中の逸品の謎を、精緻に解き明かした力作。
「三経義疏」は聖徳太子の自筆か。正倉院に蔵された書のなりたちとは。空海の最高傑作「風信帖」の理念。天才児・小野道風の感性――漢字が日本に伝わり機能しはじめる飛鳥時代から、本格的に和様が完成される平安中期まで、書法にこめられた造形性とはどのようなものだったか。書道史上に残る逸品を解析しつつ、書と漢字の受容と展開をあとづける。
本書はそのような新しい学問の傾向に感化を受けながら、大陸から日本に漢字が伝えられ、それを日本がどのように受け入れ、さらに日本人の感性に適合させていったかということを、とくに造形の面に視点を置いて述べたものである。
漢字のもつ基本的な造形に、毛筆を通じた豊かな表現性が加わり、書の歴史は形成されていった。漢字がなければ書は生まれなかったし、毛筆がなくても書にはならなかっただろう。もとより日本がなくては、和様の書法は生まれるべくもなかったことをあえて述べて、これから本論に入ることにしよう。――<本書「序章」より>
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/11/11
- ISBN-104062920239
- ISBN-13978-4062920230
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/11/11)
- 発売日 : 2010/11/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 296ページ
- ISBN-10 : 4062920239
- ISBN-13 : 978-4062920230
- Amazon 売れ筋ランキング: - 907,206位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2011年9月15日に日本でレビュー済み
日本書道史上の逸品に関する謎や問題点、トピックスを、中国書道史や日本の受容史を踏まえて、解明しています。いくつか興味深く感じたことを紹介します。
・聖徳太子自筆とされる『法華経義疏』は、筆跡からすれば本文と補訂部文は別筆であり、そもそも1人の書写ではなく、また、中国語を「漢語」、サンスクリットを「外国」と読んでいるところから、作者は中国人だと思われる。
・聖武天皇と光明皇后の書には、ちょ遂良の影響が認められる。
・空海から最澄に送られた「風信帖」は二人の交友ぶりを表すものだといわれているが、「表現は慇懃であるが、その裏面では、二人の間に生じた確執がうごめいているのである」(169頁)
・正倉院に収蔵されていた王羲之の書が平安時代にすべて売り出されてしまった。これは財政逼迫のためというのではなく、文化的需要、文化政策という積極的な理由のためではないかと考える(260頁)。
・小野道風は天才的な書家であるが、その和様は、中国においては評価されなかったと思われる(267頁)。また、彼は相当口が悪かったようである(269頁)。
なお、レビューの中に、同じ著者による講談社メチエに対するものが混同されているので、対処してほしいと思います。
・聖徳太子自筆とされる『法華経義疏』は、筆跡からすれば本文と補訂部文は別筆であり、そもそも1人の書写ではなく、また、中国語を「漢語」、サンスクリットを「外国」と読んでいるところから、作者は中国人だと思われる。
・聖武天皇と光明皇后の書には、ちょ遂良の影響が認められる。
・空海から最澄に送られた「風信帖」は二人の交友ぶりを表すものだといわれているが、「表現は慇懃であるが、その裏面では、二人の間に生じた確執がうごめいているのである」(169頁)
・正倉院に収蔵されていた王羲之の書が平安時代にすべて売り出されてしまった。これは財政逼迫のためというのではなく、文化的需要、文化政策という積極的な理由のためではないかと考える(260頁)。
・小野道風は天才的な書家であるが、その和様は、中国においては評価されなかったと思われる(267頁)。また、彼は相当口が悪かったようである(269頁)。
なお、レビューの中に、同じ著者による講談社メチエに対するものが混同されているので、対処してほしいと思います。
2013年2月8日に日本でレビュー済み
学者にして、書家でもある魚住が、日本の書に関わる、通説に大胆に挑戦した。
聖徳太子が書いたといわれる、三経義流は、日本人には書けない書体だった。空海の風信帖は、王羲之の書法をもとに書かれており、一部で言われている、顔真卿の影響はなかった、など。
1つ1つ、説得力のある根拠を上げながら、従来の通説を打ち破っていく。読みながら、心地よい爽快感を感じる。
それにしても、この本を読んで、日本においても、王羲之の影響力は、圧倒的なものがあったのだと、改めて思い知らされた。
聖徳太子が書いたといわれる、三経義流は、日本人には書けない書体だった。空海の風信帖は、王羲之の書法をもとに書かれており、一部で言われている、顔真卿の影響はなかった、など。
1つ1つ、説得力のある根拠を上げながら、従来の通説を打ち破っていく。読みながら、心地よい爽快感を感じる。
それにしても、この本を読んで、日本においても、王羲之の影響力は、圧倒的なものがあったのだと、改めて思い知らされた。