フェリー二没後に出版された書籍。「俳優論」「プロデューサー論」「監督論」の3章構成。
ページ数が最も多いのが最初の「俳優論」。だからカバーにフェリー二らしい登場人物の画像が大きく使われている。
内容は「論」というよりも、フェリー二がインタビュアの質問に自由に答えていく形。
インタビュアはかなり突っ込んで聞いていくので、フェリー二映画に親しんでいる人ほど楽しめる。
俳優論のところでは、当然のことだが、マルチェロ・マストロヤンニについて語っている。
マルチェロが『甘い生活』で主役をやることになったのは、プロデューサーがポール・ニューマンを
執拗に推薦してくるのを拒否するためだったということや、彼を最終的に「いい」とプッシュしたのは、
妻のジュリエッタ・マシーニだったことなどが話された後、フェリー二はこう言う。
「マルチェロは、スターではなく、言葉の狭い意味での俳優でもない。だが協力的で、物事に開けた態度を示し
柔軟に受け入れ、劇的なところも、アクターズ・スタジオ的なところもなしに同化し、再提起する。
彼は事前に脚本を要求せず、前もっていかなる思い込みも持たない。貴重と思える自分を賭けた参加精神で、
その映画の物語や出来事を、撮影を通して生きる」
フェリー二は彼の歩き方をもっと軽やかなものにするため、『8 1/2』撮影時にダンス教室に通わせた。
だからあのホテルの廊下のシーンで、彼は「パラパパ」と音符を口ずさみながらステップを踏んだりした。
『インテルビスタ』でアニタ・エグバーグの自宅を訪ねるシーンについても語られている。
「彼女とは長い間会っていなかった。私たちは彼女のジェンツァーノの別荘に行った。
周囲の田野をぬけて、彼女の上品な農婦然とした姿を見た。彼女は飼っている犬たちに守られて暮らし、
そこには彼女の映画人としての1枚の写真もなかった。私は、これこそ本当に撮るべき話だと思った」
そしてフェリー二はその時頭に浮かんだアイデアを彼女に話さずに、撮影隊と共に再度来訪し、
居間にスクリーンをかけ、スモークを焚き、映写機をまわした。
だからこの部分は、原一男やマイケル・ムーアの映画のような、事物を異化するドキュメンタリーの輝きを得た。
また『フェリー二、映画を語る』の中ではまったく触れられていなかった『8 1/2』のラストシーンについても
語られている。今見ることができる『8 1/2』のラストは、ロケット発射台の足下に作られたリングの上で
登場人物全員が手をつないで踊るという素晴らしいものだが、それは物語の流れからは断絶している。
ストーリーを素直に延長した終幕シーンが撮られていた。主人公夫妻が列車で帰る場面。
『8 1/2』の愛蔵版DVDの特典映像で、それについてある程度知ることはできるが、フィルムが失われているし、
その顛末全体を語る人もいない。だからこの本でのフェリー二自身の論及は貴重。
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映画監督という仕事 (リュミエール叢書 24) 単行本 – 1996/3/1
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- 本の長さ245ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1996/3/1
- ISBN-10448087304X
- ISBN-13978-4480873040
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
生前、フェリーニが用意していた俳優についての連続テレビ映画に関するインタビューを中心におさめた。俳優、プロデューサー、監督の3者に関する彼独特の考えを、ユーモアを込めて語る。
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1996/3/1)
- 発売日 : 1996/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 245ページ
- ISBN-10 : 448087304X
- ISBN-13 : 978-4480873040
- Amazon 売れ筋ランキング: - 983,641位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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