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戦後フランス政治の実験: 第四共和制と組織政党1944-1952年 単行本 – 2002/3/1

4.0 5つ星のうち4.0 1個の評価

商品の説明

出版社からのコメント

フランス第四共和制が終焉をむかえたのはなぜか フランス第四共和制は,国土解放後の政治的革新への希望と情熱を担って生まれた.議会体制の革新を図ろうとした第四共和制こそがその終焉を導いたのはなぜなのか.議会連合政治と「組織政党」の党内過程の交錯を明らかにし,第四共和制の政治構造を描き出す.
〈主要目次〉
はじめに
序章 対象と分析視角
第一章 「三党体制」――「組織政党」構想の実現と中絶
第二章 「組織された第三勢力」運動――「組織政党」構想の再生
第三章 「第三勢力」後期――院内への撤退と寡頭支配の成立

内容(「MARC」データベースより)

中北欧諸国をモデルに造型され、フランスにおいて初めて「組織政党」が議会内外の主軸となった第四共和制。それを拠点としてヨーロッパ比較政治史における仏の位置付け、また仏政治史における第四共和制の位置付けを試みる。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 東京大学出版会 (2002/3/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2002/3/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 380ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4130362089
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4130362085
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 1個の評価

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中山 洋平
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上位レビュー、対象国: 日本

2011年6月29日に日本でレビュー済み
 フランスは民主政治の先進国でありながら、政党政治の実態は意外にお粗末で、明確な組織も党規律もなく、自らの政治的利害で離散集合をくり返す議員たちが、世論から乖離した政治のかけひきを行っている、それが第三共和制期の議会政治の常態であった。戦間期にはこれが高じて議会多数派の形成ができずに、長期間にわたる政治の混乱を引き起こし、第2次世界大戦でフランスがナチス・ドイツに破れた原因の一つだと考えられている。

 戦後新たな憲法の下に第四共和制が始まる。戦前の反省から政治の刷新が求められ、特定のイデオロギーや世界観の下に動員される大衆組織を持ち、規律ある党運営がなされる中北欧のような「組織政党」の形成が志向された。
 ところがこの第四共和制は発足後数年を経ずして機能不全におちいる。内閣は第三共和政期以上に不安定で、連立政権与党が不明朗な妥協を重ねて、国民世論から遊離し、議会政治に対する不審は頂点を極めた。結局ド・ゴールが大統領の権限を強化した第五共和制に作り変え、ようやく政治の安定を見るにいたる。今日ではいたずらに政治を混乱させただけのように思われている第四共和制の「政治の実験」とはいったいなんだったのか。それが本書の主題である。

 この時期、意識的に党改革を志向したのは、SFIO(社会党)とMRP(人民協和運動。キリスト教民主主義に基づく)の2党。公文書や、同党の議事録などの資料から、両党の党首脳部や各地方支部のミリタン(運動家)の政治行動を細かくたどりながら、「組織政党」志向が政治アクターの利害の中で崩壊していく過程を丹念に読み解く。

 失敗の原因を一言でいえば、政治的意思決定プロセスの根本的な矛盾という他はないだろう。党指導部は連立政権を維持するために、党規律を厳格にしてミリタンたちを押さえ込もうとする。ミリタンたちはそれぞれ自分の属する階層階級の利害を反映させるために指導部を突き上げる。議員団は議員団で政治のフリーハンドを求める。各者各様の思いが交錯して、いつまでたっても合意形成にいたらない。政治的妥協は遺恨を残し、結局は組織解体の触媒として作用してしまう。
 はたして政党とは議会のサブ組織であり、個人個人の政治的意見を集約していく場であるのか、それとも政治闘争の勝利を目的として団結した集団であり、規律ある大衆動員マシーンであるべきなのか、だれもがジレンマに悩むところである(本書ではまったく触れられていないが、「民主集中制」を徹底させている共産党を比較対象として考えるのも、それがともすれば全体主義への道に通じてしまう可能性があるゆえに、興味深いだろう)。

 本書は第四共和制の前期のみを考察の対象としていて、「組織政党」が第五共和制でどのように変化したかについては触れられていない。第五共和制は、政治指導者が議会や党組織を飛び越え直接国民に語りかけるポピュリズム的なド・ゴールのスタイルに基づくものとして、否定的に評価されているためであると思われるが、現代フランス政治の実情認識に繋げるためにも、また同じようなポピュリスト傾向が強まっている日本における政党のあり方を考える上でも、第五共和制における政党の変化を考えることは重要ではないだろうか。この不満ゆえ減点1にさせてもらった。

 2002年渋沢・クローデル賞受賞の力作である。
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