最近、生活保護の問題がメディアによく取り沙汰されているので、自分でちゃんと知識を得たいと考えていました。日経新聞の書籍案内に紹介されていたので、さっそく読んでみました。
メディアでは、端的に生活保護費の不正受給などを問題にしているが、実は問題が単純ではなく貧困を生み出す日本の社会の仕組みに問題があることが、この本を読みよく理解できました。
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ルポ生活保護: 貧困をなくす新たな取り組み (中公新書 2070) 新書 – 2010/8/1
本田 良一
(著)
- ISBN-104121020707
- ISBN-13978-4121020703
- 出版社中央公論新社
- 発売日2010/8/1
- 言語日本語
- 本の長さ244ページ
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2010/8/1)
- 発売日 : 2010/8/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 244ページ
- ISBN-10 : 4121020707
- ISBN-13 : 978-4121020703
- Amazon 売れ筋ランキング: - 894,754位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,972位中公新書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年5月10日に日本でレビュー済み
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2022年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
北海道でも生活保護の割合が高い釧路市を例にして、生活保護制度の歴史と問題点を浮き彫りにする。
生活保護は病気や事故で働けなくなった人たちが生きていく為のいわば「最後のセーフテーィーネット」としての役割を得て創設された。
しかし、必ずしも求める人に求める給付がされているわけではないようだ。
そもそも給付の原資は「税金」である。問題なく働けて、税金も納めている多くの人の血税を給付しようと言うのだから「ある程度の制限」は認めなければならない。けれど、その制限が厳しかったり役所の担当者が杓子定規な対応をして給付申請者を追い払ったりしてしてしまった結果、困窮者が餓死したり孤独死するなどする事件が社会的に問題となった。
他にも受給家庭は高齢者と同じ位「母子家庭」の割合が高い。日本は夫婦が離婚すると間の子供を全て母親が引き取るケースが高く、その場合も別れた夫からは養育費などの支払いを受けられず一気に困窮する可能性が高い。
離婚の原因が「夫の暴力」や「夫の浮気」等の夫側に起因するケースが多かったりすると、養育費もまともに支払わないような男が多い。勿論、そんな男を選んで結婚した女性側にも責任はあるものの、子供たちには責任はない。
けれど、貧困家庭で育った子供たちは塾もまともに通うことなどできず、成績が低下して学歴が低い場合が多い。親も低学歴だと安定した仕事に就けず、そのまま若くして結婚して子供を持って離婚するとまた生活保護を受けなければならなくなるという所謂「貧困が世代を超えて連鎖している」ということがデータでもハッキリと現れている。
また制度自体も国が主体になるのか、地方が主体になるのか曖昧な部分が多く、地方と国が負担する金額を巡って争ったり責任を押し付け合ったりした経緯もあって足並みが揃っていない。
そこにバブル崩壊以降の「失われた30年間」に代表されるような日本経済の沈没が各世帯の収入を減少させ、受給者が増加すると言う二重三重の負のスパイラルに嵌り込んでしまっているようだ。
高齢者は安定した仕事に就いて多額の収入を得ることがそもそも年齢的に難しい。対策としては精神的な安定や病気の回復への支援などの「将来の医療費を削減が期待出来るような間接的な対策」が主になる。
母子家庭は「学歴を高める」ことで安定的な仕事に就ける可能性を増やすことが未来を切り開く力を子供に与えると言う意味では重要だが、行政側も専門的な人員の確保に苦慮しているようだ。
また「生活保護」自体を受けることが恥だと言う認識は多くの人に蔓延しており、実際に必要な人が制度を知らなかったりする場合も多いが、行政側としても給付の原資が「税金」である以上は「積極的な宣伝で給付を促すこと」がそもそも憚られるという事情もあるようだ。
解決法のひとつとしては「日本経済の立ち直りによる企業の賃金上昇」が特効薬になる部分も有るが、それは今後の少子高齢化の進む日本社会では期待が薄い。
逆に今後は更に給付世帯が増加することで制度自体の存続も危機を迎える可能性がある。
受給せずに済むなら勿論良いのだが、危ない時は迷わず受けるべき制度だろう。
義務教育の段階で「手続きの仕方」を子供たちに教えたほうが良いのではないだろうか?
学校が「社会に出て役立つ知識を教える場」としての機能を果たしていない可能性もある。
生活保護は病気や事故で働けなくなった人たちが生きていく為のいわば「最後のセーフテーィーネット」としての役割を得て創設された。
しかし、必ずしも求める人に求める給付がされているわけではないようだ。
そもそも給付の原資は「税金」である。問題なく働けて、税金も納めている多くの人の血税を給付しようと言うのだから「ある程度の制限」は認めなければならない。けれど、その制限が厳しかったり役所の担当者が杓子定規な対応をして給付申請者を追い払ったりしてしてしまった結果、困窮者が餓死したり孤独死するなどする事件が社会的に問題となった。
他にも受給家庭は高齢者と同じ位「母子家庭」の割合が高い。日本は夫婦が離婚すると間の子供を全て母親が引き取るケースが高く、その場合も別れた夫からは養育費などの支払いを受けられず一気に困窮する可能性が高い。
離婚の原因が「夫の暴力」や「夫の浮気」等の夫側に起因するケースが多かったりすると、養育費もまともに支払わないような男が多い。勿論、そんな男を選んで結婚した女性側にも責任はあるものの、子供たちには責任はない。
けれど、貧困家庭で育った子供たちは塾もまともに通うことなどできず、成績が低下して学歴が低い場合が多い。親も低学歴だと安定した仕事に就けず、そのまま若くして結婚して子供を持って離婚するとまた生活保護を受けなければならなくなるという所謂「貧困が世代を超えて連鎖している」ということがデータでもハッキリと現れている。
また制度自体も国が主体になるのか、地方が主体になるのか曖昧な部分が多く、地方と国が負担する金額を巡って争ったり責任を押し付け合ったりした経緯もあって足並みが揃っていない。
そこにバブル崩壊以降の「失われた30年間」に代表されるような日本経済の沈没が各世帯の収入を減少させ、受給者が増加すると言う二重三重の負のスパイラルに嵌り込んでしまっているようだ。
高齢者は安定した仕事に就いて多額の収入を得ることがそもそも年齢的に難しい。対策としては精神的な安定や病気の回復への支援などの「将来の医療費を削減が期待出来るような間接的な対策」が主になる。
母子家庭は「学歴を高める」ことで安定的な仕事に就ける可能性を増やすことが未来を切り開く力を子供に与えると言う意味では重要だが、行政側も専門的な人員の確保に苦慮しているようだ。
また「生活保護」自体を受けることが恥だと言う認識は多くの人に蔓延しており、実際に必要な人が制度を知らなかったりする場合も多いが、行政側としても給付の原資が「税金」である以上は「積極的な宣伝で給付を促すこと」がそもそも憚られるという事情もあるようだ。
解決法のひとつとしては「日本経済の立ち直りによる企業の賃金上昇」が特効薬になる部分も有るが、それは今後の少子高齢化の進む日本社会では期待が薄い。
逆に今後は更に給付世帯が増加することで制度自体の存続も危機を迎える可能性がある。
受給せずに済むなら勿論良いのだが、危ない時は迷わず受けるべき制度だろう。
義務教育の段階で「手続きの仕方」を子供たちに教えたほうが良いのではないだろうか?
学校が「社会に出て役立つ知識を教える場」としての機能を果たしていない可能性もある。
2011年1月21日に日本でレビュー済み
著者の本田良一氏は、北海道新聞の編集委員であり、この分野でもよい成果を上げている釧路の支社の方です。
以下、読んでいて心にとまったこと、教えられたこと。
* 貧困はその人の責任、というのが、そもそも間違った見方である。
* 貧困は連鎖してしまうのでなおさらたちが悪い。
* 生活保護はセーフティーネットとしての役割が非常に大きく、まさに最後の砦という感じである。
* 自立支援が最終的な目標であり、そこには経済だけではなく、人生そのものの立て直しが求められることも少なくない。
* 行政が担う部分と民間(というかNPOなど)が担う部分との上手な整理が必要。
* 保護という目的について、公平さを求めようとすると、とたんに動きが悪くなる。保護は元来不公平なもののようだ。
* 連鎖を断ち切るための教育支援がもっとさかんになっていく必要がありそう。
* 精神的なサポートが社会全体から感じられるようになれば、一番良いのだろうと思う。
掲げている理念も、厳しい現実も、両方ありのままに記されていて、読んでとても勉強になりました。
人を援助する立場の方々の入門書としてはとてもいい本です。
以下、読んでいて心にとまったこと、教えられたこと。
* 貧困はその人の責任、というのが、そもそも間違った見方である。
* 貧困は連鎖してしまうのでなおさらたちが悪い。
* 生活保護はセーフティーネットとしての役割が非常に大きく、まさに最後の砦という感じである。
* 自立支援が最終的な目標であり、そこには経済だけではなく、人生そのものの立て直しが求められることも少なくない。
* 行政が担う部分と民間(というかNPOなど)が担う部分との上手な整理が必要。
* 保護という目的について、公平さを求めようとすると、とたんに動きが悪くなる。保護は元来不公平なもののようだ。
* 連鎖を断ち切るための教育支援がもっとさかんになっていく必要がありそう。
* 精神的なサポートが社会全体から感じられるようになれば、一番良いのだろうと思う。
掲げている理念も、厳しい現実も、両方ありのままに記されていて、読んでとても勉強になりました。
人を援助する立場の方々の入門書としてはとてもいい本です。
2010年12月31日に日本でレビュー済み
生活保護は、困窮している人を支援するセーフティネットとしての重要な制度であることは言うまでもありません。しかし、最近は、(a) 受給者が増えて自治体財政を圧迫していること、(b)「貧困ビジネス」のように貧困者を利用してカネ儲けする業者が増えていること、(c) ワーキング・プアよりよい生活ができる場合もありモラル・ハザードを引きおこしかねない面もあること、など負の側面も多く指摘されています。
本書は、主に生活保護のプラス面を記述し、マイナス面は(上記のcについては少し記述していますが)ほとんど記述していません。
私は、本書を読んで、次のように感じました。
(1) 制度についてきちんと解説しており、また、釧路市の自立支援プログラム(第6章、約50ページ)などはたいへん興味深い内容であり、生活保護の重要性を再認識できた。
(2) しかし、「ルポ」という割には、あまりにも生活保護で立ち直りつつあるケースばかりで、不正を行う人への取材や行政への取材が不足しているとも思える。
(3) 私は、生活保護制度などセーフティ・ネットは極めて重要と思っているだけに、「どうすればモラル・ハザードや不正を防ぎつつ、しかも自治体財政が破綻しないように運営できるか」についてヒントを得たいと思って本書を読んだが、そのような面での答えはほとんど得られなかった。
生活保護制度の重要性を認識できる有益な本とは思いますが、上記のような物足りなさもある本と思います。
本書は、主に生活保護のプラス面を記述し、マイナス面は(上記のcについては少し記述していますが)ほとんど記述していません。
私は、本書を読んで、次のように感じました。
(1) 制度についてきちんと解説しており、また、釧路市の自立支援プログラム(第6章、約50ページ)などはたいへん興味深い内容であり、生活保護の重要性を再認識できた。
(2) しかし、「ルポ」という割には、あまりにも生活保護で立ち直りつつあるケースばかりで、不正を行う人への取材や行政への取材が不足しているとも思える。
(3) 私は、生活保護制度などセーフティ・ネットは極めて重要と思っているだけに、「どうすればモラル・ハザードや不正を防ぎつつ、しかも自治体財政が破綻しないように運営できるか」についてヒントを得たいと思って本書を読んだが、そのような面での答えはほとんど得られなかった。
生活保護制度の重要性を認識できる有益な本とは思いますが、上記のような物足りなさもある本と思います。
2014年4月27日に日本でレビュー済み
TVタックルやクローズアップ現代で取り上げられてたけど自分も怪我や病気になったらどうなっちゃんだろうだろうと考えちゃいます。
TVでは本当に必要な人に行き渡らずに不正受給が蔓延してたり貰ったら貰ったででパチンコや酒に行ったり最低賃金より上だったり色々と矛盾が表面化して来ています。
どうすれば少しでも減らす事が出来るのか今後の動向を静かに見守って行く予定です。
TVでは本当に必要な人に行き渡らずに不正受給が蔓延してたり貰ったら貰ったででパチンコや酒に行ったり最低賃金より上だったり色々と矛盾が表面化して来ています。
どうすれば少しでも減らす事が出来るのか今後の動向を静かに見守って行く予定です。
2014年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
偏った意見が大半で、参考にはなりましたが、
期待はずれでした!
期待はずれでした!
2010年8月31日に日本でレビュー済み
生活保護というと何となく社会のお荷物の様なイメージで捉えられがちだが、
本書では生活保護という制度が貧困から抜け出して自立するための重要なステップになっている事を、何人かの受給者を例に出して解説している。
生活保護受給者の過半数が三年未満で生活保護から抜けて自立しているという調査結果がこれを裏付けている。
だが日本では貧困世帯の13.5%しか生活保護を受けられていない。(ドイツやイギリスでは70−80%以上)
今や貧困層の割合が先進国中2番目に多くなってしまった日本において、
生活保護受給者よりも厳しい生活を強いられているワーキングプア層の増加や不正受給問題などが、受給者への風当たりを厳しいものにしている。
だが生活保護を含めたセーフティーネットの充実が単なる「社会の負担」ではなく、日本が貧困大国から抜け出すための重要な「投資」であるという認識の変化を本書はもたらしてくれる。
本書では生活保護という制度が貧困から抜け出して自立するための重要なステップになっている事を、何人かの受給者を例に出して解説している。
生活保護受給者の過半数が三年未満で生活保護から抜けて自立しているという調査結果がこれを裏付けている。
だが日本では貧困世帯の13.5%しか生活保護を受けられていない。(ドイツやイギリスでは70−80%以上)
今や貧困層の割合が先進国中2番目に多くなってしまった日本において、
生活保護受給者よりも厳しい生活を強いられているワーキングプア層の増加や不正受給問題などが、受給者への風当たりを厳しいものにしている。
だが生活保護を含めたセーフティーネットの充実が単なる「社会の負担」ではなく、日本が貧困大国から抜け出すための重要な「投資」であるという認識の変化を本書はもたらしてくれる。
2010年11月16日に日本でレビュー済み
プラス面が強調され、マイナスは無視されている。
評者は多くの生活保護受給者を診てきたが、本当に良かったなぁと思えるのはほんの一握りでしかない。
多くは本人自身の責任、意欲の不足と思えるものだった。
病気を訴えるものは多いが、多くは自覚症状のみか、本人の怠惰や無責任によるものである。
あまりに同情的な論議が多いので著者の略歴を見て納得した。
さもありなんと思われる立場からの一方的見解である。
評者の立場も一方的な見方かもしれないが、こういう面もあるということは紹介すべきであろう。
評者は多くの生活保護受給者を診てきたが、本当に良かったなぁと思えるのはほんの一握りでしかない。
多くは本人自身の責任、意欲の不足と思えるものだった。
病気を訴えるものは多いが、多くは自覚症状のみか、本人の怠惰や無責任によるものである。
あまりに同情的な論議が多いので著者の略歴を見て納得した。
さもありなんと思われる立場からの一方的見解である。
評者の立場も一方的な見方かもしれないが、こういう面もあるということは紹介すべきであろう。