『日本書紀』は、武烈天皇を「諸悪」を為し「ひとつも善」きことをしなかったと断じ、悪業の具体例を列挙している。まるで殷の最後の王である紂王を彷彿とさせる扱いだ。
武烈には子がなかったため応神天皇の5世孫といわれる継体天皇が即位するも、長期間にわたり大和盆地に入らなかった、あるいは入れなかった。このことは彼に抵抗する大きな勢力があったことを示唆している。
これらのことを根拠に武烈の薨去後、「革命」つまり王朝の交代があったとする説が根強いが、著者は継体が応神王統であったことを縷々論じ、それを否定する。惜しむらくは、武烈王統に近い人物はいたはずなのに、なぜ群臣たちは継体を推戴したのか、その理由についての記述が物足りなく感じた。
次いで著者は「磐井の乱」を論じた後。継体崩御の前後とおぼしき頃「日本の天皇が太子、皇子と同時に亡くなった」という『百済本記』の記事の解明に取り組む。
最後に継体の異例の即位が、後世の天皇の在り方と皇位継承に大きな影響を与えたことを示す。
常識を覆す新説や奇説を期待する向きには期待外れかもしれないが、手堅い手法で正統的な解釈を提示した労作である。歴史好きのみならず政治思想に興味を持つ読者に強く薦めたい。
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謎の大王 継体天皇 (文春新書 192) 新書 – 2001/9/20
水谷 千秋
(著)
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大和から遠く離れた地に生まれ異例の形で即位した天皇。そしてその死も深い闇に包まれている。現代天皇家の祖はどんな人物なのか
- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2001/9/20
- ISBN-10416660192X
- ISBN-13978-4166601929
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 228ページ
- ISBN-10 : 416660192X
- ISBN-13 : 978-4166601929
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年12月18日に日本でレビュー済み
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継体天皇に関する論点は2つあるという。1つはその出自。応神5世孫というのは真実なのか、それとも捏造で王朝の交代が起こったのか。もう1つは、継体の即位を政治史的にどう捉えるか。継体の即位が難産であったことは確かだが、それだけで画期であったと言うことはできない。大和政権の統治形態に大きな変更があったのか否かについてがより重要である。
この2点に関して、史料や先行研究に対して慎重な検討を加えながら、回答を試みていく。対象が古代史だけに推測に推測を重ねるようなところもあるが、全体的に穏当な説になっているように思う。
まず出自については、応神5世孫であることを一応の真実と著者は認める。少なくとも継体がそう主張して、当時の支配者層に受け入れられただろうと言う。この観点は重要だ。実際に血が繋がっているか否かにはたいした意味はない。だから本当の出自にこだわるのは的を外していると言える(もちろん特定の人にとってはそこが肝なんだろうけれども)。継体が応神5世孫であること(少なくとも王族であること)を当時の支配層が認めたのか否か、もしくは虚構と分かっていても敢えて受け入れたのか否かという観点から論じられるべきことなのだろう。そして、それは是である蓋然性が高いようだ。
より興味深いのは後者の論点だと思う。継体の即位が大和政権の画期であったのか。継体の即位に王朝の交代を見る人にとっては画期であることが自明のことであるように思える。そこまでではなくとも、ある種の断絶を感じる人は多いだろう。しかし、学界では継体朝の成立に大きな画期を求めない傾向があるという。著者の考えもまた然り。
著者は、欽明朝に中央集権的で中央の有力豪族による合議制の安定的政体が確立したという。それは雄略没後から始まった混乱期に徐々に形成されたもので、継体朝はその過渡期の1つとして捉えているようだ。中央集権的というのは地方豪族の没落と軌を一にするもので、象徴的な事件が継体朝に起きた磐井の乱。また、大王による専制が中央の有力豪族によって封じられ合議制になったのは、雄略以後の王位継承の混乱で王権が弱まったからだろう。なかでも特筆すべきはもちろん継体即位だ。とすればやはり継体が重要じゃないかと思いそうだが、しかし、継体朝でガラリと変わったのではなく、前後を含んで徐々に進行していたと考える。
最後の章では、中世以降の継体天皇観に触れる。この章もおもしろい。「はじめに」で著者は「なぜ天皇制は終わることがなかったのか?」という問題を提示する。天皇に関する本ではよく問われる難問であり、あまり深い意味もなく記したようにも思えたが、どうやらそうでもないらしい。最終章でこの問いに対する重要な視点が出ていたと思う。
天皇制の危機の現れの1つに王位継承の危機がある。以後の歴史でなんどか訪れたその危機において、継体の即位も参照されたという。その際、彼が遠い傍系であろうとも王族であった(少なくともそういうことになっていた)というのが強い影響を与えたようだ。また継承について臣下による大幅な介入を許すことも先例となった。王族であるべしという規範が強く存在するため簒奪は難しいが、介入可能なので都合のいい継承者を選ぶことが可能である。とするならば存続の方にインセンティブがあることになる。万世一系の弱みと思われる継体の存在が、天皇制の存続に寄与していたというのは、なんともおもしろい話であった。
この2点に関して、史料や先行研究に対して慎重な検討を加えながら、回答を試みていく。対象が古代史だけに推測に推測を重ねるようなところもあるが、全体的に穏当な説になっているように思う。
まず出自については、応神5世孫であることを一応の真実と著者は認める。少なくとも継体がそう主張して、当時の支配者層に受け入れられただろうと言う。この観点は重要だ。実際に血が繋がっているか否かにはたいした意味はない。だから本当の出自にこだわるのは的を外していると言える(もちろん特定の人にとってはそこが肝なんだろうけれども)。継体が応神5世孫であること(少なくとも王族であること)を当時の支配層が認めたのか否か、もしくは虚構と分かっていても敢えて受け入れたのか否かという観点から論じられるべきことなのだろう。そして、それは是である蓋然性が高いようだ。
より興味深いのは後者の論点だと思う。継体の即位が大和政権の画期であったのか。継体の即位に王朝の交代を見る人にとっては画期であることが自明のことであるように思える。そこまでではなくとも、ある種の断絶を感じる人は多いだろう。しかし、学界では継体朝の成立に大きな画期を求めない傾向があるという。著者の考えもまた然り。
著者は、欽明朝に中央集権的で中央の有力豪族による合議制の安定的政体が確立したという。それは雄略没後から始まった混乱期に徐々に形成されたもので、継体朝はその過渡期の1つとして捉えているようだ。中央集権的というのは地方豪族の没落と軌を一にするもので、象徴的な事件が継体朝に起きた磐井の乱。また、大王による専制が中央の有力豪族によって封じられ合議制になったのは、雄略以後の王位継承の混乱で王権が弱まったからだろう。なかでも特筆すべきはもちろん継体即位だ。とすればやはり継体が重要じゃないかと思いそうだが、しかし、継体朝でガラリと変わったのではなく、前後を含んで徐々に進行していたと考える。
最後の章では、中世以降の継体天皇観に触れる。この章もおもしろい。「はじめに」で著者は「なぜ天皇制は終わることがなかったのか?」という問題を提示する。天皇に関する本ではよく問われる難問であり、あまり深い意味もなく記したようにも思えたが、どうやらそうでもないらしい。最終章でこの問いに対する重要な視点が出ていたと思う。
天皇制の危機の現れの1つに王位継承の危機がある。以後の歴史でなんどか訪れたその危機において、継体の即位も参照されたという。その際、彼が遠い傍系であろうとも王族であった(少なくともそういうことになっていた)というのが強い影響を与えたようだ。また継承について臣下による大幅な介入を許すことも先例となった。王族であるべしという規範が強く存在するため簒奪は難しいが、介入可能なので都合のいい継承者を選ぶことが可能である。とするならば存続の方にインセンティブがあることになる。万世一系の弱みと思われる継体の存在が、天皇制の存続に寄与していたというのは、なんともおもしろい話であった。
2023年1月3日に日本でレビュー済み
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予定日にキチンと梱包され配達されました。
読むのが楽しみです。
読むのが楽しみです。
2021年3月13日に日本でレビュー済み
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継体天皇自体の事柄が少ないかな!
2020年5月24日に日本でレビュー済み
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学者先生の本に共通したことだが小説家のような一刀両断的解釈ができない歯がゆさがある。歴史の教科書では学べなかった興味ある内容に触れることは出来た。
2020年5月17日に日本でレビュー済み
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継体という名前が示すとおり、これまでの天皇と血縁関係があるのだよ、とアピールしたがっているネーミングである。
古事記、日本書紀にも応神天皇の五世孫と記載があるのみで、その詳細、出自は不明である。
以上の根拠から応神天皇と本当に血縁があるのか考えるしかないのだが、皆さんの想像におまかせしましょう。
本書では応神天皇と血縁があると仮説を立てているのだが、その根拠は推理小説の域を出ず正直薄いと思いました。(100ページ付近)
継体天皇について今大事なことは、女系天皇を認めるかどうかの議論に深く関わってきますので、これまでの皇統をついでいる人物なのか真剣に議論する必要があります。
仮に継体天皇がこれまでの皇族と血縁関係にない場合、継体の后はこれまでの血縁を継いでいるため以降の天皇は見方によっては女系になりかねないからです。
この問題はメディアではまだ取り上げられてませんね。そのうちつつかれるでしょう。
古事記、日本書紀にも応神天皇の五世孫と記載があるのみで、その詳細、出自は不明である。
以上の根拠から応神天皇と本当に血縁があるのか考えるしかないのだが、皆さんの想像におまかせしましょう。
本書では応神天皇と血縁があると仮説を立てているのだが、その根拠は推理小説の域を出ず正直薄いと思いました。(100ページ付近)
継体天皇について今大事なことは、女系天皇を認めるかどうかの議論に深く関わってきますので、これまでの皇統をついでいる人物なのか真剣に議論する必要があります。
仮に継体天皇がこれまでの皇族と血縁関係にない場合、継体の后はこれまでの血縁を継いでいるため以降の天皇は見方によっては女系になりかねないからです。
この問題はメディアではまだ取り上げられてませんね。そのうちつつかれるでしょう。
2020年10月23日に日本でレビュー済み
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現在の皇室の直接のご先祖である継体天皇の出自については、応神天皇五世の孫という説をそのまま受け取ることはできかねますが、その点の解明が期待したほどではなかったのが少し残念です。
2020年6月7日に日本でレビュー済み
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一気に読みました。磐井の乱が架かれていればと思います。