近代になり、為政者に発明され、為政者自身すら虜にした「創られた伝統」が本書のテーマです。
明治以前において、民衆の抱く天皇像は国家共同体のシンボルではなく、
リアリティをもって知られている存在ではありませんでした。
また江戸時代では、民衆に地域を超えた国民としての一体感はなかったため、
明治維新後、近代国家である大日本帝国をつくりあげるうえで、
日本史上初めてとなる「大日本帝国民」を創造する必要がありました。
つまり、国家の領域に住む人々を、均質で、地域差がなく、差異を隠ぺいし、
共通の歴史を持つ、大日本帝国という国家を共有する日本国民を作りだす必要があったわけです。
そこで、明治政府は天皇を国家の表象として利用していきました。
国家の表象である天皇から見られる体験を通じて、民衆が日本国民としての自己を形成するべく、
明治政府による国家儀礼の実施、国民に共通の国家的記憶、記憶の場を創造、公式フォークロアのおしつけなど、
大日本帝国民としての共有歴史・自己の獲得をすべくさまざまな施策が実施されました。
たとえば、貨幣、切手、銅像、モニュメント、儀式、祭祀、歴史、新聞、民具、規範、天皇のページェント等
○感想
明治維新後、日本が近代化し、近代国家として成立していく過程において
天皇をめぐる言説の変化、天皇という表象がいかに語られ、
天皇−民衆−国家の物語がいかに変化してきたのか、
そしてその物語の政治的創作性について、おもに国家儀礼という観点からわかりやすく論じられています。
一方で、物語の語りがおもに国内の統治というテーマに焦点を絞っている感もあります。
明治維新の経緯からして、当時の日本にとって外交は非常に重要な関心事であったはずです。
西欧諸国との儀礼競争など若干ふれられている部分もありますが、
西欧と民衆、西欧国家と日本・天皇の物語などがいかに語られていたのか、
ということも触れられているとなおよかったのに、と思ってしまいました。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,100¥1,100 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥1,100¥1,100 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥137¥137 税込
配送料 ¥240 6月1日-3日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】 販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
¥137¥137 税込
配送料 ¥240 6月1日-3日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
天皇のページェント 近代日本の歴史民族誌から (NHKブックス) 単行本(ソフトカバー) – 1994/11/1
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,100","priceAmount":1100.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,100","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"gYkE4dSmmvhT7clji0%2BOFOZOK%2BjW3Kmfzfb4atg%2FDcxpa8meiBnZADpXaD5qNSMwxP%2FOVdmFlzNP3%2BF8kH0c2%2FkyDVgBGZgkwiFquNekrGpHqOdGuY3wRVh9pEchcsWc","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥137","priceAmount":137.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"137","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"gYkE4dSmmvhT7clji0%2BOFOZOK%2BjW3KmfpckJY9oJ3ZScmGq60q3Ym8hR%2FS5CV33xVDobFAoFqKLf4syQHihWnT52Kh%2FbVJMglh15VwLMxviVP7bvLJExbT%2BGvfDzqiWdvQDKoWv98efWtubg4%2BBRoF8AAsfmRvqT0nPVbZGF1h3zIledHxJ%2F8g%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日1994/11/1
- ISBN-104140017198
- ISBN-13978-4140017197
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 天皇のページェント 近代日本の歴史民族誌から (NHKブックス)
¥1,100¥1,100
最短で5月31日 金曜日のお届け予定です
残り5点(入荷予定あり)
¥1,166¥1,166
最短で5月31日 金曜日のお届け予定です
残り3点(入荷予定あり)
¥1,496¥1,496
最短で5月31日 金曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
「見えざる天皇」から「見える象徴天皇」へ。華麗な儀式に彩られた天皇の文化的意味は何か。日系米人研究者による、犀利な日本論であり日本の歴史的連続性を相対的な視点から捉えた卓抜な日本研究の書。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (1994/11/1)
- 発売日 : 1994/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 240ページ
- ISBN-10 : 4140017198
- ISBN-13 : 978-4140017197
- Amazon 売れ筋ランキング: - 554,909位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
14グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「天皇のペイジェント」。良い状態でした
内容も予想どうりでよかったです。
内容も予想どうりでよかったです。
2009年2月11日に日本でレビュー済み
著者は日系二世のアメリカ人で、日本近代史の研究者。
本書は、『Splendid Monarchy: Power and Pageantry in Modern Japan』(1996年)の翻訳。アメリカ版が出る前に日本語訳が出るという、不思議なことになっているが、これはアメリカでの出版準備中に、部分訳として日本版を出したため。一般読者向けに分かりやすい部分が選ばれており、取っつきやすい本となっている。
訳者の米山リサ氏はフジタニ氏の研究仲間。
「創られた伝統」やクリフォード・ギアツ、ベネディクト・アンダーソン、ゲルナーなどの流れを汲んだ、1980-90年代のナショナリズム論のひとつ。ノラの記憶の場、フーコーなども利用されている。明治期という時代を明治天皇を中心にとらえなおし、国民形成や中央集権化といった問題を論じている。
主たる切り口は3つ。明治天皇の全国巡幸、結婚式・銀婚式・葬儀などの儀式、明治天皇の視線である。巡幸と儀式は、天皇の存在を国民にアピールすることで国民化を促したというもの。大筋は納得できる。いまとなっては目新しさはないが。また、肝心の巡幸の部分が訳者によって割愛されてしまっているのが残念。
明治天皇の視線の議論は、ちょっと納得いかない。議論が詰め切れていないのではないか。
また、全体として違和感が残る。京都についての分析とか、巡幸を見た人々の感想とか、資料的には根拠があるのだろうが、議論の中にこのように位置づけてしまって問題ないのか。
とはいえ、日本近代への入門書としては充分に価値のある一冊と思う。
本書は、『Splendid Monarchy: Power and Pageantry in Modern Japan』(1996年)の翻訳。アメリカ版が出る前に日本語訳が出るという、不思議なことになっているが、これはアメリカでの出版準備中に、部分訳として日本版を出したため。一般読者向けに分かりやすい部分が選ばれており、取っつきやすい本となっている。
訳者の米山リサ氏はフジタニ氏の研究仲間。
「創られた伝統」やクリフォード・ギアツ、ベネディクト・アンダーソン、ゲルナーなどの流れを汲んだ、1980-90年代のナショナリズム論のひとつ。ノラの記憶の場、フーコーなども利用されている。明治期という時代を明治天皇を中心にとらえなおし、国民形成や中央集権化といった問題を論じている。
主たる切り口は3つ。明治天皇の全国巡幸、結婚式・銀婚式・葬儀などの儀式、明治天皇の視線である。巡幸と儀式は、天皇の存在を国民にアピールすることで国民化を促したというもの。大筋は納得できる。いまとなっては目新しさはないが。また、肝心の巡幸の部分が訳者によって割愛されてしまっているのが残念。
明治天皇の視線の議論は、ちょっと納得いかない。議論が詰め切れていないのではないか。
また、全体として違和感が残る。京都についての分析とか、巡幸を見た人々の感想とか、資料的には根拠があるのだろうが、議論の中にこのように位置づけてしまって問題ないのか。
とはいえ、日本近代への入門書としては充分に価値のある一冊と思う。
2006年4月29日に日本でレビュー済み
落ち着いて考えてみれば、日系外国人の著者に指摘されるまでもなく、気付いているべき問題であった。
本書は、戦前の「姿の見えない天皇陛下」「御真影の中にしか見えない天皇陛下」という抽象的な存在が、戦後の全国巡幸に始まり、メディアの発達の中で「姿の見える天皇」に代わって行ったことに伴う、日本人の立場の変化を独自の視点で検討している。
尤も、People か Citizenの違いが分からないと、天皇の変化によって国民の変化を理解するのが困難である。
そこを、この本は様々な資料から浮き彫りにしてくれている。
大変面白い視点での本だと思う。
昭和天皇の誕生日に
本書は、戦前の「姿の見えない天皇陛下」「御真影の中にしか見えない天皇陛下」という抽象的な存在が、戦後の全国巡幸に始まり、メディアの発達の中で「姿の見える天皇」に代わって行ったことに伴う、日本人の立場の変化を独自の視点で検討している。
尤も、People か Citizenの違いが分からないと、天皇の変化によって国民の変化を理解するのが困難である。
そこを、この本は様々な資料から浮き彫りにしてくれている。
大変面白い視点での本だと思う。
昭和天皇の誕生日に