タイトルを見たときに，「広告と科学？どうつながっているの？」と思ってしまいましたが，広告というものが非常に精密に設計されているということを初めて知りました．確かに科学です．
本書ではマーケティングの基本概念から始まり，経営判断と絡めてどのように広告というものが作られていくのかという事が説明されています．顧客の嗜好や市場の動向を分析し，自社商品をどのような位置付けに持ってくるか，そしてどのようなターゲット層に売り込んでいくかというのがいわゆるマーケティングの仕事ですが，広告にもマーケティング戦略があり，ターゲット層にメッセージをどのような表現でどのような媒体を用いて届けるのかという広告のコミュニケーション戦略がその次に展開されることになります．普段何気なく見ている新聞や雑誌，テレビなどの広告ですが，これらが極めて綿密な分析と戦略に基づいて作られているということに驚きました．
本書は1973年出版ですので，技術的手法はますます発展していることと思いますが，広告作りというのが如何に大変な作業かというのがよく分かります．最後は若干我田引水的な感じがしますが，広告は総マーケティング費用を低減し，消費者にも利益をもたらすものなので，政府が政策的な縛りを入れることは望ましくないと締めくくっています．
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