内容は、半分が著者の個人的な菓子観、半分が「お菓子の歴史」といったところです。マドレーヌ、バームクーヘン、近代以前の甘いものなどにも言及しているところから、「ケーキ」というより、「お菓子」または「洋菓子」の歴史と言ったほうが正確です。
印象に残ったのは、京都の「亀屋清水」で、飛鳥時代の唐菓子の面影を残すお菓子が今でも食べられるとか（６６ページ）、「緑寿庵清水」の金平糖は今でも伝統的製法で作られているとか（７５ページ）、そういった情報です。また、「ユーハイム」「モロゾフ」の創設者たちの苦労話は感慨深かったです（８５〜８９ページ）。今までは日本人の創設者が「外国っぽい名前」「ちょっとした所縁のある名前」としてこれらを選んだだけだと思っていましたが、極東で菓子作りの腕一本で勝負した移民の方々だったんだなあと初めて知りました。駅ナカやデパ地下であまりにも見かけるので「お約束」ともおもえるようなブランドですが、これからはひと味違った印象で見る事になると思いました。
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