オーストラリアの大探検
オーストラリアの歴史の一端を垣間見れる。
また、越智道雄氏の解説にあるように、「探検家は植民地主義の尖兵であり、彼に続く開拓者や金鉱掘りが原住民を殺し、自然を破壊していくきっかけを与えた。....」とあるように、探検・冒険は肯定と否定の二重の視点から眺める目が必要である。
「青ナイル」「白ナイル」とともにアラン・ムーアヘッドの大傑作の探検ものである。
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恐るべき空白: 死のオーストラリア縦断 (ハヤカワ文庫 NF 48) 文庫 – 1979/10/1
アラン ムーアヘッド
(著),
木下 秀夫
(翻訳)
酷暑と寒冷、そして渇きの支配するオーストラリア内陸砂漠。1860年、この空白地帯に14名の隊員からなる探検隊が派遣された。半年に及ぶ苦闘の末に、、バーク体長以下4名の先遣隊はついに初の大陸縦断に成功する。しかし、その帰路には恐るべき運命が彼らを待ち受けていた・・・・・。ノンフィクションの巨匠ムーアヘッドが故国オーストラリアを舞台に、世界で最も過酷な土地に挑み、砂漠の果てに消えた男たちの栄光と悲劇を描く(カバーの説明から)
- 本の長さ370ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日1979/10/1
- ISBN-104150500487
- ISBN-13978-4150500481
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (1979/10/1)
- 発売日 : 1979/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 370ページ
- ISBN-10 : 4150500487
- ISBN-13 : 978-4150500481
- Amazon 売れ筋ランキング: - 651,101位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 396位ハヤカワ文庫 NF
- - 7,882位海外旅行ガイド (本)
- - 41,937位歴史・地理 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
不毛の大地に挑む生命の健気さと、賢さと、愚かさ。
この瞬間、命があることの奇跡を想わずにはいられない。
災害やテロが身に迫るいまこそ、読んでおきたい本。
この瞬間、命があることの奇跡を想わずにはいられない。
災害やテロが身に迫るいまこそ、読んでおきたい本。
2015年8月23日に日本でレビュー済み
何の因果か自分にはオーストラリア人の友人(女性)と知人(男性)がいるのですが、つい先日、本書を知人の
ほうのSさんに見せると、巻頭の探検地図を見ながら「あぁ、知ってる。学校で習った」とのこと。
どうやら小学校時代に習ったらしく、この「オーストラリア内陸砂漠探検」については「バカな探検。失敗続きで
連れて行ったラクダしか生き残んなかったじゃない(正確にはちょっと違うが)。ステュアート(後述)とは大違い」と
ぶった斬り。授業でも、単なる悲劇としてではなく、反面教師として習ったそうです。
本書は、1860年に、当時まだ地図の上では空白地帯になっていたオーストラリアの内陸部を探検して、
大陸を縦断しようとした、ロバート・オハラ・バーク率いる探検隊の世にも哀れな地獄行を、当時の資料(主に
探検隊の日誌)や、後に開かれた査問委員会の報告などをまとめて一冊の本にしたものです。
以下に目次を列記しつつ、各章の感想を少し。購入の参考になれば。
著者ノート
著者のアラン・ムーアヘッド自身が、本書を書くのにいかに苦労したかを縷々と述べています。参考資料を
大量に紹介していますが、こんなもん、21世紀の現在、どうやって手に入れろと。
オーストラリア中央部地図とオーストラリア地図(全景)
本書を読む際に、何度ここに戻ってきたことか。進行ルートも記されているので、この手の本にとっては
ありがたいことです。
1 恐るべき空白
まずはオーストラリアの歴史を簡潔に紹介。1788年に最初の白人入植者が来てから、1860年頃までの
発展の度合いを開拓史に絡めながら解説。
2 スタート
「スタート」と言っても、何かが始まったわけではありません。オーストラリアの内陸に入っていった初期の探検家の
中でも「大きな成果をあげた一人」と言われる、チャールズ・スタートのお話。素人目にもスタートの探検にはケチの
つけようがなく、むしろ気になったのは、ドイツのルードヴィッヒ・ライヒハルト(ライカート)の探検のほうでした。
大陸を横断する探検のハズが、途中で行方不明になって、「今日に到るも痕跡は発見されていない。(中略)豪州探検
史上最大のミステリー」と言われています。ハッキリ言って本編よりも気になったので、これもSさんに聞いてみると、
「あぁ、うん、いたね、ドイツ人の。横断って言ったって、最長で何千キロになるのか分かっていたのかな?」とのこと。
3 探検隊の編成
前章の最後に書かれているように、「地平線の彼方」の「甘い夢」が忘れられず、ヴィクトリア州は1860年に新たな
探検隊を送り込むことになったようで、そのメンバー編成の章。隊長のバーク警視が選ばれた理由も凄い(探検経験値
ゼロ!)が、そのバークが統率することになる部下たちにも怪しすぎる連中がゴロゴロと。
測量技師のウィリアム・ジョン・ウィルズ(数少ない真人間)と、ウィリアム・ブラーエ、ジョン・キング、
ジョージ・ジェームス・ランデルスの四人はとくに重要な人間。そして、探検隊を生み出した「探検委員会」もかなりいい加減。
4 メニンディまで
「出発にさいしては少々混乱があった」どころではありません。まだ、人が住んでいる安全地帯を進んでいるだけなのに、
早くも問題が次々に起き始めます。そして、本章で新たにメンバーに加わったウィリアム・ライトには要注意。「この人物こそ
のちに全隊員の運命を左右することになる」と書かれているだけあって、ライトは終盤に大活躍します。別の意味で。
探検ではなく、査問委員会で。「暗躍」と言ったほうが正しいかも。
5 メニンディからクーパーズ・クリークへ
探検隊は途中で「デポーLXV」を設置して、そこから隊長バーク以下、ウィルズ、グレイ、キングの四人で一気に北上し、
大陸を縦断するための準備を整える章。もうすでに不安だらけで、「大丈夫?」と心配してしまいます。全然大丈夫では
ないのですが。
6 大陸縦断に成功
バーク以下の四人が大陸縦断に成功するまでの章。本章だけは真っ当な探検記として、素直に楽しめます。四人が
年齢や身分、国籍を越えて一致団結するさまは感動的ですらあります。本章から探検日誌が頻繁に登場するように
なりますが、その内容も勇ましい。それだけに、すでに痛々しくもあります。
7 後続隊
一方、「デポーLXV」に残ったブラーエたちは、原住民を追っ払ったり、害獣と戦ったりと忙しい日々を送っていましたが、
単調な日々はやがて怠惰へと陥り、「(バークが帰ってくると言っていた)約束の三ヶ月がもう過ぎさ」り、四ヶ月になろうと
した頃、ついにブラーエたちは撤収するか否かの決断に迫られます。
8 運命の九時間
本章から、いよいよ地獄行きの旅路が始まります。まずは挨拶がわりにグレイが死に、ボロボロの姿で「デポーLXV」に
たどり着いたバークたちが見たものは、もぬけの殻となったデポーでした。デポーに残されていた食料は僅かしかなく、
しかも残されていた手紙によって、ブラーエたちが撤収したのはほんの九時間前だったことが判明します。
しかし、ブラーエたちが馬とラクダで移動していることもわかり、バークは徒歩の自分たちでは追いつけないと追跡を
断念。「のろのろと来た路を引き返していった」。ところが、のちにこの手紙の内容に嘘が散見していることが判明して、
査問委員会で大問題となります。
9 後続隊は何をしていたか
本章は、デポーを撤収してからのブラーエたちの(それなりの)苦労話。途中で別行動をとっていたライトとも合流しますが、
双方(それなりの)トラブル続きで、彼らなりの理由があるとはいえ、理解不能&同情ゼロ。しかも、ブラーエとライトは
バークたちが一度は帰還した「デポーLXV」に戻ってみるも、バークたちが残していった手紙とその痕跡に気づきもせず。
ダメだこりゃ。
10 ホープレス山を目指して
ブラーエとライトが(殆ど言い訳作りのために)デポーに戻っていた頃、実はバークたちはかなり近くにいたようです。
ところが彼らは疲労困憊で動けない。そして勿論、合流はできず。ひたひたと死神が近づいてくるのがわかる章。
11 救援隊出発
遅いちゃよ!!バークたちが最後に街に手紙を出してから、五ヶ月も経ってようやく探検委員会は、救援隊を派遣する
ことを決定します(世論は随分前から喧しかったのですが)。救援隊の隊長に選ばれたのは、アルフレッド・ウィリアム・
ハウィットという青年でした。彼が卓越した学者であり、優れた探検家でもあることが分かるに連れて、「何でこの人を
探検隊の隊長に選ばんかったがけ?」と誰でも思ってしまいます。
12 ハウィット隊の行進
ハウィット隊の行動は本当に見事なもので、「何でこの人を探検隊の(以下略)」と何度も思ってしまいますが、バークが
地中に埋めた手紙だけは(明らかな痕跡があったのに)、ハウィットも気づくことがありませんでした。そして、ようやく
発見されるバーク隊の人間!「私はキングと申します」「彼(バーク)とウィルズはどこにいる?」「死にました。二人とも
ずっと前に死にました」・・・ここからバークとウィルズが死に至るまでの地獄の物語が始まります。
13 生き残りの生還
ハウィット隊がバークとウィルズの遺体を発見して埋葬し、キングとともにメルボルンに帰るまでの章。生還したキングを
英雄として迎える民衆。戸惑うキング。人ごみが嫌いなハウィットは、メニンディに残ってそれを静観。
14 査問委員会
間違いなく、本書最大の見どころ。今回の探検に関わった全ての人間が、事件検証のために設置された査問委員会に
召喚されて、互いに責任(一番悪い奴)を擦り付け合うさまは、怒り心頭しつつも爆笑必至。本書は、各章の構成が
10~30ページほどなのですが、本章に限り70ページ近い文量であることからも、著者の気合の入りようがわかると
いうものです。ブラーエとライトの陳述(自己弁護)は必見。とくにライトは、自身に不利な証拠が出てくると、だんまりを
決め込みやがります。
15 鎮魂曲
バークたちの盛大な葬儀、そして生き残った者たちのその後の生涯を簡潔に紹介しつつ、バーク以後のオーストラリア
内陸部探検隊の成果をざっと解説します。因みに、知人のSさんも激賞したマクダウアル・ステュアートにあまり触れることが
できなかったことを著者は、「本書ではこの(ステュアート)隊の動きを、少々おろそかにしたかもしれない」と残念がっています。
ステュアートは、国家の英雄だそうですから。
そして時代は一気に現代へ。著者自身の足で、バーク隊が進行したルートの風景が1960年代になってどのように変わって
いったかを、紀行文のように記してゆきながら、現代オーストラリアの歴史・文化の変化も解説します。
(解説)豪州大陸の探検について 明治大学教授(当時)・越智道雄
ここでも話題になったのは、「豪州探検史上最大のミステリー」と言われる、ルードヴィッヒ・ライヒハルト(ライカート)率いる
大陸横断隊の失踪事件。本当に、本編よりも気になってしまうような、こういったネタを差し込むのはやめてください。Sさんに
その後の消息を訊ねても、「ファッハッハッハ!ボクに聞かないでよ」と巨体を揺らしながら一蹴されました。 工エエェェ('д`)ェェエエ工
そもそも自分は、「消えた」とか「失踪した」とか「謎の」と言った言葉に弱いんですから、困ってしまいます。 (^Д^)
・・・以上です。本書はまさに、普通に計画して普通に探検していれば、失敗するほうが難しい探検だったことが
よくわかる探検記で、Sさんが指摘したように「人災の見本市」のような本です。バーク隊がほぼ全滅したことは
悲しい顛末ですが、生き残った者たちの醜悪な思考を覗くことができると言う意味では、大変面白い本です(あの
キングですら、僅かにそれがあることが凄い)。ゆえに絶対にオススメ!
追記 平成27年(2015)12月1日
本書の中で何度も登場する、本編とは直接には関係ないくせに、本編よりも気になってしまったルードヴィッヒ・ライヒハルトですが、
詳細がわかりました。
「幻の内陸海 オーストラリア探検史話」 著・木崎甲子郎 山と渓谷社 昭和53年4月発売
この本に一章を丸々割いて紹介されています。その名も「消えた探検隊」。ルドウィッヒ・ライハルト(こちらではこういう名前)隊の
探検までの経緯、その行程、成果、そして1848年4月にこの世から姿を消してからの捜索隊の必死の捜索、その後も次々と
寄せられる目撃情報などなど、彼らがどうなったのか、おそらく答えに最も近い顛末が地図を用いてしっかりと描かれています。
その他のお話も面白すぎるので、こちらも必見です。
このレビューが参考になれば幸いです。 (*^ω^*)
ほうのSさんに見せると、巻頭の探検地図を見ながら「あぁ、知ってる。学校で習った」とのこと。
どうやら小学校時代に習ったらしく、この「オーストラリア内陸砂漠探検」については「バカな探検。失敗続きで
連れて行ったラクダしか生き残んなかったじゃない(正確にはちょっと違うが)。ステュアート(後述)とは大違い」と
ぶった斬り。授業でも、単なる悲劇としてではなく、反面教師として習ったそうです。
本書は、1860年に、当時まだ地図の上では空白地帯になっていたオーストラリアの内陸部を探検して、
大陸を縦断しようとした、ロバート・オハラ・バーク率いる探検隊の世にも哀れな地獄行を、当時の資料(主に
探検隊の日誌)や、後に開かれた査問委員会の報告などをまとめて一冊の本にしたものです。
以下に目次を列記しつつ、各章の感想を少し。購入の参考になれば。
著者ノート
著者のアラン・ムーアヘッド自身が、本書を書くのにいかに苦労したかを縷々と述べています。参考資料を
大量に紹介していますが、こんなもん、21世紀の現在、どうやって手に入れろと。
オーストラリア中央部地図とオーストラリア地図(全景)
本書を読む際に、何度ここに戻ってきたことか。進行ルートも記されているので、この手の本にとっては
ありがたいことです。
1 恐るべき空白
まずはオーストラリアの歴史を簡潔に紹介。1788年に最初の白人入植者が来てから、1860年頃までの
発展の度合いを開拓史に絡めながら解説。
2 スタート
「スタート」と言っても、何かが始まったわけではありません。オーストラリアの内陸に入っていった初期の探検家の
中でも「大きな成果をあげた一人」と言われる、チャールズ・スタートのお話。素人目にもスタートの探検にはケチの
つけようがなく、むしろ気になったのは、ドイツのルードヴィッヒ・ライヒハルト(ライカート)の探検のほうでした。
大陸を横断する探検のハズが、途中で行方不明になって、「今日に到るも痕跡は発見されていない。(中略)豪州探検
史上最大のミステリー」と言われています。ハッキリ言って本編よりも気になったので、これもSさんに聞いてみると、
「あぁ、うん、いたね、ドイツ人の。横断って言ったって、最長で何千キロになるのか分かっていたのかな?」とのこと。
3 探検隊の編成
前章の最後に書かれているように、「地平線の彼方」の「甘い夢」が忘れられず、ヴィクトリア州は1860年に新たな
探検隊を送り込むことになったようで、そのメンバー編成の章。隊長のバーク警視が選ばれた理由も凄い(探検経験値
ゼロ!)が、そのバークが統率することになる部下たちにも怪しすぎる連中がゴロゴロと。
測量技師のウィリアム・ジョン・ウィルズ(数少ない真人間)と、ウィリアム・ブラーエ、ジョン・キング、
ジョージ・ジェームス・ランデルスの四人はとくに重要な人間。そして、探検隊を生み出した「探検委員会」もかなりいい加減。
4 メニンディまで
「出発にさいしては少々混乱があった」どころではありません。まだ、人が住んでいる安全地帯を進んでいるだけなのに、
早くも問題が次々に起き始めます。そして、本章で新たにメンバーに加わったウィリアム・ライトには要注意。「この人物こそ
のちに全隊員の運命を左右することになる」と書かれているだけあって、ライトは終盤に大活躍します。別の意味で。
探検ではなく、査問委員会で。「暗躍」と言ったほうが正しいかも。
5 メニンディからクーパーズ・クリークへ
探検隊は途中で「デポーLXV」を設置して、そこから隊長バーク以下、ウィルズ、グレイ、キングの四人で一気に北上し、
大陸を縦断するための準備を整える章。もうすでに不安だらけで、「大丈夫?」と心配してしまいます。全然大丈夫では
ないのですが。
6 大陸縦断に成功
バーク以下の四人が大陸縦断に成功するまでの章。本章だけは真っ当な探検記として、素直に楽しめます。四人が
年齢や身分、国籍を越えて一致団結するさまは感動的ですらあります。本章から探検日誌が頻繁に登場するように
なりますが、その内容も勇ましい。それだけに、すでに痛々しくもあります。
7 後続隊
一方、「デポーLXV」に残ったブラーエたちは、原住民を追っ払ったり、害獣と戦ったりと忙しい日々を送っていましたが、
単調な日々はやがて怠惰へと陥り、「(バークが帰ってくると言っていた)約束の三ヶ月がもう過ぎさ」り、四ヶ月になろうと
した頃、ついにブラーエたちは撤収するか否かの決断に迫られます。
8 運命の九時間
本章から、いよいよ地獄行きの旅路が始まります。まずは挨拶がわりにグレイが死に、ボロボロの姿で「デポーLXV」に
たどり着いたバークたちが見たものは、もぬけの殻となったデポーでした。デポーに残されていた食料は僅かしかなく、
しかも残されていた手紙によって、ブラーエたちが撤収したのはほんの九時間前だったことが判明します。
しかし、ブラーエたちが馬とラクダで移動していることもわかり、バークは徒歩の自分たちでは追いつけないと追跡を
断念。「のろのろと来た路を引き返していった」。ところが、のちにこの手紙の内容に嘘が散見していることが判明して、
査問委員会で大問題となります。
9 後続隊は何をしていたか
本章は、デポーを撤収してからのブラーエたちの(それなりの)苦労話。途中で別行動をとっていたライトとも合流しますが、
双方(それなりの)トラブル続きで、彼らなりの理由があるとはいえ、理解不能&同情ゼロ。しかも、ブラーエとライトは
バークたちが一度は帰還した「デポーLXV」に戻ってみるも、バークたちが残していった手紙とその痕跡に気づきもせず。
ダメだこりゃ。
10 ホープレス山を目指して
ブラーエとライトが(殆ど言い訳作りのために)デポーに戻っていた頃、実はバークたちはかなり近くにいたようです。
ところが彼らは疲労困憊で動けない。そして勿論、合流はできず。ひたひたと死神が近づいてくるのがわかる章。
11 救援隊出発
遅いちゃよ!!バークたちが最後に街に手紙を出してから、五ヶ月も経ってようやく探検委員会は、救援隊を派遣する
ことを決定します(世論は随分前から喧しかったのですが)。救援隊の隊長に選ばれたのは、アルフレッド・ウィリアム・
ハウィットという青年でした。彼が卓越した学者であり、優れた探検家でもあることが分かるに連れて、「何でこの人を
探検隊の隊長に選ばんかったがけ?」と誰でも思ってしまいます。
12 ハウィット隊の行進
ハウィット隊の行動は本当に見事なもので、「何でこの人を探検隊の(以下略)」と何度も思ってしまいますが、バークが
地中に埋めた手紙だけは(明らかな痕跡があったのに)、ハウィットも気づくことがありませんでした。そして、ようやく
発見されるバーク隊の人間!「私はキングと申します」「彼(バーク)とウィルズはどこにいる?」「死にました。二人とも
ずっと前に死にました」・・・ここからバークとウィルズが死に至るまでの地獄の物語が始まります。
13 生き残りの生還
ハウィット隊がバークとウィルズの遺体を発見して埋葬し、キングとともにメルボルンに帰るまでの章。生還したキングを
英雄として迎える民衆。戸惑うキング。人ごみが嫌いなハウィットは、メニンディに残ってそれを静観。
14 査問委員会
間違いなく、本書最大の見どころ。今回の探検に関わった全ての人間が、事件検証のために設置された査問委員会に
召喚されて、互いに責任(一番悪い奴)を擦り付け合うさまは、怒り心頭しつつも爆笑必至。本書は、各章の構成が
10~30ページほどなのですが、本章に限り70ページ近い文量であることからも、著者の気合の入りようがわかると
いうものです。ブラーエとライトの陳述(自己弁護)は必見。とくにライトは、自身に不利な証拠が出てくると、だんまりを
決め込みやがります。
15 鎮魂曲
バークたちの盛大な葬儀、そして生き残った者たちのその後の生涯を簡潔に紹介しつつ、バーク以後のオーストラリア
内陸部探検隊の成果をざっと解説します。因みに、知人のSさんも激賞したマクダウアル・ステュアートにあまり触れることが
できなかったことを著者は、「本書ではこの(ステュアート)隊の動きを、少々おろそかにしたかもしれない」と残念がっています。
ステュアートは、国家の英雄だそうですから。
そして時代は一気に現代へ。著者自身の足で、バーク隊が進行したルートの風景が1960年代になってどのように変わって
いったかを、紀行文のように記してゆきながら、現代オーストラリアの歴史・文化の変化も解説します。
(解説)豪州大陸の探検について 明治大学教授(当時)・越智道雄
ここでも話題になったのは、「豪州探検史上最大のミステリー」と言われる、ルードヴィッヒ・ライヒハルト(ライカート)率いる
大陸横断隊の失踪事件。本当に、本編よりも気になってしまうような、こういったネタを差し込むのはやめてください。Sさんに
その後の消息を訊ねても、「ファッハッハッハ!ボクに聞かないでよ」と巨体を揺らしながら一蹴されました。 工エエェェ('д`)ェェエエ工
そもそも自分は、「消えた」とか「失踪した」とか「謎の」と言った言葉に弱いんですから、困ってしまいます。 (^Д^)
・・・以上です。本書はまさに、普通に計画して普通に探検していれば、失敗するほうが難しい探検だったことが
よくわかる探検記で、Sさんが指摘したように「人災の見本市」のような本です。バーク隊がほぼ全滅したことは
悲しい顛末ですが、生き残った者たちの醜悪な思考を覗くことができると言う意味では、大変面白い本です(あの
キングですら、僅かにそれがあることが凄い)。ゆえに絶対にオススメ!
追記 平成27年(2015)12月1日
本書の中で何度も登場する、本編とは直接には関係ないくせに、本編よりも気になってしまったルードヴィッヒ・ライヒハルトですが、
詳細がわかりました。
「幻の内陸海 オーストラリア探検史話」 著・木崎甲子郎 山と渓谷社 昭和53年4月発売
この本に一章を丸々割いて紹介されています。その名も「消えた探検隊」。ルドウィッヒ・ライハルト(こちらではこういう名前)隊の
探検までの経緯、その行程、成果、そして1848年4月にこの世から姿を消してからの捜索隊の必死の捜索、その後も次々と
寄せられる目撃情報などなど、彼らがどうなったのか、おそらく答えに最も近い顛末が地図を用いてしっかりと描かれています。
その他のお話も面白すぎるので、こちらも必見です。
このレビューが参考になれば幸いです。 (*^ω^*)
2001年9月23日に日本でレビュー済み
私はこの本を読んで豪州に行く決心をした。とにかく大陸に中心部には何があるのか?ただそれだけを確かめるために物語の主人公であるバーク&ウィルスを含む探検隊は縦断を強行した。探検隊の結末は本を読んでくれたらわかるのでここでは書きたくないが豪州を旅しようと思う人、また豪州の内陸縦断体験した人には絶対お奨めできる。豪州の内陸の情景が目に浮かぶ!これぞ、豪州究極の旅行記だ!
2021年3月9日に日本でレビュー済み
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数年前、デボーLXVを観に、オーストラリアのデザートをバイクで疾走しました。
インナミンカは白人の歴史少ないオーストラリアの中で、数少ない歴史遺産になっているようでした。冬でも日中は40度を超え、夜には10度をきるような過酷な環境のなか、アボリジニの知恵も借りよく生き延びた!と改めて感動しました。
インナミンカは白人の歴史少ないオーストラリアの中で、数少ない歴史遺産になっているようでした。冬でも日中は40度を超え、夜には10度をきるような過酷な環境のなか、アボリジニの知恵も借りよく生き延びた!と改めて感動しました。