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金融行政の敗因 (文春新書 67) 新書 – 1999/10/1
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1999/10/1
- ISBN-104166600672
- ISBN-13978-4166600670
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
住専(住宅金融専門会社)問題で連日国会が紛糾していた頃、ある編集者と雑談していて、私はつい口を滑らせた。相手は怪訝な顔をし、以後相手にしてくれなくなった。
本書の著者は、まさに住専問題を担当した銀行局長である。しかし、最初に断っておくが、私はこの著者に石を投げようとは思っていない。私が石をぶつけたかったのは、おぞましい天下りシステムである。住専各社は大蔵省や日本銀行などからの天下りの巣窟だった。天下りが絡んでいなければ、住専問題はもっと迅速に処理できたろうし、そもそもあそこまで無責任な経営にはならない。不良債権もあれほどの額になるまで放置されない。
著者は、退官後早稲田大学の教授となり、天下りコースをとらなかった。そうでなければ、本書は書けなかっただろう。天下りしている官僚OBは、基本的人権が制限されているかのように言葉を失っているが、著者は随分自由に発言している。だいたい『金融行政の敗因』というタイトルからして、かなり凄い。官僚とは反省をしないものなのである。こういうタイトルは大蔵省を敵に回す覚悟としか思えない。
しかし、そういう覚悟をとぼけたユーモアでくるむのが、著者の持ち味だ。破綻した東京協和・安全2信用組合の処理に奔走していたときには、高橋治則・東京協和信用組合理事長の大蔵官僚接待スキャンダルについてまるで気づかなかったとし、知っていたら処理を逡巡し、もっと苦悩したであろうなどと書いている。つい苦笑させられてしまった。要するにそんなことは全く考慮せず処理したと言っているのである。
大和銀行事件と住専問題についても、著者は目配りの利いた独特の言い回しで"反省"する。しかし、大和銀行事件の処理と大騒動については著者の論におおむね納得したが、住専問題については、前任者や天下りOBに気兼ねしたのか、文章力を発揮するまでにいたっていないと思う。そのあたりに不満が残るが、後半の「世界の三大金融市場」や「BIS規制」などを論じた部分では、著者の見識が示されている。自分でひっくり返ったのにアングロサクソンに狙われただの、マネー敗戦だのと感情に訴える論が横行しているなかで、現実を客観的に認識しそれを表明する著者は、貴重な存在だ。こういう人には石は無論、紙礫もぶつけたくないので、今後、気が変わって天下りポストに座ったりしないでほしい。
(ジャーナリスト 野口 均)
(日経ビジネス1999/11/29号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
-- 日経ビジネス
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1999/10/1)
- 発売日 : 1999/10/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4166600672
- ISBN-13 : 978-4166600670
- Amazon 売れ筋ランキング: - 391,017位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 851位文春新書
- - 26,192位投資・金融・会社経営 (本)
- - 40,261位ビジネス・経済 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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あまり内容は書けないが、読みやすかったので、
もし、興味があれば、読書をあまりしない人でも
読めるかもしれないと感じた。
住専問題や東京2信組問題や、木津信組破綻、大和銀問題など、「懐かしい」問題について触れ、その時々の金融行政のあり方について反省・総括している。
ただ、具体的な問題解決の裏話などはあまりなく、もっぱら政策の妥当性などに論を集約しているのが、読んでいて不満が残る。まだ話せない話もたくさんある、というところか。
出てくる課題は古くて新しいものが多く、今(02年)に読んでも参考になると思う。
「はじめに」で、「私の金融行政の経験はたかだか公務員生活最後の七年に過ぎない。いわば、五十の手習いで外国語を始めるのに似たところがある」と書かれています。西村氏の経歴を見ると、確かに複雑な金融経済に関与した実戦経験がないのに、いきなり銀行局長というポストに就いています。日米の金融業界に疎く金融の実戦経験がないままでは、いかに東大法卒の秀才でもまともな仕事ができないのは当然です。
西村氏は精一杯の仕事をされたと私は思います。でも、1~2年で次々にポストを替えて出世するキャリア官僚だと、特定の分野でプロの実務能力は身に付かないはずです。にもかかわらず、プロの知識と技量が高度に要求される畑違いの分野で、素人を順送りで要職にいとも簡単に据える役所の人事こそが、日本経済を破滅させてきた元凶の1つだと思います。
現在の日銀審議委員の経歴を見ても、やはりこの国の大量な国債は非常に危険だろうと感じました。
併せて五味 廣文 (著)「金融動乱 金融庁長官の独白」(日本経済新聞出版社、2012年)、中井省著「やぶにらみ金融行政」(財経詳報社、2002年)を読みたい。
思います。題材は旧聞に属するものとなってしまいましたが、
今もなお読むべき本です。
そして、本書の著者と同じ立場に立って考えてもらいたいです。
金融行政を批判するのであれば、少なくとも本書を超える必要が
あるでしょう。
「言うは易し、行うは難し」