中世詩人によって綴られた手稿本の成立経緯である前半と、近代の歴史のうねりの中での手稿本との邂逅と別れの後半。ペルシアを舞台にした史実を取り込んだ歴史ミステリと言えるだろう。
地中海に近いコンスタンチノープルから、黒海、カスピ海を越えて、中国のカシュガルまで、シルクロードの西半分にあたる広範な地域でストーリーは展開し、最後は新大陸に向かう途中の大西洋に至る。このスケールが何気なく語られるところに、中近東が昔から名実共にヨーロッパとつながっていたのだと言う事実を改めて知る。同じ地続きでも近代までの世界史には比較的無縁な東アジアとは異なるところだ。
西欧から見るとエキゾチックな東アジアだが、私としては中近東の方がむしろエキゾチックだ。アラビアンナイトそのもののような、水パイプやオアシス、シャーの君臨、ベールに覆われた美女の衣擦れの音など、道具立てが新鮮で、叙事詩的なストーリーはエンターテイメントとして成功していると思う。
東の英領インドさらに中国、西のトルコ、北のロシアの脅威に対抗していた、イスラム世界の雄・ペルシア帝国に始まるストーリーが、後半にはアメリカ人の主人公をめぐる冒険譚に設定されているところが皮肉な感じがした。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
サマルカンド年代記: ルバイヤート秘本を求めて (ちくま学芸文庫 マ 18-2) 文庫 – 2001/12/1
- 本の長さ494ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2001/12/1
- ISBN-104480086692
- ISBN-13978-4480086693
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2001/12/1)
- 発売日 : 2001/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 494ページ
- ISBN-10 : 4480086692
- ISBN-13 : 978-4480086693
- Amazon 売れ筋ランキング: - 592,521位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 597位中国文学研究
- - 905位フランス文学 (本)
- - 1,792位ちくま学芸文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4つ
5つのうち4つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2009年2月11日に日本でレビュー済み
この『サマルカンド年代記』は、オマル・ハイヤームを主人公にした第一部・第二部と、ルサージというアメリカ人を主人公にした第三部・第四部に大きく分かれている。前半の舞台はセルジューク・トルコで、オマル・ハイヤームとニザーム・アル・ムルク、そして「アサシン」で有名なニザール派開祖のハサン・サッバーフが学友であったとの伝承をもとに、うまく話を展開していると思う。作者がもとジャーナリストであるためか、心理描写があまりなくポンポン話が進むため、やや小説としての面白みに欠けるが、イスラームの王朝が舞台の歴史小説を読んでみたいという人や、イスマーイール派の暗殺者教団に興味があるが専門書を読むのはちょっと…という人には楽しめるだろう。
後半は、イラン立憲革命の話である。タバコ・ボイコット運動あたりからはじまり、立憲革命が勃発し、ロシアやイギリスの横槍によりいかにして革命が失敗に終わったかがよくわかる。アフガーニーなども登場しているので、この時代のイランと列強の動きに興味のある人にはお勧めです。日本のミカドにもちょこっと言及されていたりする。
後半は、イラン立憲革命の話である。タバコ・ボイコット運動あたりからはじまり、立憲革命が勃発し、ロシアやイギリスの横槍によりいかにして革命が失敗に終わったかがよくわかる。アフガーニーなども登場しているので、この時代のイランと列強の動きに興味のある人にはお勧めです。日本のミカドにもちょこっと言及されていたりする。